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キャリア10年の介護福祉士が語る、介護に適した服装・着てはいけない介護服とおしゃれを楽しむコツ

介護の職場では、ご利用者の方々に不快感を与えず、かつ仕事がしやすい服装を心がける必要があります。とはいえ、「できれば、おしゃれな服を着て仕事がしたい」と思っている方もいるのではないでしょうか。

今回は、介護福祉士歴10年の筆者が、介護に適した服装を職場別に紹介するとともに、女性介護職の方に向けて、「きちんとした身だしなみの中に、上手におしゃれを取り入れるコツ」をお伝えします。

介護の職場では、トップスはポロシャツやTシャツ、ボトムスはジャージ・デニム・チノパンという職員が多いです。きちんと見た目の印象や動きやすさを考慮して「これなら大丈夫」と思う服を選んでいる人がほとんどかと思います。

介護服は、自分が働きやすく、なおかつご利用者に好感をもってもらえる服が最適です。この2つをかなえる「介護服にふさわしい服選びのポイント」をみていきましょう。

服の素材は、働きやすさを左右する大事なポイント。着心地の良さ、動きやすさ、汗の吸い取り、乾きやすさなどは仕事のパフォーマンスに大きく影響するため、できれば妥協したくない点です。
特に介護の仕事はよく汗をかくので、通気性や吸水性にすぐれた速乾の素材がおすすめです。また、肌ざわりや伸縮性など、着ていてストレスや違和感のない服を選ぶようにしましょう。

服の色や柄は、自分の好みを取り入れつつ、ご利用者のことも考えて選ぶのが望ましいです。ご利用者の目にやさしい色合い、楽しい気分にさせる色や柄、安心感を与える印象の服を選ぶのが理想的です。
普段はモノトーンカラーばかり着ていても、介護服にはあえてピンクや水色などのパステルカラーを選ぶという人も少なくありません。明るい色の服を着ていると顔色がよく健康的に見えるというメリットも。

介護は、職場によって仕事内容が異なることもあり、それぞれの職場に適した服選びが大切です。施設や訪問介護など職場別に、服装のポイントやコーディネート例などを解説します。

特養や有料老人ホームなどの介護施設では、職員の仕事内容は多岐にわたります。食事・入浴・排泄などの身体介助のほか、体操やレクリエーションを担当することもあるため、服装は何より動きやすさを重視して選びましょう。

施設の場合はユニホームが用意されているケースも多いですが、もし私服の場合は、伸縮性があり丈夫な生地の服がベストです。

また、施設はご利用者の住まいであるため、穏やかな気分で過ごしてもらう配慮も大切です。そのため、淡くやさしい色合いの服装が好ましいでしょう。

【コーディネート例】
ボーダー柄のポロシャツ＋すっきりとしたデザインのパンツ

出典：株式会社モノタロウ
le coq sportif レディースボーダーニットシャツ UZL8024 色：アクア
株式会社モノタロウ/5,819円（税込）

出典：株式会社モノタロウ
le coq sportif レディースブーツカットパンツ UZL2014 色：チャコール
株式会社モノタロウ/6,259円（税込）

トップスは、パステルカラーの水色と、丸みのあるホワイトの襟で、品よくやさしい印象に。

ボトムスは、動きやすさを重視してジャージを選択。トップスがボーダーなので、ボトムスは飾りのないプレーンなタイプを合わせ、バランスをとりました。股上が深めなのでしゃがむ時も安心です。
機能性、スッキリと美しいライン、襟・ボタン・スリット等のディテールまでこだわったデザインなど、着ていてうれしくなるポイントが満載です。

デイサービスは1日のスケジュールが細かく決まっており、とても忙しい職場です。ご利用者の多い施設では、スタッフは分刻みで動くこともしばしば。そのため、やはり動きやすさは重要なポイントです。

デイサービスでは食事や入浴のサービスを提供しますが、職員や仲間とのおしゃべりや、レクリエーションを楽しみに来られるご利用者も少なくありません。デイサービスは入居施設と違い、ご利用者にとって「出かける場所」であり、気分転換やストレス解消の場でもあるのです。

そこで、ご利用者に楽しい気分で過ごしてもらうためにも、職員の服は明るく爽やかな印象のものがおすすめ。親しみやすい雰囲気の服装を意識しましょう。

【コーディネート例】
明るいピンク色のTシャツ＋速乾素材のジャージ

出典：株式会社モノタロウ
カーシーカシマ HEARTGREEN HM-1579 Tシャツ 色：ストロベリーピンク
株式会社モノタロウ/5,489円～6,589円（税込）

出典：株式会社モノタロウ
PP222 レディースブーツカットパンツ 色：ネイビー
シーユーピー株式会社/WEB価格 5,544円～6,652円（税込）

トップスには、明るく元気な印象のピンク色のTシャツを。腕を動かしやすいラグラン袖は、レクリエーションや体操で活発に動き回るデイサービスでの勤務におすすめです。
同様の理由から、ボトムスには、軽量で速乾素材のジャージがベスト。こちらはブーツカットタイプなので、履いた時のラインもキレイです。

訪問介護のヘルパーは、ご利用者の自宅へ出向き、おむつ交換や入浴介助などの身体介助から、掃除や調理などの家事援助までさまざまな仕事を行います。動きやすさはもちろんですが、何より大切なのが「相手の家にお邪魔する」という意識です。
そのため、訪問介護の服装は、清潔感がポイント。くだけ過ぎた服装や不潔な衣類は、相手に不快感を与えてしまいます。服の衛生面や見た目の印象、髪の毛や爪（まとめない長髪・長爪・ネイルアートはNG!）などの身だしなみにも十分に注意を払いましょう。

【コーディネート例】
ロングのポロシャツ＋清潔感のあるアイボリーのパンツ

出典：株式会社自重堂
【WHISeL】WH90338半袖ロングポロシャツ 色：ネービー
株式会社自重堂/2,820円（税込）※自重堂オンライン価格

出典：シーユーピー株式会社
PP206 レディースパンツ（ノータック）色：アイボリー
シーユーピー株式会社/WEB価格 6,930円～8,316円（税込）

トップスは、清潔感のあるホワイト×ネイビーのポロシャツを。こちらはロング丈でおしりがすっぽり隠れるので、体型カバーに最適。さらに、汗をかく介護職にうれしい消臭機能付きです。

ボトムスは、"きちんと感"が出るノータック＆センターステッチのパンツ。伸びる素材で動きやすいうえに、美脚シルエットでスタイルアップにも。ホワイト系の服は真っ白だと汚れが目立つため、こちらのようにアイボリーや生成りのカラーを選ぶのがおすすめです。

続いて、介護職としてNGな服装を詳しくお伝えします。印象の面だけでなく、ご利用者の安全面にも関わることなので、しっかりチェックしてください。

ファスナー、飾りボタン、ビーズ、紐などが付いている服は避けるようにしましょう。これらの装飾が相手の皮膚に当たって、ケガをさせてしまうリスクがあります。また、ケアの途中で服のボタンや飾りが取れてしまうと、ご利用者の誤飲につながり、たいへん危険です。介護服は余計な装飾がなく、できるだけシンプルなデザインのものを選びましょう。

汚れ、ほつれ、やぶれ、ひどい色褪せのある服は、相手にだらしない印象を与えてしまいます。このような不潔感のある格好をしていると、ご利用者に嫌われて介護を拒否されることもあるので要注意。傷んだ服や汚れた服は、仕事には着ていかないようにしましょう。

暗い色の服は汚れが目立たないため重宝しますが、上下とも黒など全身を暗い色でまとめてしまうと喪服を連想させるため、介護服には不向きです。また、ドクロ柄などの不吉な絵柄がプリントされた服も、相手に嫌悪感を抱かせてしまう恐れがあります。

服装は自分が思う以上に相手に与える印象が強いため、ご利用者の年齢や境遇に配慮した服選びを心がけましょう。

女性の介護服で特に注意したいのが、肌の露出です。ノースリーブや透け感のある服はもちろん、深いVネックや大きなラウンドネックなどの首周りが開き過ぎた服も介護職にはNGです。
ボトムスも基本的には足首まで長さがあるものを履き、短パンやハーフパンツのように足が見える服は控えましょう。

また、介護の仕事はかがむことが多いため、トップスの着丈にも注意が必要です。後ろ側は盲点になりがちですが、着丈が短いと下着が見えてしまう恐れもあります。長めのトップスや股上深めのボトムスがおすすめです。

派手な蛍光色や奇抜過ぎる柄の服は、ご利用者に不快感や緊張感を与えてしまうこともあり、介護服にはあまり適しません。
以前、筆者の働いていた職場に、外国人の大きな顔がプリントされたTシャツを着ていた介護職員がいたのですが、ある女性のご利用者がそのTシャツをひどく怖がり泣いてしまったことがありました。
派手な服はインパクトが大きいため、着る際は少し注意が必要です。自分の好みよりも、「介護服に適しているかどうか」という視点で服を選びましょう。

介護の服装にはさまざまな制限がありますが、だからといってまったくおしゃれを楽しめないわけではありません。ここからは、おしゃれ好きな女性介護職の方に向けて、介護の職場でさらにおしゃれを楽しむためのヒントをいくつかご紹介します。

おすすめなのが、レース・刺繍・フリルなどの飾りが付いた服です。金具やビーズなどの出っ張った硬い飾りはNGですが、レースや刺繍、フリルなどのやわらかい装飾であれば、相手にケガをさせる心配はまずありません。

たとえば、袖に刺繍が入ったこちらのトップスは、筆者がよくデイサービスで着ていたものですが、女性のご利用者にとても評判がよかったです。

筆者が実際に着用していた、白地で袖に刺繍入りのトップス

首が開き過ぎず着丈も十分にあり、少し伸縮性のある素材なので仕事のしやすさもバッチリ。落ち着いた色の刺繍で嫌味がなく、これ1枚で全体の印象がおしゃれな雰囲気になるので、とても気に入っていました。

筆者が実際に着用していた、介護の現場でのコーディネート

ただ、レース・刺繍・フリルは、場合によっては派手になり過ぎてしまうので注意が必要です。総レースや何層にも重なったフリルは避け、服の一部にさりげなくあしらわれたものを選べば、見た目も安全性も問題ありません。

こちらは胸元の一部にレースが入ったカットソーですが、このように少しレースが入るだけでグッと華やかで可愛らしい印象になります。

紺地で胸元にレースが入ったカットソー
裏に布が当ててあるので、レース部分から肌が透ける心配もありません。

カットソー胸元のレースの裏地

このような工夫がしてある服であれば、介護服としても十分に通用します。レースはチクチクしたものだと刺激になるので、綿素材などのやわらかいレースを使ったものを選びましょう。

ただ、職場によっては装飾のある服としてNGな場合も。着用前に、職場のルールや規定を確認するようにしましょう。

一方、気兼ねなく着るなら、カジュアルなTシャツがイチオシです。特におすすめなのは、明るいカラーのボーダー柄。顔映りがよく元気ではつらつとした雰囲気になります。

【左】ピンクに白と黒のボーダー。【右】白と黄色のボーダー

カジュアルなTシャツも、カラーや柄次第で十分にあか抜けた印象になります。選び方を工夫してマンネリや地味コーデを脱出しましょう。

ボトムスは、ストレッチ素材で股上の深いデニムやチノパンが活躍します。伸びない素材だと仕事に差し支えるので、特にボトムスは伸縮性にすぐれた服を選びましょう。

ジャージ素材のデニムを使用した介護服のコーディネート

仕事向きという点では、ジャージ素材のように動きやすく洗濯にも強いスポーツメーカー等の服が向いていますが、もっと広い選択肢の中からより自分の好みに合った服選びをしたいと思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

普段着の中にも介護に向いている服は思いのほか多いので、これを機に手持ちの服をチェックしてみるとよいかもしれません。

職員の服装については事業所によって方針が異なるので、まずは職場の意向やルールにあわせて服を選ぶのが鉄則です。

ただ、自分に似合う服、好きな服を着ていると、モチベーションが上がり気分よく仕事に向き合えるのも事実です。身だしなみとしてのルールを守ったうえで、上手におしゃれを取り入れて、前向きな気持ちで仕事に取り組んでいきたいですね。

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■参考URL

• モノタロウ
• シーユーピー株式会社
• WHISeL / 株式会社自重堂

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