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ニュース 医療介護最新ニュース 2021/04/21

#めまい#メニエール病#耳鼻科

良性発作性頭位めまい症 聖マリアンナ医科大学耳鼻咽喉科学教室教授 肥塚泉先生

介護のみらいラボ編集部コメント

めまいというとメニエール病を思い出す方が多いですが、実は耳から来るめまいで一番多いのはこの良性発作性頭位めまい症(BPPV)です。

中高年(更年期以降)女性によく発症するといわれる良性発作性頭位めまい症(BPPV)は、炭酸カルシウムからなる耳石が耳の中にできるのが原因のことから、閉経に伴うカルシウム代謝異常がその発症要因のひとつと考えられています。

また、めまいと吐き気を起こしている急性期は注射や服薬で対応しますが、治まったら耳石自体を平衡感覚に影響する半規管という場所から出さないといけないので、頭の位置や体の向きを変えて回転させるEpley法、Lempert法などを行います。

高齢のご利用者などで特定の頭を動かす運動ができない場合は、起き上がったり、首を左右に傾ける、寝返りするなど非特異的運動療法で対応します。

肥塚泉先生(聖マリアンナ医科大学耳鼻咽喉科学教室教授)が、その診断のポイント、症状や検査初見などについて、細かく取り上げています。ぜひ、お読みください。

良性発作性頭位めまい症(benign paroxysmal positional vertigo:BPPV)は,中高年(更年期以降)の女性に好発する。炭酸カルシウムからなる耳石が発症に関与していることから,閉経に伴うカルシウム代謝異常がその発症要因のひとつと考えられている。特定の頭位をとったり頭位変換後,回転性めまいが出現し,同時に特徴的な眼振が出現する。卵形嚢由来の耳石小片が,三半規管に迷入することによって,本来は回転角加速度の受容器である三半規管が,重力加速度の方向の変化(頭位の変化)に反応するようになり,めまいや眼振が生じる。後半規管型と外側半規管型が多く,前半規管型は稀である。半規管結石症とクプラ結石症の2つの病態が存在する。

▶診断のポイント

【症状】
特定の頭位(靴ひもを結ぶ,歯科治療や美容院での洗髪の際など)をとったり,頭位変換(寝返りなど)後に,回転性(症例によっては動揺性)のめまいが出現する。めまいは特定の頭位をとったり頭位変換後次第に増強し,ついで減弱ないし消失する。引き続き同じ動作を行うと,めまいは軽くなるか,起こらなくなる。耳鳴や難聴,耳閉感などの聴覚症状は随伴しない。もともと聴覚症状があってもめまい発作時には変化を認めない。中枢神経症状も認めない。

【検査所見】
確定診断ならびに患側の決定には,頭位変換眼振検査(Dix-Hallpike法)および頭位眼振検査の施行が必要不可欠である。頭位変換眼振検査にて,数秒~数十秒の潜時を有する回旋成分が強い上眼瞼向き眼振が出現し,これが数十秒以内に消失する場合は,後半規管型BPPV(半規管結石症)と診断する。Dix-Hallpike法では,眼振が出現する頭位で下になる側が患側である。右下,左下の両懸垂頭位とも眼振が生じる場合は,眼振持続時間の長いほうが患側である。潜時がないか,あっても短い潜時で眼振が出現し,これが長く続く場合は後半規管型BPPV(クプラ結石症)である。後半規管型BPPVにおいてはほとんどが半規管結石症で,クプラ結石症の頻度は低いと考えられている。回旋成分が強い下眼瞼向き眼振が出現する場合は,前半規管型BPPVである。頭位眼振検査で,方向交代性向地性(下行性)眼振(右下頭位で右向き水平性眼振,左下頭位で左向き水平性眼振が出現)を認めた場合は外側半規管型BPPV(半規管結石症),方向交代性反地性(上行性)眼振(右下頭位で左向き水平性眼振,左下頭位で右向き水平性眼振が出現)を認めた場合は外側半規管型BPPV(クプラ結石症)と診断する。

▶私の治療方針・処方の組み立て方

原因疾患にかかわらずめまい疾患の急性期は,前庭自律反射による嘔気・嘔吐等の不快な症状が生じることが多く,心身の安静や鎮暈薬・制吐薬等の薬物による対症療法が主体となる。めまい急性期は内服が困難なことが多い。また,速効性を要求される場合が多く,注射薬が用いられることが多い1)。薬物治療はBPPVの原因を除去する治療法ではないので,急性期を脱したら頭位治療を施行する2)。頭位治療の施行に際してはそれぞれの頭位を,眼振およびめまいが消失するまで持続することが必要である。高齢者では頸椎や腰椎の変形等の整形外科学的疾患や骨粗鬆症などの合併のため,頭位治療の施行に必要な頭位や体位,動作が行えないことがある。その場合は,非特異的運動療法を施行する3)

▶治療の実際

【急性期】
一手目メイロン®注7%(炭酸水素ナトリウム)1回20mLまたは40mLを静注,あるいは250mLを点滴静注
二手目〈一手目に追加〉トラベルミン®配合錠(ジフェンヒドラミン40mg/ジプロフィリン26mg)1回1錠(めまい時頓用),またはセファドール®25mg錠(ジフェニドール)1回1~2錠1日3回(毎食後),またはメリスロン®6mg錠(ベタヒスチン)1回1~2錠1日3回(毎食後),またはナウゼリン®5mg錠・10mg錠(ドンペリドン)1回1錠(悪心・嘔吐時頓用),またはプリンペラン®5mg錠(メトクロプラミド)1回1~2錠(悪心・嘔吐時頓用)

【急性期以降】
一手目頭位治療
後半規管型BPPVに対してはEpley法やSemont法,外側半規管型BPPV(半規管結石症)に対してはLempert法,外側半規管型BPPV(クプラ結石症)に対してはGufoni法を施行する。
二手目〈頭位治療の施行が不可能な場合〉非特異的運動療法(寝返り運動など)

【文献】
1) 武田憲昭:Equilibrium Res. 2000;59(2):93-102.
2) 渡辺行雄, 他:Equilibrium Res. 2009;68(4):218-25.
3) Sugita-Kitajima A, et al:Acta Otolaryngol. 2010;130(1):84-8.
肥塚 泉(聖マリアンナ医科大学耳鼻咽喉科学教室教授)

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出典:Web医事新報

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