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【まとめ】財務省の審議会が財政健全化へ報告書~介護分野では?

《 財務省 》
財務省は21日の審議会で、国の財政の健全化に向けた施策を提言する報告書(建議)をまとめた。【Joint編集部】
医療・介護の見直しをはじめとする社会保障費の抑制策が柱。財務省は政府内で、来月にも閣議決定する今年度の「骨太方針」に反映するよう働きかけている。
給付費の膨張を抑えないと財政悪化に歯止めがかからない、という強い危機感がベースにある。2024年度に控える次の制度改正・報酬改定にも影響が及びそうだ。報告書には何が書かれているのか、介護分野の具体策を網羅的にまとめた。
《概要》財政健全化に向けた建議
■ 利用者負担の見直し
○ 利用者負担を原則2割とすること、2割負担の対象範囲を拡大することを検討していくべき。
○ 2024年度の制度改正で、居宅介護支援のケアマネジメントにも利用者負担を新たに導入すべき。
■ 介護人材の確保と生産性の向上
○ サービスの質を確保しつつ、より少ない労働力でサービスを提供していけるよう、人員配置基準の緩和なども行いながら、テクノロジを活かした業務の効率化を進めるべき。
○ 経営主体の統合・再編などによる事業所の運営の効率化を促す施策を講じるべき。
■ ケアマネジメントの見直し
○ 2024年度の報酬改定で、福祉用具貸与のみを行うケースの報酬を引き下げるなど、サービス内容に応じた報酬体系へ改めるべき。
■ 多床室の室料負担の見直し
○ 2024年度の制度改正で、老健、介護医療院、介護療養病床の多床室の室料相当額を、基本サービス費から除外する見直しを行うべき。
■ 総合事業の見直し
○ 事業費の上限額の仕組みが機能せず形骸化していることから、速やかに上限超過を厳しく抑制すべき。
■ 区分支給限度基準額の見直し
○ 様々な政策上の配慮を理由に、限度額の対象外に位置付けられる加算が増えてきていることから、こうした例外措置を2024年度の報酬改定で再考すべき。
■ 居宅サービスへの保険者の関わり方
○ 定期巡回・随時対応サービスなどの普及を図る観点に留まらず、サービス見込み量を超えた場合に、市町村が都道府県への事前協議の申し入れや指定拒否ができるようにすることで、自治体が実際のニーズに合わせて地域のサービス供給量をコントロールできるようにすべき。
■ 軽度者に対する医療系サービスの適正化
○ 介護保険の居宅療養管理指導や訪問看護などは原則、「通院が困難な利用者」に対して給付を行うこととなっているが、実態としてそれ以外の利用者にもサービスが提供されていないか、速やかに把握して適正化すべき。
■ 事業者の経営状況の把握
○ 事業所の財務諸表などの報告・公表を義務化し、その経営状況の"見える化"を速やかに推進すべき。
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介護のみらいラボ編集部コメント
給付費の膨張を抑えないことには国の借金額の増加に歯止めがかからない、という強い危機感を抱く財務省が、財政健全化に向けた施策を提言する報告書(建議)をまとめました。
医療・介護については、ご利用者の自己負担割合変更、介護人材の確保策、ケアプラン見直しなど良く報道されているもののほか、介護事業所の経営状態の見える化、軽症者への医療サービスの適正化、給付限度額の見直しなどが挙げられています。