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ニュース 医療介護最新ニュース 2021/07/16

#ストレス#睡眠障害#治療法#不眠症

睡眠障害[私の治療]久留米大学 内村直尚学長

介護のみらいラボ編集部コメント

現代日本を代表する現代病と言われるのが「睡眠障害」です。IT化の波とともに到来した昼夜、オンとオフの境目のない「24時間社会」、それに伴う「ストレス社会」により、大人から子どもまで人々の生活は夜型化し、5人に1人の割合で睡眠の問題を抱えていると言われるようになりました。
今回の[私の治療]は内村直尚先生(久留米大学学長)が、不眠症、ナルコレプシー(過眠症)、概日リズム睡眠障害(睡眠・覚醒スケジュールの異常)、睡眠時随伴症(睡眠中に起こる異常行動)、睡眠関連運動障害(睡眠と関連した異常感覚や不随意運動)、睡眠関連呼吸障害(睡眠中の呼吸停止)に大別される睡眠障害について詳しく解説しています。

睡眠障害は現代病であり,特に日本は「24時間社会」「ストレス社会」と言われ,大人から子どもまで人々の生活は夜型化しており,5人に1人の割合で睡眠の問題を抱えていると言われている。睡眠障害は不眠症,ナルコレプシー(過眠症),概日リズム睡眠障害(睡眠・覚醒スケジュールの異常),睡眠時随伴症(睡眠中に起こる異常行動),睡眠関連運動障害(睡眠と関連した異常感覚や不随意運動),睡眠関連呼吸障害(睡眠中の呼吸停止)に大別される。なお,ナルコレプシーについては別稿で解説する。

▶診断のポイント

問診,質問票(自覚症状に関する質問とベッドパートナーに対する質問からなる「ピッツバーグ睡眠質問票」や日中の眠気の自覚的評価を行う「エプワース眠気尺度」),睡眠日誌,日中の眠気を客観的に評価する反復睡眠潜時検査(MSLT),夜間の睡眠を客観的に評価する終夜睡眠ポリグラフィー(PSG)などを行い,鑑別診断を行う。

▶私の治療方針・処方の組み立て方

【不眠症】

まずは生活習慣や睡眠環境の是正などの睡眠衛生指導を行う。また,不眠症状の発症・持続に関連する認知・行動・感情の問題を変容させる認知行動療法を行う。これらの非薬物療法とともに薬物療法を併用する。薬物療法は不眠の臨床症状に基づいて選択する(後述)。

【睡眠関連呼吸障害(閉塞性睡眠時無呼吸症候群)】

肥満に伴って発症・増悪している場合には減量を指導する。軽症例では側臥位で眠る習慣をつけたり,寝酒を禁止することで効果が期待できる。以上のような生活指導を行いながら,口腔内装置治療や在宅持続陽圧呼吸療法(CPAP)を行う。

【睡眠関連運動障害(周期性四肢運動障害,レストレスレッグス症候群)】

症状を増悪する因子の排除や症状を軽減させる以下のような措置を講じる。
①カフェイン,ニコチン,アルコールなどの嗜好品を避ける。
②抗うつ薬,ドパミン拮抗薬,抗ヒスタミン薬,抗精神病薬,リチウムなどの薬物を中止する。
③入浴・シャワー,マッサージ,湿布,歩行(ウォーキング),下半身の運動などを行う。
④血清フェリチン値が50mg/mL以下のときは経口鉄剤を内服する。
⑤薬物療法。

【睡眠時随伴症(レム睡眠行動障害:RBD)】

寝室の障害物を片づける,ベッドの使用を中止しマットなどを利用してより低い位置に寝るようにするなど寝室環境の改善を試みて,患者自身の外傷や暴力的行動による同室家族(配偶者など)に対する傷害を最低限にするなどの環境調整を行う。また,原因となる薬物(リチウム,三環系抗うつ薬,抗精神病薬など)の使用を中止する。その上で薬物療法を行う。

【概日リズム睡眠障害】

規則正しい生活を心がけ,生活習慣を崩さないように睡眠衛生指導を行う。時間療法,高照度光療法,薬物療法を行う。

▶治療の実際

【不眠症】

睡眠薬投与は対症療法であり,薬剤の作用と副作用,服薬に際しての注意事項などをわかりやすく説明し,患者の睡眠薬に関する誤解や不安を取り除いておくことが重要である。作用機序や血中半減期などの臨床特性を考慮し,患者の呈している不眠の臨床型に基づいて睡眠薬を選択する。

ベンゾジアゼピン系および非ベンゾジアゼピン系睡眠薬(ベンゾジアゼピン受容体作動薬)は血中半減期により,超短時間作用型(血中半減期:~6時間),短時間作用型(6~12時間),中間作用型(12~24時間),長時間作用型(24時間~)に分類されている。中間・長時間作用型睡眠薬では翌日への持ち越し効果に,短時間・超短時間作用型睡眠薬では投与中止時の反跳性不眠症に注意する必要がある。

メラトニン受容体作動薬のラメルテオンは入眠困難に効果がある。ラメルテオンは乱用や依存が生じず,睡眠構築を修飾することなく,鎮静や抗不安作用によらない睡眠導入をもたらす。軽症例や高齢者などの不眠症状,特に初期治療に適している。

オレキシン受容体拮抗薬であるスボレキサントおよびレンボレキサントは入眠作用と睡眠維持効果を併せ持つ。オレキシンは覚醒を維持・安定化させる神経ペプチドであり,その拮抗薬は自然な眠りを導く。

ラメルテオンとスボレキサント,レンボレキサントは作用機序が異なるが,それ以外の睡眠薬は,すべてベンゾジアゼピン受容体に働くという同一の作用機序を持つために,併用には十分注意する。可能であれば単剤での使用が理想であるが,併用する場合も2剤までにとどめるべきである。

〈入眠困難〉

超短時間,短時間作用型あるいはオレキシン受容体拮抗薬のいずれかを選択する。

一手目 :デエビゴ®錠(レンボレキサント)1回2.5〜10mg 1日1回(就寝前),またはロゼレム®錠(ラメルテオン)1回8mg 1日1回(就寝前)

二手目 :〈処方変更〉マイスリー®錠(ゾルピデム)1回5~10mg 1日1回(就寝前),またはアモバン®7.5mg錠(ゾピクロン)1回1錠 1日1回(就寝前),またはルネスタ®錠(エスゾピクロン)1回1~3mg 1日1回(就寝前)

三手目 :〈処方変更〉レンドルミン®0.25mgD錠(ブロチゾラム)1回1錠 1日1回(就寝前)

〈中途覚醒,早朝覚醒,それに伴う熟眠障害〉

中間作用型,長時間作用型あるいはオレキシン受容体拮抗薬のいずれかを選択する。

一手目 :ベルソムラ®錠(スボレキサント)1回15~20mg 1日1回(就寝前),またはデエビゴ®錠(レンボレキサント)1回2.5~10.0mg 1日1回(就寝前)

二手目 :〈処方変更〉ドラール®錠(クアゼパム)1回15~20mg 1日1回(就寝前),またはサイレース®錠(フルニトラゼパム)1回1~2mg1日1回(就寝前)

【睡眠時無呼吸症候群】

〈無呼吸・低呼吸指数(AHI)20未満〉

一手目 :口腔内装置治療

〈AHI 20以上〉

一手目 :CPAP療法

【睡眠関連運動障害】

一手目 :ドパミンアゴニスト〔ビ・シフロール®錠(プラミペキソール)1回0.125~0.750mg 1日1回(夕食後あるいは就寝2時間前),またはニュープロ®パッチ(ロチゴチン)1回2.25~6.75mg 1日1回(貼付)〕

二手目 :〈処方変更〉α2σリガンド〔レグナイト®300mg錠 (ガバペンチン エナカルビル)1回2錠 1日1回(夕食後)〕

【睡眠時随伴症(RBD)】

一手目 :リボトリール®錠(クロナゼパム)1回0.5~2.0mg 1日1回(就寝前)

二手目 :〈処方変更〉ロゼレム®8mg錠(ラメルテオン)1回1錠 1日1回(就寝前)

【概日リズム睡眠障害(睡眠・覚醒相後退症候群)】

一手目 :ロゼレム®8mg錠(ラメルテオン)1回1錠 1日1回(就寝5時間前)

二手目 :〈処方変更〉高照度光療法(起床後1時間2500ルクス以上の高照度光を照射)

【参考資料】

▶ 内山 真, 編:睡眠障害の対応と治療ガイドライン. 第3版. じほう, 2019.

内村直尚(久留米大学学長)

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出典:Web医事新報

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