大改革の介護福祉士国試、パート合格の受験方法や科目の分け方は? 厚労省が公表
介護福祉士の国家試験のルールが大きく変わる。複数の科目ごとに合否を判定する「パート合格」の仕組みが、来年度から新たに導入されることが今月に決定された。
厚生労働省は9月24日、パート合格の導入に向けた協議を重ねてきた検討会の報告書を公表。新制度の概要を正式に明らかにした。ここでは、その中に盛り込まれた基本的な考え方や重要なポイントなどをまとめていく。
※ パート合格の制度の詳細はこの報告書にまとめられている。
◆ パート合格導入の考え方
介護福祉士は国試の受験者数が減少傾向にあり、人材の確保が大きな課題。介護現場で働きながら資格を取りたいという希望があっても、忙しくて学習に集中することが難しい状況もある。
外国人にとっては、日本語学習も同時に取り組まなければならず更にハードルが高い。このため、より挑戦しやすい制度を導入して資格を目指す人を後押しする。仮に不合格となっても、2回目以降は不合格パートの学習に専念できるメリットがある。
◆ 導入時期
パート合格は、令和8年1月実施予定の第38回介護福祉士国試から導入する。
◆ パートの分割方法
受験者の利便性、学習の取り組みやすさ、運営側の負担などを考慮し、介護福祉士の国試を大きく3つのパートに分割する。実際のパート分けは、各科目の出題数やつながり、領域のまとまりなどを踏まえて行う。
具体的な案は以下の通り。厚労省は「各パートはバランスがとれたものとなる。出題数はCパートが他より少ないが、科目の特性で事例問題が多くなることから、解答にかかる時間に大きな差異はない」と説明している。
Aパート
介護の理念や考え方、制度に関する知識と具体的な技術を問う科目
試験科目(出題数60)
人間の尊厳と自立、介護の基本、社会の理解、人間関係とコミュニケーション、コミュニケーション技術、生活支援技術
Bパート
身体の構造や機能、介護の対象者が抱える疾病や障害の理解を問う科目
試験科目(出題数45)
こころとからだのしくみ、発達と老化の理解、認知症の理解、障害の理解、医療的ケア
Cパート
知識や技術を具体的な支援場面や特定の事例に適用させる科目
試験科目(出題数20)
介護過程、総合問題
◆ 受験方法
初めて受験する際は、その全員が1日で全てのパートを受験する。再受験時は不合格パートのみ必須。既に合格したパートを受験するか否かは受験者が選択する。
午前中にAパート、午後にBパート、Cパートの試験を実施する。Bパート、Cパートの試験は連続して行い、Bパートのみ、Cパートのみの受験者は、試験時間終了後速やかに会場から退出する。
◆ 合格の基準・有効期限
合否の判断について、全てのパートを受験した場合は、まずは全パートの総得点で判断する。その結果が不合格だった場合は、パートごとに判断する。一部のパートのみを受験した場合は、パートごとに判断する。
合格したパートの有効期限は受験後2年間(翌年と翌々年)。仮に毎年1パートずつ合格していくとすると、3年間で段階的に資格を取得できる制度設計となっている。
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介護のみらいラボ編集部コメント
厚労省が「パート合格」導入に向けた協議を重ねてきた検討会の報告書を公表(9月24日)。複数の科目ごとに合否を判定する「パート合格」の仕組みが、2025年度から新たに導入されることとなり、介護福祉士の国家試験のルールが大きく変化します。正式公表された新制度の概要とともに、その中に盛り込まれた基本的な考え方や重要なポイントなどをまとめました。