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ニュース 介護業界ニュース 2025/11/28

#インタビュー

アバターを操作して自宅からレクができる!?人手不足の解消にも役立つ「アバター介護士」に注目

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介護のみらいラボ編集部コメント

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大阪府と兵庫県で介護・福祉関連の事業を展開する「社会福祉法人 隆生福祉会」では、大阪府内のグループホームに"アバター介護士"を導入しています。アバター介護士とは、アバターを使って、イベントやレクリエーションの支援、見守りなどを、非接触・非対面で実施できるサービスです。アバターや生成AIを活用したサービス開発を行う「AVITA株式会社」との連携により、介護現場における人手不足や、介護スタッフの負担軽減を目指して開発が進められています。アバター介護士の概要や、具体的な活用方法について、社会福祉法人隆生福祉会の久保田真子氏と、AVITA株式会社の塚本彬華氏に話を聞いてみました。

1.「アバター介護士」とは?

ーー「アバター介護士」とは、どのようなサービスなのでしょうか。

AVITA株式会社 塚本(以下、塚本):アバター介護士は、遠隔地からアバターを操作することで、イベントやレクリエーションの支援、見守りなどを、非接触・非対面で実施できるサービスです。AVITA株式会社が開発・提供しているアバター接客サービス「AVACOM(アバコム)」を介護業界向けにアレンジすることで、安心・安全な介護業務を提供できるように工夫しています。

なお、AVACOMは、主に人手不足の解消や、業務の省人化を目的として、すでに小売業や鉄道業などの幅広い業界に導入されています。介護業界に特化したサービスではありませんでしたが、隆生福祉会さんと当社CEOの石黒が、遠隔操作アンドロイド「テレノイド」の共同研究を長く続けているご縁から、介護現場における活用方法を検討することになったのです。そして、2024年4月からアバター介護士に関するプロジェクトがスタートしました。2025年現在は、介護に特化した独自のコンテンツや運用設計の開発・実装により、ノウハウを構築している状態です。

ーー2025年現在、「アバター介護士」を導入している施設の概要を教えてください。

隆生福祉会 久保田(以下、久保田):大阪市東住吉区に位置する「グループホーム ゆめ長居公園」に導入しています。同施設の定員は18名で、現在は男性2名・女性16名が入居しています。また、平均介護度は要介護3.2、平均年齢は89歳です。試験的な導入を経て、2025年に本格導入に至りました。

当法人では、特別養護老人ホームやデイサービスも運営していますが、ご利用者様が100人単位の規模の大きい施設において、新しい取り組みを浸透させることは簡単ではありません。一方で、グループホームは規模がコンパクトなうえに、スタッフの人数も限られています。そのため、「全スタッフに共通認識を持ってもらえる可能性が高いのでは」と考え、同施設から試験的な導入を開始しました。

ーーグループホームにおける、「アバター介護士」の具体的な活用方法を教えてください。

久保田:グループホームのリビングに設置されたテレビに映像を映し出し、アバターとご利用者様とのコミュニケーションをお楽しみいただいています。ご利用者様は普段からテレビをご覧になる機会が多いため、施設内では「おしゃべりテレビ」と呼ぶことで、親しみを持っていただけるように工夫していますね。ご利用者様とおしゃべりをする以外にも、アバターがイベントの司会をしたり、体操をしたりすることもあります。

なお、アバターとの交流の時間は長くても15分程度に留めています。また、帰宅願望が出やすい夕方や、スタッフが食事の支度をするタイミングに実施することで、現場のスタッフの負担を減らせるように努めています。

遠隔地からアバターを操作する様子。パソコンと通信環境さえあれば、場所を選ばずに操作できる

遠隔地からアバターを操作する様子。パソコンと通信環境さえあれば、場所を選ばずに操作できる

2.「アバター介護士」を活用するために、行っている工夫

ーー"アバター"として画面越しに利用者さんとコミュニケーションを取るのは、少し難しそうなイメージがあります。「アバター介護士」を活用するために、行っている工夫はありますか。

久保田:ご利用者様とアバターが自然に交流を図るためのコンテンツである、「アバターカード」の導入が挙げられます。アバターカードとは、ご利用者様が興味を持ちそうなトピックが書かれたカードのことです。アバターを操作するスタッフは、かるたの読み札のような感覚で同カードに書かれた内容を読み上げ、レクリエーションを進行します。同カードには複数の種類があり、その内容や難易度は様々です。

例えば自己紹介をテーマとしたカードであれば、「【自己紹介】よかったら、皆さんのお名前を教えてもらえますか?〇〇さん、ですね。今日は宜しくお願いします!」と書かれています。また、体操関連のカードでは、「【足踏み体操】足踏み体操をしましょう!まず右足をあげて......」といった、体操の手順が記載されています。そのため、レクリエーションの実施経験が少ない人でも、進行に迷うことがありません。また、カードの組み合わせは自由なため、ご利用者様の反応や興味に応じて、自分の好きなように順番を変えることも可能です。

アバターカードを用いたレクのイメージ

アバターカードを用いたレクのイメージ

3.利用者さんやスタッフからの反応

ーーたしかに、進行する内容が決まっていれば、戸惑わずにアバターを操作できそうです。アバター介護士」について、利用者さんやスタッフからの反応はいかがですか。

久保田:ご利用者様は、アバター介護士のことを、「なぜか返事をしてくれるテレビ番組」のような感覚で楽しんでくださっているようです。アバターに対して拒否反応を示されることもなく、むしろ「会話ができた」と感激して涙を流される方もいるほどで、私どもとしても、ご利用者様のそのような姿を見られたことを、非常に嬉しく感じています。ただし、この取り組みは全てのご利用者様に一律に提供している訳ではなく、「アバターに興味を持ちそう」「アバターとの交流を楽しんでいただけそう」と感じた方を中心にご案内しています。反対に、アバターとの会話に苦手意識を持つ可能性がある方には、無理におすすめすることはありません。ご利用者様一人ひとりの反応を見ながら、対応を工夫しています。

また、スタッフからも、アバターに対するネガティブな意見は特に寄せられていません。当法人では、以前より介護ロボットなどの最新機器を積極的に導入しており、新しい試みに率先して関わる姿勢が根づいています。そうした背景もあり、スタッフから消極的な声が挙がることはほとんどなく、むしろ積極的に関わろうとする姿勢も見られています。アバター介護士は、産休や育休などで休職中のスタッフの新しい働き方としての活用を検討しており、実際にスタッフからは、「自分が休んでいる間も現場と繋がれるツールがあると、安心して休職できる」といった声も挙がっています。現場の業務負担を減らすためにも、今後もより良い活用方法を模索していく予定です。

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出典:取材・文/タケウチノゾミ 編集/イージーゴー

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タケウチ ノゾミ(Nozomi Takeuchi)

ライター・編集者

福岡市在住のフリーライター・編集者。介護、医療、ビジネスを中心に幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は観劇と美術鑑賞、猫を揉むこと。

タケウチ ノゾミの執筆・監修記事

EGGO(イージーゴー)

イージーゴーは東京・九州を拠点にWEBコンテンツ、紙媒体、動画等の企画制作を行う編集制作事務所です。ライターコミュニティ「ライター研究所」も運営しています。

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