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ニュース 介護業界ニュース 2026/02/27

#インタビュー

高齢者がヘビメタを習うメリットとは?認知症の予防にもつながるボイトレメソッド「オジーメタル」

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介護のみらいラボ編集部コメント

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埼玉県川口市にあるSMDボーカル教室では、認知症の予防にもつながるボイストレーニングメソッド「オジーメタル」を取り入れたレッスンを提供しています。腹式呼吸や高音域シャウト発声、エアーギター・エアードラムの動きなどに取り組むことで、心身両面の健康保持・増進を目指す狙いです。オジーメタルの開発背景や、高齢者がボイストレーニングに取り組むことで期待できる効果などについて、SMDボーカル教室の本山直人氏に話を聞いてみました。

ーー「オジーメタル」を始めたきっかけについて教えてください。

新型コロナウイルスの流行が落ち着いて1年ほど経った頃、当ボーカル教室の発表会にて、67歳の生徒さんが"演歌をヘビメタ風にアレンジしたもの"を披露したことがきっかけです。この歌が大好評で、「私も習いたい」「シニアでもヘビメタにチャレンジできるんだ」と多くの方の評判を集め、シニアの生徒さんが一気に増えました。

私は以前から「音楽には認知症予防の効果があるのでは」と感じていたうえに、親の介護で苦労している友人が多かったため、この出来事をきっかけに、ボイストレーニングをシニアにとって役立つ形で提供できないかと考え始めます。そこで、私の専門分野がヘビーメタルだったこともあり、自身の強みを活かした「ヘビーメタル×ボイストレーニング」のメソッドを生み出すことを思いついたのです。

ヘビーメタルは高い声を使うシャウトや、声帯を鍛えるグロウルなど、発声トレーニングとして非常に高度な要素を揃えています。そこからヒントを得て、歌うのが難しい人でもヘビメタの要素に触れられるよう、エアーギターやエアードラムによる体幹トレーニングや、指先を使うギターのピッキングの動き、リズムトレーニングなどを加えました。

ーーやはり、「歌を歌うこと・身体を動かすこと」の両方を一度に行うことが、脳への刺激につながっているのでしょうか。

個人的には、まさにその通りだと考えています。音楽と認知症予防の関係について意識するようになったのは、ボイストレーニングの指導を始めた約30年前に遡ります。生徒さんの様子を見ているうちに、音楽を通じて心身が元気になっていく変化を数多く目にし、「認知症の予防にもつながるのではないか」と確信するようになりました。実際、脳科学者の澤口俊之さんは「習い事はピアノだけで良い」と述べており、楽譜を読む・演奏する・演奏を聞くといった複数の行為を同時進行させることが、脳に良い影響を与えると説明しています。歌や楽器演奏も同様に、複数の動作や感覚を同時に使うため、脳のさまざまな領域が刺激されるのではと考えられます。

さらに、ヘビーメタルのレッスンには、全身を使うという大きな特徴があります。例えばエアードラムのリズム練習では、両手と両足を別々に動かすため、脳への刺激はより強まります。エイトビートが叩けるようになるだけでも、大きな達成感が得られるでしょう。加えて、体幹を鍛えたり、姿勢を整えたりすることも、認知症予防には重要です。ほかにも、歌うときは、頭の上から引っ張られるような姿勢を意識してもらうため、肩甲骨が開き呼吸が深くなり、血流の改善にもつながります。

また、腹式呼吸も大切な要素です。腹式呼吸には精神を落ち着かせ、自律神経のバランスを整える働きがあると言われています。特に、「良いものを取り入れ、悪いものを吐き出す」というイメージで取り組んでもらうと、多くの生徒さんから「すっきりした」という声が寄せられます。私は心理療法を学んだ経験があり、音楽とメンタルケアを組み合わせた指導も行っています。なかでも、アファメーション(自分を肯定する言葉)を取り入れると、気持ちが前向きになり、意欲が湧きやすくなると感じています。「もう年だから」ではなく「まだできる」と思えることが、脳にも身体にも、良い影響を与えるのではないでしょうか。そして何より重要なのは、レッスンを終えたときに「今日も楽しかった」と感じられることです。楽しさを味わうことこそが、心と身体を元気にするうえで欠かせないものだと考えています。

SMDボーカル教室には、子どもから高齢者まで幅広い年齢層の生徒が通う

SMDボーカル教室には、子どもから高齢者まで幅広い年齢層の生徒が通う

ーー生徒さんからの反応はいかがですか。印象的なエピソードがあれば教えてください。

続けていくうちに、姿勢や声の響き、見た目の印象まで総合的に変化する方が多く、私自身も驚いています。印象的な生徒さんの例として、当時65歳で「声が出にくくなってしまった」というお悩みを抱えて当教室を訪れた女性の生徒さんがいらっしゃいます。その方は、子どもの頃に親のすすめで童謡歌手として活動し、EPレコードを数枚出した経験のある方でした。長く歌から離れていたそうですが、幼少期に培われた音感の良さもあり、レッスンを重ねるうちに声がどんどん出るようになっていったのです。

その後も、楽しさを実感していただけるようサポートを続けた結果、声量や表現力が大きく向上し、最終的にはCDデビューまで果たされました。そして、75歳になった今もレッスンに通ってくださっていて、ライブハウスで歌うなど精力的に活動されています。ちなみに、この方は由紀さおりさんのファンで、レッスンには由紀さんの曲を使用することもありました。由紀さおりさんのような高域発声は、実はヘビーメタルのシャウトと原理が同じで、共通している部分があります。そのため、シャウトトレーニングなどを積極的に取り入れるなど、ヘビメタの要素も活用しながら、ご希望に合わせたレッスンを行なっていました。

ーー「オジーメタル」を取り入れたレッスンの効果の高さに驚いています!介護施設におけるレクリエーションとして、導入できそうな要素はありますか。

やはり腹式呼吸です。腹式呼吸は声が出づらい方を含め、誰でも取り組めるトレーニングです。寝たままの姿勢でもできるので、体力に不安のある方や寝たきりの方でも、無理なく参加できます。介護施設では、すでにカラオケなどの音楽活動を取り入れているところも多いと思います。そこに腹式呼吸を加えるだけでも、血流が促進されたり、姿勢が改善されたりする効果が見込めるのではないでしょうか。

また、長年指導してきた経験から、ボイストレーニングには「プロから教わる」という信頼感やモチベーションの高まりも大切だと感じています。時には専門的な指導を入れることで、より効果的で楽しい時間になるのではとも考えています。

ーー最後に「オジーメタル」について、今後の展望をお聞かせください。

シニア世代だけで構成された「高齢者バンド」を作りたいと思っています。私の周りには曲を書ける仲間も多く、オジーメタルとしてのオリジナル音源を制作できたらと考えています。CDという形にするかはまだ未定ですが、まずは音源を作り、曲とアクションを一体にしたパフォーマンスを目指したいです。

シニア世代だけのバンドがステージで演奏する姿は、多くの人に勇気を与えられるうえに、注目を集める可能性が高いのではと考えています。もちろん、人前で演奏できるレベルになるには、かなりな練習が必要ですが、その大きな目標に向かってレッスンに励むこと自体が、成長のきっかけにつながるのではないでしょうか。

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タケウチ ノゾミ(Nozomi Takeuchi)

ライター・編集者

福岡市在住のフリーライター・編集者。介護、医療、ビジネスを中心に幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は観劇と美術鑑賞、猫を揉むこと。

タケウチ ノゾミの執筆・監修記事

EGGO(イージーゴー)

イージーゴーは東京・九州を拠点にWEBコンテンツ、紙媒体、動画等の企画制作を行う編集制作事務所です。ライターコミュニティ「ライター研究所」も運営しています。

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