Produce by マイナビ介護職 マイナビ介護職

介護の未来ラボ -根を張って未来へ伸びる-

ニュース 介護業界ニュース 2024/09/24

#インタビュー

最先端のテクノロジーを介護施設に導入!"デジタル介護"を始めたきっかけやツール導入時の注意点は?

0924_thumbnail.jpg

介護のみらいラボ編集部コメント

,

特別養護老人ホームやグループホームを運営する社会福祉法人 善光会では、介護ロボットの導入をはじめとした"デジタル介護"の取り組みに注力しています。同法人では、これまでに200種類ほどの介護ロボットを導入・実証してきたほか、その他にも多種多様な介護ツールを活用しています。社会福祉法人 善光会の高瀬裕里氏と、同法人が運営する特別養護老人ホーム「フロース東糀谷」にて副施設長を務める成田恵美氏に、デジタル介護を始めたきっかけや、デジタルツール導入時の注意点について聞いてみました。

1."デジタル介護"の取り組みを始めたきっかけ

――善光会にて"デジタル介護"の取り組みを始めたきっかけを教えてください。

高瀬:善光会では創設当初から、少子高齢化に伴う介護費用の増加や、働き手の不足などの社会課題の改善に取り組みたいとの想いがあり、何か良い方法はないかと模索していました。そのような状況のなかで、世界初の装着型サイボーグ「HAL®」の実証を当法人の施設で行いたいとの要望があり、一定期間導入することになります。そして、この「HAL®」の導入をきっかけに、他のメーカーからも「当社の介護ロボットやシステムを試してみて欲しい」との連絡があり、そこからテクノロジーを活用した"デジタル介護"の取り組みを始めました。

なお、当法人は、善光会から派生した研究機関である株式会社善光総合研究所と共同実施する形で、厚生労働省が運営しているプラットフォーム事業の一つである「リビングラボ」に登録されており、このような介護ロボットやシステムの実証を現在も続けています。このリビングラボとは、介護現場のニーズを踏まえた介護ロボットの開発を促進するための機関のことです。2024年現在は、当法人を含め日本全国に8箇所のリビングラボが存在します。デジタル介護事業を提供している法人としてだけでなく、リビングラボの登録機関の一つとしても、今後もさまざまな企業の取り組みに協力していく予定です。

運営施設ではロボットの活用も積極的に行われている

運営施設ではロボットの活用も積極的に行われている

2.導入後も定期的に研修を実施

――これまでに、実証を含めて200種類以上のロボットやツールを導入・実証してきたと伺いました。さまざまなツールの活用にあたり、特に大変だったことはありますか。

成田:ロボットやツールの導入後、スタッフ全員がスムーズに活用できるようになるまでには、さまざまな苦労があったと感じています。介護施設におけるスタッフの年齢層は幅広く、当然デジタルツールに不慣れな者も多く在籍しています。すると、新しいツールを導入しても使いこなせないケースもあり、スタッフ全員が慣れるまでには時間がかかりました。

なお、新しいツールを導入した際には、ツールの開発企業の担当者さんをお呼びして、操作の説明や練習会を行ったり、個別に使い方についてのサポートを行ったりして、徐々に慣れてもらうように工夫しています。また、アップデートなどにも対応するために、導入後も定期的に研修を実施しています。

3.業務負担の軽減具合は?

――日々の介護記録には、善光会が開発・提供している介護記録ソフトの「SCOP(スコップ)」を使用しているそうですね。実際の業務負担の軽減具合はいかがでしょうか。

成田:SCOPの導入は、かなり業務負担の軽減に役立っていると感じています。従来は紙でお客様の様子を記録し、その後パソコンにデータを打ち込んでいました。ただ、この方法は記入にかなり時間がかかるため、お客様とコミュニケーションを取る時間がとても少なくなってしまっていたのです。

一方SCOPの導入後は、タブレット端末上で項目を選択したり、数値を入力するだけで記録が完了するため、作業時間が大幅に短縮されました。さらに、SCOPでは申し送り事項を簡単に確認できる機能も備わっているため、職員が入れ替わる際の申し送りをする必要もなくなったのです。結果として、従来の紙ベースでの方法と比較すると、全体で1時間半ほど業務時間が短縮されたと感じています。

SCOPの入力画面とスマートフォンのアプリ

SCOPの入力画面とスマートフォンのアプリ

4.ツールを活用してお客様により良いサービスを提供していきたい

――デジタル介護に関して、今後の展望をお聞かせください。

成田:スタッフの教育により注力していく予定です。当たり前のことではありますが、当法人の施設にて長く働いているスタッフは各種ツールを活用できている一方で、新卒や既卒のスタッフのなかには、まだまだデジタルツールに不慣れな者も多いようです。現在は、大きな研修を年に2回、外部から講師を呼んで開催する研修は2ヶ月に1回程度の頻度で開催していますが、今後は研修の頻度を月3回程度に増やし、より多くのスタッフが研修に出席できる体制を整えたいです。今後も各種ツールを活用することで、お客様により良いサービスを提供していきたいと考えています。

スピード転職情報収集だけでもOK

マイナビ介護職は、あなたの転職をしっかりサポート!介護職専任のキャリアアドバイザーがカウンセリングを行います。

はじめての転職で何から進めるべきかわからない、求人だけ見てみたい、そもそも転職活動をするか迷っている場合でも、キャリアアドバイザーがアドバイスいたします。

完全無料:アドバイザーに相談する

最新コラムなどをいち早くお届け!
公式LINEを友だちに追加する

お役立ち情報を配信中!
X(旧Twitter)公式アカウントをフォローする

介護職向けニュースを日々配信中!
公式Facebookをチェックする

SNSシェア

タケウチ ノゾミ(Nozomi Takeuchi)

ライター・編集者

福岡市在住のフリーライター・編集者。介護、医療、ビジネスを中心に幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は観劇と美術鑑賞、猫を揉むこと。

タケウチ ノゾミの執筆・監修記事

EGGO(イージーゴー)

イージーゴーは東京・九州を拠点にWEBコンテンツ、紙媒体、動画等の企画制作を行う編集制作事務所です。ライターコミュニティ「ライター研究所」も運営しています。

EGGOの執筆・監修記事