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ニュース 介護業界ニュース 2024/12/17

#インタビュー

介護施設に推し活を取り入れるメリットは?利用者とスポーツ選手が交流する「イマドキシニア」プロジェクトの推進背景

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介護のみらいラボ編集部コメント

子どもから高齢者まで、幅広い世代から人気を集めるスポーツ。株式会社SOYOKAZEでは、そんなスポーツによる"推し活"を行い、利用者さんのQOL向上を目指す取り組みを2021年より実施しています。介護施設におけるスポーツの活用には、一体どのようなメリットがあるのでしょうか。株式会社SOYOKAZE 未来ビジネス開発部の中野駿平氏に、推し活を取り入れた理由やスポーツの活用によるメリットについて聞いてみました。

1.推し活がお客様のQOL(生活の質)の向上に繋がる?

――スポーツによる"推し活"を推進している理由を教えてください。

大きく2つの理由があります。1つは、当社の施設を利用されているお客様に、もっと「イマドキシニア」プロジェクトを楽しんでいただきたいと感じたためです。いくらスポーツを活用した取り組みを行うとはいえ、当然ながら、毎日のように選手に来ていただくことや、毎日試合を観戦しに行くことはできません。そのため、「試合などがない日でも盛り上がれること」としては、推し活が適しているのではないかと考えたのです。推し活は特定の選手を応援する取り組みのため、テレビで試合を見たり、千羽鶴や横断幕を手作りしたり、ファンレターを書いたりと、個人でも取り組めます。また、選手との繋がりのある当社ならではの方法として、施設とチームがお互いに動画メッセージを送り合う取り組みなども実施しています。

北九州下関フェニックスの選手のために作成した横断幕

北九州下関フェニックスの選手のために作成した横断幕

もう1つは、推し活がお客様のQOL(生活の質)の向上に繋がるのではないかと考えたためです。同プロジェクトでは、実際にスタジアムへ試合を見に行く機会も多々あるものの、施設外でのスポーツ観戦は、移動のハードルが非常に高いといえます。現在はあまり介護度が高くなく、外出が可能な状態であっても、もし身体能力が低下して身体が動きづらくなってしまった場合は、現地でのスポーツ観戦が難しくなってしまうかもしれません。

特に、スポーツ好きのお客様は現地での観戦を非常に楽しみにされているため、「健康状態を維持するために、少しでも身体を動かしておこう」といったように、同プロジェクトは運動のモチベーションにも繋がっているようです。そのようなお客様を見るうちに、「スポーツを使った推し活は、生きがいや新たなチャレンジに繋がるのではないか」と考えるようになり、現在はプロジェクトの一環として推し活を推進しています。

選手との写真撮影の様子

選手との写真撮影の様子

――介護施設へのスポーツの導入や"推し活"の推進により感じているメリットはありますか。

やはり、新たなモチベーションに繋がることではないでしょうか。介護施設を利用されているお客様には、どうしても年齢や身体の状態により、新しいことへのチャレンジを諦めてしまう方が多い傾向にあります。そのような環境のなかで、スポーツ選手と触れ合うことが良い刺激となり、「自分も運動を頑張ってみようかな」と思うようになったり、周囲の人と「この前来てくれた選手がニュースで取り上げられていたね」と話したりするなど、気持ちの面でも大きな変化があるように感じています。プロジェクトの継続により、お客様の心身の状態がさらに良くなることを期待しています。

2.現場のスタッフが中心となって、場の空気を盛り上げる

――スポーツを活用した取り組みを続けるにあたり、注意していることがあれば教えてください。

現場のスタッフが中心となって、場の空気を盛り上げることです。選手の方が施設を訪れた際に、スタッフが率先して声をかけたり、スタッフ自身も交流を楽しんだりすることは、結果としてお客様の緊張をほぐすことにも繋がっていると考えています。例えばスタッフが選手にツーショット写真をお願いするなど、盛り上がっている様子を見せることで、お客様も交流に夢中になれるように感じています。もちろん、元々スポーツが好きなスタッフにとってはまたとない機会だと思いますので、お客様と一緒に観戦や交流を楽しむことが、仕事のモチベーションアップにも繋がれば嬉しいです。

元力士との交流は特に人気を集めている

元力士との交流は特に人気を集めている

3.今まではあまりスポーツに興味がなかった方にも好評

――利用者さんや選手の方々からの反応はいかがですか。

スポーツ好きな方はもちろん、今まではあまりスポーツに興味がなかった方にも、取り組みを非常に楽しんでいただけていると感じています。以前、元々スポーツ観戦が大好きだったものの、介護度が上がり一人では行けなくなってしまった方をバスケットボールの試合にお連れしたことがありました。すると、非常に喜ばれただけでなく、「施設に行くのが少し億劫になってきていたのだけれど、これからも試合を見るために頑張って通いたい」との感想をいただくことができました。また、施設にて選手と交流したことをきっかけに、家族と同チームの試合を観戦するようになり、家でのコミュニケーションが増えたお客様もいらっしゃるようです。

一方、選手の方々からは、「皆さんから元気をもらいました」という感想をいただくことが多いですね。日常生活のなかで介護施設を訪れる機会はなかなか無いため、お客様と交流していただくことで、「100歳近くでもこんなに元気な方がたくさんいるんだ!」と、驚かれる方もいらっしゃるようです。なかにはモチベーションに繋がったという声もあり、お客様とスポーツ選手の双方にメリットを感じていただける、とても良い形でプロジェクトを継続できているのではないかと感じています。

4.今後はスポーツ以外の取り組みも実施したい

――「イマドキシニア」プロジェクトについて、今後の展望をお聞かせください。

2024年現在はスポーツを中心としていますが、今後はスポーツ以外の取り組みも実施することで、サービスの幅を広げていきたいと考えています。例えばお笑いなどは、スポーツと同様に、多くのお客様に喜んでいただけるのではないでしょうか。お客様がますます通いたくなるような魅力ある介護施設を目指し、これからもさまざまな取り組みを実施する予定です。

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タケウチ ノゾミ(Nozomi Takeuchi)

ライター・編集者

福岡市在住のフリーライター・編集者。介護、医療、ビジネスを中心に幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は観劇と美術鑑賞、猫を揉むこと。

タケウチ ノゾミの執筆・監修記事

EGGO(イージーゴー)

イージーゴーは東京・九州を拠点にWEBコンテンツ、紙媒体、動画等の企画制作を行う編集制作事務所です。ライターコミュニティ「ライター研究所」も運営しています。

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