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ニュース 介護業界ニュース 2025/02/06

#インタビュー

地域の高齢顧客をサポート!京都信用金庫における「シニアライフあんしんサポート」の取り組み

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介護のみらいラボ編集部コメント

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京都・滋賀・大阪に展開する京都信用金庫では、高齢者の顧客を対象とした「シニアライフあんしんサポート」を提供しています。シニア向けのサービス・商品の提供はもちろん、地域包括支援センターとの連携や認知機能チェックの提供などにより、高齢者の快適な生活を支援する取り組みです。あんしんサポートの概要やサポートを開始したきっかけについて、京都信用金庫 くらしのサポート部部長の満川秀治氏と、くらしのサポート部の安藤小百合氏、ゆたかなコミュニケーション室の島田貴弘氏に話を聞いてみました。

1.シニアライフあんしんサポートとはどんな取り組み?

――シニアライフあんしんサポートの概要について教えてください。

安藤:シニア世代のお客様やそのご家族が安心して生活できることを目指し、お一人おひとりに寄り添いながら、将来について一緒に考える取り組みです。各店舗がシニアのお客様に寄り添ったサービスを提供するためのサポートを行う「あんしんサポートデスク」の運営をはじめ、老後やもしもに備えた財産管理、相続をサポートする商品やサービスの提供、地域包括支援センターとの連携による生活のサポートなどを行っています。また、職員や地域に向けた取り組みとしては、認知症サポーターの養成も実施しています。

2.窓口に来られるお客様のなかに、認知機能の低下が疑われる方が増えてきた

――シニアライフあんしんサポートはどのようなきっかけで始めたのでしょうか。

安藤:窓口に来られるお客様のなかに、認知機能の低下が疑われる方が増えてきたことがきっかけです。認知症と思われる症状によりご本人の意思確認が難しいため、出金ができないケースも多々見られるようになり、各店舗は対応方法について頭を悩ませていました。そこで当金庫では、そのようなお客様の対応のために、地域包括支援センターとの連携を2018年から開始しています。また同時に、認知症が疑われるお客様の対応や、成年後見制度に関する研修を実施するなど、少しずつ高齢者に関する取り組みを進めていきました。

現在提供している「シニアライフあんしんサポート」の取り組みの一つとして、2022年に導入した予約型代理人「つないで安心代理人サービス」があります。これは、お客様が認知症と診断され、ご自身でお金の管理ができなくなり、お取引が困難になられた場合に備え、あらかじめ当金庫とのお取引について代理人をご指定いただけるサービスです。事前に代理人を指定することで、万が一認知症になられた場合も、財産管理に困らず安心してお過ごしいただけます。

京都信用金庫で提供している「シニアライフあんしんサポート」の一覧

京都信用金庫で提供している「シニアライフあんしんサポート」の一覧

満川:このようなサポートの提供を開始した背景には、シニアのお客様によるクレームが挙げられます。お客様のなかには、「自分の預金が減っている。誰かが取ったのではないか」などと店頭で怒る方もいらっしゃり、今まで当金庫では、それらはクレームの一種として捉えていました。しかし、高齢化の影響もあり世の中に認知症に関する情報が広まるうちに、「このようなお客様はクレームを言いたいのではなく、認知症の発症によって、ご自分でもどうして良いか分からなくなっている可能性がある」ということが判明したのです。そこで、お客様ご本人はもちろん、ご家族や職員の負担軽減のためにも、高齢者支援に関する取り組みを見直すことになりました。

3.地域包括支援センターとの連携

――地域包括支援センターとは、具体的にどのように連携をとっているのでしょうか。

安藤:主な連携方法としては、窓口の職員がお客様と接した際に、「もしかして認知症では?」と感じた時に連絡を取るようにしています。お客様のなかには、短期間のうちに何度も通帳を紛失したり、年金が振り込まれる月ではないのに何度も振り込みの確認に来られたりするなど、認知症が疑われる方もいらっしゃいます。このようなお客様が来店された場合は、ご本人の同意を得たうえで、地域包括支援センターに繋ぐという流れです。もちろん、同センターについてご存じない方も多いため、「困ったことを気軽に相談できるところなので、一回連絡してみましょうか」と、センターの概要について簡単に説明した後に、必要に応じて連絡を取っています。ほかにも、地域のケア会議に当金庫の職員が参加して情報共有をしたり、同センター主催のセミナーを開催していただいたりと、関係性を絶やさないようにしています。

満川:地域包括支援センターとのスムーズな連携のためには、普段から情報共有を行うことが非常に重要だと感じています。お客様のお名前や生年月日などは個人情報にあたるため、お互いに個人情報をうまくやり取りするには、普段からの信頼関係の構築が欠かせません。有事の際にのみ連絡するのではなく、転勤の際に挨拶に行ったり、最近の出来事などについて話し合ったりしておくことがポイントなのではないでしょうか。また、同時に、高齢者支援に関する職員のリテラシーを高めていくことも大切だと感じています。

4.毎年新入職員に向けて認知症サポーター養成講座を実施

――認知症サポーターの養成も実施されているとのことですが、職員の皆さんからの反応はいかがですか。

安藤:現在は、毎年新入職員に向けて認知症サポーター養成講座を実施しているのですが、実施後のアンケートを見ると、「今まで認知症の方は全てをサポートする必要があると思っていたけれど、講座を受けてイメージが変わった」という回答が大半で、認知症への理解を深める重要性を感じています。当金庫では、約1800人の職員のうち96%が同講座を受講しており、ほとんどの職員が認知症サポーターの証であるオレンジ色のリングをストラップにつけて勤務しています。窓口に認知症のお客様が来店された際に適切な対応ができるよう、今後も講座の実施を継続していく予定です。

認知症サポーター養成講座を受講した職員が身につけているオレンジ色のリング

認知症サポーター養成講座を受講した職員が身につけているオレンジ色のリング

5.「認知機能チェック」も提供

――認知機能の状態を確認する「認知機能チェック」も提供されているそうですね。同サービスの概要や課題解決についてもお聞かせください。

安藤:認知機能チェックは、一般社団法人 日本意思決定支援推進機構という団体と、当金庫が共同で提供している完全予約制のサービスです。内容としては、病院の検査でも実施されている「改訂長谷川式簡易知能評価スケール」という検査方法を用いて公認心理師が10問程度の質問を行い、記憶力や認知機能の状態を確認するものです。だいたい10分から15分程度で回答でき、チェックが終わった後は、公認心理師の方が実施報告書をその場でお渡し、結果説明を行います。このチェックは認知機能の状態の目安となるもので、認知症を診断するものではありませんが、「結果を踏まえたアドバイスや、日常でできる認知症の予防法など丁寧なカウンセリングが受けられる」と好評で、多くのお客様にご利用いただいています。

島田:この認知機能チェックの結果は、我々職員が内容を確認することはできません。そのため、次回お客様とお会いした際に、お客様から「実はこんな結果だったんだよね」とお話いただいた場合のみ、「では万が一の場合に備えて、このような商品はいかがですか」とご提案するようにしています。「自分はもしかしたら認知症ではないか」と不安に思われているお客様も多くいらっしゃるため、あくまで参考程度にはなりますが、健康診断のように気軽に受けていただければ嬉しいです。

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タケウチ ノゾミ(Nozomi Takeuchi)

ライター・編集者

福岡市在住のフリーライター・編集者。介護、医療、ビジネスを中心に幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は観劇と美術鑑賞、猫を揉むこと。

タケウチ ノゾミの執筆・監修記事

EGGO(イージーゴー)

イージーゴーは東京・九州を拠点にWEBコンテンツ、紙媒体、動画等の企画制作を行う編集制作事務所です。ライターコミュニティ「ライター研究所」も運営しています。

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