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職場・悩み 介護の転職お役立ち 2023/01/06

介護職が仕事に慣れるまでどれくらいかかる?焦らなくていい理由と介護福祉士の経験談を紹介

文/中村 亜美 1.jpg

介護の仕事に就いたもののなかなか職場に慣れず、「このまま雰囲気に慣れないで仕事をし続けなくてはいけないのかな?」と不安に思う人もいるのではないでしょうか?

この記事では、「介護の仕事に慣れず不安に思う人」に向けて、焦らなくていい理由と筆者の経験を紹介していきます。
介護の仕事に慣れなくてつらい思いをしている方は、ぜひ参考にしてみてください。

1.介護職員が仕事に慣れるまでの期間

介護職員が仕事に慣れる期間は、だいたい3か月といわれています。ただし、介護の仕事に慣れる期間は人によってまちまちだと思います。ちなみに、筆者は仕事に慣れるまで1年ほどかかりました
筆者の経験上、実際に3か月で仕事に慣れるのは相当難しいなと感じています。

2.介護の仕事に早く慣れる人の特徴

人によって慣れるまでの期間は異なるとしても、介護の仕事に早く慣れる人は実際にいます。筆者もこれまで、さまざまな新人職員と関わってきましたが、仕事に早く慣れる人にはある特徴がありました。それは、「スタッフとのコミュニケーションが上手な人」です。
そういう人は、先輩職員の懐にうまく入っていける不思議な能力があり、自分の居やすい環境を確保できてしまうのです。

例えば、コミュニケーションが上手な人は先輩職員と休憩をとるときに、笑顔で受け答えしています。スタッフ同士が一緒に休憩をとるスタイルの施設であれば、休憩中はスタッフ間の距離を縮めるチャンス。自分から無理に話しかけるよりも先輩からの質問や話に笑顔で返答できるほうが、相手にも好かれやすく距離が縮まります
話しやすいスタッフを多くつくると、仕事中も周囲と馴染みやすく、比較的早く慣れることができるでしょう。

3.仕事に慣れなくても焦らなくていい理由

仕事に慣れない自分に焦ってしまうことがあるかと思いますが、筆者も新人職員時代、仕事になかなか慣れず、慣れるのが早い同期の職員と自分を比べては落ち込んだものでした。
しかし、仕事に慣れないからといって「慣れよう」と無理する必要はありません。その理由を以下で詳しく説明していきます。

ペースは人によってそれぞれ

介護の仕事は人相手で応用力が必要な面もあり、慣れるのに時間がかかる人も多くいます。しかし、早く慣れることが必ずしもいいわけではありません。

筆者の介護職員時代に、コミュニケーション能力が高く比較的早く仕事に慣れた新人職員と、なかなか慣れない新人職員がいました。

早く慣れた職員は確かに要領がよく、先輩職員や利用者さんとも打ち解け、話を弾ませていました。しかし、入社して1年が経った頃、その職員が誤薬や介助間違い、記録の記入漏れなどのミスを立て続けにしてしまったことがありました。
一方で仕事に慣れるのに時間がかかった職員は、ゆっくりと自分のペースで仕事を覚え、正確で丁寧なケアを実現していました。

このように、仕事を覚えたり慣れたりすることのペースは、自身の介護ケアの質には直結しません。
大切なのは早く慣れることではなく、着実に利用者さん一人ひとりに合った介護ケアを理解し、実践できるよう技術を磨くことだと、筆者はこのとき改めて感じました。

仕事の内容を適切に理解し自分のものにすることで、より深く理解することができるのです。こうして早い段階で「介護」と向き合って仕事をすることで、長く時間が経ったときに、大きく差がつくのではないかと思います。

後輩ができたときに気持ちに寄り添える

筆者の介護職員時代に、新人職員に対して「仕事が遅い」と厳しく当たる先輩職員がいました。これは、周りから見ていても気持ちの良いものではなく、私も「なぜこの先輩は慣れない仕事をする後輩職員の気持ちを考えてあげられないのだろう」と不思議に思った経験があります。今考えると、この先輩職員は新人時代、「慣れない自分」についてあまり悩まなかったのかかもしれません。

仕事に慣れないことで、「不安・焦り・つらさ・しんどさ」を経験していると、自分が年齢を重ねたときに新人職員の気持ちがわかるようになり、自然と寄り添いながら接することができると思います。

新人職員も、「自分の気持ちを受け入れてくれた上でアドバイスしてもらえている」ことがわかると、先輩職員からのアドバイスも聞き入れやすく、結果的にお互いにとって働きやすい環境になるはずです。

仕事に慣れないことに悩んでいる今は、決して無駄ではなく、未来の自分につながっているといえるのです。

4.仕事に慣れるために工夫できること

筆者も介護施設で働き始めた頃、なかなか仕事に慣れず苦労していました。そんな状況を打破するために特に工夫したのは、情報を頭にたたき込むことでした。

介護施設では、スタッフが1人になる時間が多いのも現実。そのため、いつ自分1人でフロアを任されてもいいように、情報をまとめるようにしていました。
メモやノートにまとめた内容は以下のとおりです。

・利用者さんの名前や部屋の位置、席の位置
・利用者さんについて知り得た情報(介助方法や留意点など)
・スタッフの名前
・仕事の具体的な流れ

現場で知り得た情報をその場でメモし、家に帰って内容をノートにまとめていきました。そして、ノートにまとめた後に「自分のなかでまだよくわかってない曖昧な情報は何か」を明確にし、次の日に先輩職員に、ピックアップしたわからない部分を質問するようにしていました。

そうやって事前に質問事項をピックアップしていくと、自分自身のわからない部分を客観的に発見することができ、また質問する際にも時間短縮することができます。沢山まとめたノートを見ながら質問することで、先輩職員によってはその姿勢に好感を持ってくれる可能性もあります。

実際に私も、先輩職員の貴重な時間を「質問時間」に何度も使っていただいたにも関わらず、先輩職員から意欲的な姿勢を評価してもらえた経験がありました。

ただし、質問する際は先輩職員への気遣いも大切。忙しいなか対応してくれているという気持ちを忘れずに、質問の前には「すみません。ご都合のいいときでかまいませんので2点ほど質問よろしいでしょうか?」など、先輩の都合を伺い、質問に答えてもらえた後は必ず感謝を伝えるようにしましょう。仕事に前向きな姿勢に好感を持ってもらえると、それだけでとっさのときも質問がしやすい環境になります。

質問しにくい職場なら、質問して仕事をしやすい雰囲気にしてみよう

仕事に慣れず悩む人の多くは、実は「質問しにくい環境に悩んでいるのではないか」と筆者の経験から感じていました。職場環境が明らかに悪い場合は別ですが、そうでなければ丁寧に質問していくことで、先輩職員と一緒に仕事しやすい雰囲気を自分でつくってしまうのも1つの手です。

また、今自分にできない仕事が何であるかを具体的に把握したら、それができるようになるためにはどういう流れで仕事を進めるのがいいのかを、仕事前にイメージトレーニングしてみるのもおすすめです。
介助方法など覚えきれないことがあれば、空いた時間に介助の流れをイメージしておくことで覚えやすくなります。

5.介護の本質を理解して、利用者さんに寄り添ったケアを

仕事に慣れないからといって焦る必要はまったくありませんが、慣れると業務がスムーズにできるメリットもあります。
仕事に慣れるために一番大切なのはコミュニケーションです。できるだけコミュニケーションをとるようにすると現状を打開できる可能性が高くなると思います。

また、仕事に慣れることも大切ですが、新人時代に質の高い介護ケアを吸収することも重要です。「なんとなく雰囲気に慣れただけ」にならないよう、しっかりと介護の本質を理解し、利用者さんに寄り添ったケアができるような介護職員にステップアップしていきましょう。

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中村亜美(Ami Nakamura)

介護福祉士

2007年に介護福祉士を取得後、特別養護老人ホームで介護職員として勤務。ユニットリーダーとしての経験もある。現在はWebライターとして主に介護系の記事を執筆している。

中村亜美の執筆・監修記事

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