就労継続支援B型の職員はきつい?理由や悩み、対処法を解説!
文/瀧澤伸夫(介護福祉士・社会福祉士)「就労継続支援B型」をご存知でしょうか。これは、障害や難病のため一般の会社で仕事をするのが難しい方が、仕事をしながら訓練を受けられる障害福祉サービスです。
就労継続支援B型事業所で利用者さんを支援する職員は、ほかの障害福祉サービスにはない知識やスキルを求められることが多く、大きなやりがいが得られます。一方で、「就労継続支援B型の職員はきつい」といわれることもあります。
そこでこの記事では、就労継続支援B型での勤務経験を持つ筆者が、就労継続支援B型の仕事が「きつい」といわれる理由や悩み、対処法、仕事のやりがいなどについて紹介します。就労継続支援B型事業所で働きたい方や興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
- 目次
- 1.就労継続支援B型の職員の仕事が「きつい」といわれる理由
- 利用者さんへの支援が難しい
- 仕事が忙しい
- 職場環境が悪い
- 2.就労継続支援B型の職員によくある悩み
- 給与が低い
- 職場の人間関係
- 仕事内容のイメージと異なる
- 3.就労継続支援B型の職員が大変だと感じたときの対処法
- 仕事に関連した資格を取得する
- 同僚や上司に相談する
- 転職・異動をする
- 4.就労継続支援B型の職員としてのやりがいは?
- 利用者さんの理解が深まる
- スキルアップが実感できる
- プライベートが充実させやすい
- 5.就労継続支援B型の職員に向いている人
- コミュニケーションが得意
- 物事に柔軟に対応できる
- 体力がある
- まとめ:就労継続支援B型はやりがいのある仕事!勇気を持って挑戦してみよう
1.就労継続支援B型の職員の仕事が「きつい」といわれる理由
就労継続支援B型の職員の仕事が、「きつい」といわれる理由はいくつかあります。ここでは、代表的な理由を3つ紹介しましょう。
利用者さんへの支援が難しい
就労継続支援は、雇用型のA型と非雇用型のB型に分けられます。A型に比べてB型のほうが障害の程度の重い方が多く、より専門的な支援が必要になってきます。また、障害者自立支援法によって障害者施策が「3障害一元化」されたため、支援する利用者さんは知的・身体・精神の障害がある方になります。
さらに、利用者さんの障害特性や個別性に合った作業を考える必要があるため、利用者さんだけでなく生産活動に対する理解も重要になってきます。これらの点は、入所施設での支援や高齢者支援にはない難しさだといえるでしょう。
仕事が忙しい
就労継続支援B型の職員は、利用者支援だけではなく生産活動も行います。
利用者支援は利用者さんの障害特性や個別性を理解し、一人ひとり異なった支援が必要となるため、決して楽な仕事ではありません。
一方の生産活動は、「利用者さんのみが行っている」とイメージされがちですが、実際は職員も一緒に行います。活動はのんびりした雰囲気ではなく、生産目標や売上目標の達成も必要になります。
なお、生産活動にはお菓子作りや内職作業などさまざまなものがあり、それらは利用者さんへの工賃(給料)の原資となります。
職場環境が悪い
就労継続支援B型の生産活動は、冷房の効いた室内で行うものだけではありません。なかには、冷房が効きにくい工場内でのクリーニング作業や、炎天下で行う農作業・清掃作業などもあります。
工場用のサーキュレーターや、水分補給などの暑さ対策はしっかり行われていますが、快適な職場環境とはいえません。
2.就労継続支援B型の職員によくある悩み
ここでは、就労継続支援B型の職員が抱える悩みについて紹介します。
給与が低い
就労継続支援B型の職員が抱える悩みの一つに、給与が低いことが挙げられます。厚生労働省が行った調査によると、施設入所支援(入所施設)の職員の年間平均給与が446万円であるのに対し、就労継続支援B型の職員は347万円でした。勤続年数が短いことや夜勤手当がないことも影響していると思われますが、年間で約100万円はかなり大きい差といえます。ただし、事業所間でも差があるため、給与については入職前にきちんと調べたほうがよいでしょう。
職場の人間関係
公益財団法人介護労働安定センターが行った調査(複数回答可)によると、「直前職が介護関係の仕事だった介護従事者の直前職を辞めた理由」の第1位は、「職場の人間関係に問題があったため」で34.3%でした。
この調査は幅広い介護職が対象となっていますが、就労継続支援B型の職員にも人間関係の悩みはつきまといます。
就労継続支援B型の仕事はチームで行いますが、人手不足や職員一人ひとりの仕事への姿勢、支援に対する考え方の違いなどが人間関係に大きく影響し、仕事上のストレスとなるケースは少なくありません
仕事内容がイメージと異なる
前述のとおり就労継続支援B型の仕事には、利用者支援のほかに生産活動があります。これは、高齢者福祉やほかの障害福祉サービスと大きく異なる点で、「障害者福祉=介護」をイメージしていた職員にとって、受け入れにくいものでしょう。
さらに、生産活動にはクリーニングや清掃、パソコン作業などとさまざまな種類があるため、「活動の内容がイメージと大きく違った」と悩む職員も多いようです。
3.就労継続支援B型の職員が大変だと感じたときの対処法
ここまで、就労継続支援B型の職員がきついと感じる理由や、代表的な悩みについて紹介してきました。ここからは、それらを解決する対処法を紹介します。
仕事に関連した資格を取得する
就労継続支援B型の職員の仕事が大変だと感じる原因の一つに、知識・スキル不足があります。その点についての対処法として、おすすめしたいのは資格の取得です。
就労継続支援B型の職員におすすめの資格は、以下のとおりです。
- 介護福祉士実務者研修
- 介護福祉士
- 社会福祉士
資格の勉強を通して知識やスキルが身につけば、さまざまな問題に対処しやすくなります。筆者も上記の資格をすべて保有していますが、資格取得のために勉強したことで、実務に役立つ幅広い知識・スキルが身につきました。
また、資格が手当の対象となり、給与がアップする場合もあります。さらに、転職シーンで有利に働く可能性もあるでしょう。
同僚や上司に相談する
悩みがあれば、同僚や上司に相談してみましょう。同じ悩みを抱えていたり解決した経験があったりすれば、効果的な利用者支援や効率的な仕事の進め方など、的確なアドバイスがもらえるはずです。
ただし、職場の人間関係について相談すると、ほかの職員に知られて新たな火種を生んでしまうリスクがあります。人間関係については、定期的に行われる上司との面談の際に相談するほうが無難かもしれません。
転職・異動をする
「どうしても今の仕事が合わない」という方は、思い切って転職してもよいかもしれません。就職・転職前に念入りに調べたとしても、「実際に働いてみたら想像と違った」というのはよくあることです。大変だと感じる原因を分析して、それを解決できる職場に転職しましょう。
その際は、自分が興味のある分野の生産活動を行っている事業所に転職するのも、一つの方法です。ちなみに、筆者が以前いた事業所では熱帯魚の販売をしており、魚好きの方には絶好の環境でした。調理が好きなら、パン作りやお菓子作りを行っている事業所もおすすめです。
もし、会社内のほかの部署へ異動することで問題が解決できるなら、異動も検討してみましょう。その場合は、慣れた会社環境で仕事を継続できるというメリットがあります。
筆者が以前所属していた事業所には、異動希望の制度がありましたが、転職を希望する事業所に同様の制度があるかを確認しておくのもよいでしょう。
4.就労継続支援B型の職員としてのやりがいは?
「負の部分」の話が多くなりましたが、就労継続支援B型にもやりがいは当然あります。以下では、就労継続支援B型だからこそ感じられるやりがいについて紹介しましょう。
利用者さんの理解が深まる
働き始めた頃は、誰しも手探りで利用者さんを支援するケースが多いものです。しかし、経験を重ねるうちに、利用者さんの障害特性や個別性が徐々に理解できるようになっていきます。
特に就労継続支援B型では、生産活動を通してともに仕事をすることで、利用者さんの理解がより深まります。理解が深まれば、利用者さんの特性を見つけやすくなるため、利用者さんだけでなく職員自身も成長できるでしょう。
スキルアップが実感できる
利用者さん一人ひとりの課題やニーズをアセスメントでき、適切な支援を実施するスキルが身につくと、思うようにできなかった支援もうまくできるようになります。筆者にもこんな経験があります。
ある事業所で働いていたとき、自分で食事はできるものの食べ方のこだわりが強く、昼食に1時間以上かかってしまう利用者さんがいました。そこで、こだわりをじゃましない範囲で声かけを工夫してみたところ、スムーズに食事ができるようになり、半分の30分で食事ができるようになりました。これも、アセスメントのスキルが、適切な支援につながった事例といえるでしょう。
利用者さんが抱える障害や疾患の知識がつけば、支援スキルの向上にもつながります。
プライベートを充実させやすい
就労継続支援B型事業所の多くは、一般的な会社と同じように平日の日中に営業し、土日祝日は休みになります。入所施設で働く職員のように、夜勤や変則勤務もありません。
そのため、学校に通うお子さんや、ほかの業界で働く友人・知人ともスケジュールが合いやすく、プライベートの充実が図れます。そうした環境は、ストレスの解消にも効果的です。
5.就労継続支援B型の職員に向いている人
最後に、就労継続支援B型の職員に向いている人を紹介します。
コミュニケーションが得意
ほかの障害福祉サービスと同じように、就労継続支援B型でもコミュニケーションスキルが求められます。ただし、就労継続支援B型の場合は、対利用者・対職員だけでなく、生産活動の取引先とのコミュニケーションがあるのが大きな特徴です。
例えば、生産活動がパン製造なら一般のお客様、クリーニングならホテル・病院の担当者に対応する必要があります。もし、類似の仕事の経験があれば、そうした状況にもスムーズに対応できるでしょう。
物事に柔軟に対応できる
就労継続支援B型では、利用者さんの些細な変化に気づいて対応できる、福祉的な柔軟さが求められます。加えて、生産活動をスムーズに行うためのビジネス的な対応も必要です。
利用者さんの体調不良に対応したかと思えば、生産活動では機械の故障や急な発注依頼に対応する。そんな具合です。ビジネス的な対応は、一般の会社での勤務経験があれば、うまくできるでしょう。
体力がある
就労継続支援B型では、入所施設のような夜勤はありません。しかし、野外作業や工場作業があるため体力が求められます。前述したように、炎天下の屋外や暑い工場内で汗をかきながらの作業もあります。
そのため、体力に自信のある方は向いているかもしれませんが、冷房の効いた室内で仕事をしたい方は難しいかもしれません。
まとめ:就労継続支援B型はやりがいのある仕事!勇気を持って挑戦してみよう
就労継続支援B型の仕事には大変な面もありますが、そのほとんどはしっかり対処すれば解決できるものです。
また、ほかの障害福祉サービスとは異なる特徴があるため、就労継続支援B型でしか味わえないやりがいも感じられます。就労継続支援B型に興味のある方は、ぜひ挑戦してみてください。
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