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仕事・スキル 介護士の常識 2022/07/27

スクールソーシャルワーカー(SSW)とは?仕事内容・なる方法

構成・文/介護のみらいラボ編集部 2.jpg

スクールソーシャルワーカーという言葉を聞いたことがあっても、「具体的な仕事内容まではわからない」という方も多いのではないでしょうか。スクールソーシャルワーカーは、学校に通う児童生徒を支援する仕事ですが、必ずしも学校に所属して働いているわけではありません。

この記事では、スクールソーシャルワーカーという仕事の概要から、具体的な仕事内容、勤務先・配置方法までを解説します。スクールソーシャルワーカーになるために必要な知識・技術なども紹介するので、スクールソーシャルワーカーに興味がある方はぜひお読みください。

1.スクールソーシャルワーカー(SSW)とは?

スクールソーシャルワーカー(SSW)とは、児童生徒が抱えているさまざまな問題の解決を図る専門職です。

児童生徒のなかには、いじめや暴力行為、虐待といった問題を抱えている子どももいます。そして、そうした事例の背景には、本人の心の問題や家庭、友人関係、地域、学校など、児童生徒が置かれている環境の問題が複雑に絡み合っており、家庭や学校だけでは解決困難なケースが多く見られます。

家庭や学校だけで解決が難しい問題には、学校内外の関係機関と連携を取りながら、きちんと対応にあたる必要があります。そのようなケースにおいて、児童・生徒と家庭、学校、関係機関などとのネットワークを構築し、連携・調整する役割を果たすのがスクールソーシャルワーカーです。

スクールソーシャルワーカーは、児童生徒個人の環境への適応力を上げる支援をするとともに、子どもを取り巻く環境、つまり学校や地域社会などの仕組みにも働きかけ、子どもたちが抱える問題の解決を図ります。

(出典:文部科学省「SSWガイドライン(素案)」
(出典:文部科学省「児童生徒の教育相談の充実について~学校の教育力を高める組織的な教育相談体制づくり~」

スクールソーシャルワーカーとスクールカウンセラーの違い

スクールソーシャルワーカーに似た仕事として、スクールカウンセラーが挙げられます。どちらも問題を抱える児童生徒の支援を目的とした職種ですが、仕事内容や役割は異なります。

スクールソーシャルワーカーの仕事は、児童生徒を取り巻く環境に働きかけることが基本。家庭や学校、地域社会などの環境に働きかけることで、児童生徒が抱える問題の解決を目指します。

一方、スクールカウンセラーは、「心の専門家」として、児童生徒の心の問題に対するケアや心理的なサポートを担当します。児童生徒のなかには、いじめや不登校、友人関係や家族関係、精神疾患や自傷行為など、さまざまな問題や悩みを抱える子どもがいます。そうした問題を抱える子どもたちから相談を受け、助言をするなかで、子どもの心のケアやサポートをするのがスクールカウンセラーの仕事です。

また、保護者や教員へのカウンセリング、教員への研修、児童生徒への講話なども行い、教育相談をスムーズに行うための仲立ち的な役割も果たしています。

(出典:文部科学省「2 スクールカウンセラーについて」
(出典:文部科学省「児童生徒の教育相談の充実について~学校の教育力を高める組織的な教育相談体制づくり~」

2.スクールソーシャルワーカーの仕事内容

スクールソーシャルワーカーの仕事内容は、主に以下の通りです。

○問題を抱える児童生徒と、児童生徒が置かれた環境への働き掛け
児童生徒のなかには、家庭内での虐待や貧困、学校でのいじめ、不登校といった問題を抱える子どもがいます。スクールソーシャルワーカーは児童生徒の相談に乗り、情報を集めて状況を把握した上で、児童生徒の家族や友人、学校、地域などに働きかけることで状況の改善を目指します。そうやって、児童生徒が置かれた環境の改善を図ることが、スクールソーシャルワーカーの最も大切な役割といえるでしょう。

○学校内におけるチーム支援体制の構築、支援
スクールソーシャルワーカーは、学校内で教職員が行っているケース会議にも参加し、「どのケースにどのような支援、対策が必要なのか」を具体的にコンサルティングします。また、教職員が普段行っている見立てや問題解決のプランニングについても、指導やアドバイスを行い、学校内におけるチーム支援体制づくりを支援します。

○関係機関などとのネットワークの構築、連携・調整
問題を抱えた児童生徒やその家族、学校と関係機関との橋渡しも、スクールソーシャルワーカーの大切な仕事です。

関係機関は、解決すべき問題の種類によって異なります。関係機関として挙げられるのは、児童相談所、自立相談支援機関といった福祉関係機関、病院をはじめとする保健医療関係機関、転出先の学校といった教育関係機関など。ソーシャルワーカーは、それらの関係機関を児童生徒やその家庭とつないだり、利用できる制度を紹介したりするなかで、問題の解決を図ります。

○保護者、教職員らに対する支援・相談・情報提供
児童生徒個人だけではなく、児童生徒を支える保護者や教職員へのサポートもスクールソーシャルワーカーの役割です。問題を解決するには、児童生徒の家族の心にも寄り添う必要があるため、定期的な家庭訪問を実施したり、保護者と教職員との橋渡しを行ったりすることも、スクールソーシャルワーカーの仕事となります。その際、保護者や教職員に対して問題解決に役立つ情報も提供します。

○教職員などへの研修活動
児童生徒が抱える問題を、スクールソーシャルワーカーの力だけで解決するのは難しく、家族や教職員の理解・支援が必要不可欠です。そのため、教職員に対しての校内研修やPTA研修会を実施し、家庭や学校で起こり得る問題や福祉に関する知識を教えるのも、スクールソーシャルワーカーの役割となります。

(出典:文部科学省「SSWガイドライン(素案)」
(出典:文部科学省「児童生徒の教育相談の充実について~学校の教育力を高める組織的な教育相談体制づくり~」

3.スクールソーシャルワーカーの職場・配置方法

スクールソーシャルワーカーは、子どもたちを効果的に支援するために、小学校や中学校、高校、教育委員会、教育事務所など、さまざまな職場に配置されます。ここでは、スクールソーシャルワーカーの主な職場と配置方法について紹介します。

○単独校方式
特定の学校にスクールソーシャルワーカーを配置する方法で、単独校方式の場合、スクールソーシャルワーカーは配置された学校だけを担当します。1つの学校だけを集中して担当できるため、保護者や教職員との信頼関係を築きやすいのがメリットといえるでしょう。

○拠点校方式
拠点校方式は、拠点となる学校に配置されたスクールソーシャルワーカーが、近隣の学校も対象校として担当する方法です。

○派遣方式
教育委員会や教育相談センターが配属先となり、スクールソーシャルワーカーは要請があった学校に随時派遣されます。

○巡回方式
派遣方式と同様に教育委員会や教育相談センターが勤務先です。拠点校方式と派遣方式の中間のような活動となり、スクールソーシャルワーカーは担当する領域内の複数の学校を順番に訪問します。

(出典:文部科学省「SSWガイドライン(素案)」
(出典:文部科学省「児童生徒の教育相談の充実について~学校の教育力を高める組織的な教育相談体制づくり~」

4.スクールソーシャルワーカーになるには?

スクールソーシャルワーカーになるには、教育や福祉の分野での活動実績があり、教育と福祉の両面に関して、専門的な知識や技術を持っている必要があります。

スクールソーシャルワーカーは、児童生徒と向き合う仕事です。そのため、学校教育や日本の教育制度への基礎知識を有していることが求められます。また、福祉制度を活用したり、福祉関係機関と連携したりすることが多いため、福祉制度の知識も必要です。

加えて、コミュニケーション能力もスクールソーシャルワーカーに必要なスキルの一つです。スクールソーシャルワーカーは、児童生徒や保護者の話を聞いたり、関係者や関係機関と連携を取って調整を行ったりします。関係者の連携を円滑に進めるためにも、高いコミュニケーション能力が求められるでしょう。

スクールソーシャルワーカーという資格試験はありませんが、社会福祉士や精神保健福祉士、臨床心理士の資格取得が求められる職場が大半を占めます。なお、社会福祉士と精神保健福祉士の資格所有者は、日本ソーシャルワーク教育学校連盟が認定するスクールソーシャルワーク教育課程の教育課程を修了する必要があり、臨床心理士の資格所有者は、指定の保健福祉系大学院を卒業する必要があります。

(出典:文部科学省「児童生徒の教育相談の充実について~学校の教育力を高める組織的な教育相談体制づくり~」

まとめ

スクールソーシャルワーカーとは、児童生徒が抱える、いじめや虐待といったさまざまな問題の解決を図る仕事です。家庭や学校、地域社会など、問題を抱えた児童生徒を取り巻く環境に働きかけ、問題解決の支援をします。

スクールソーシャルワーカーになるための資格試験はありませんが、社会福祉士もしくは精神保健福祉士、臨床心理士の資格取得を求める職場がほとんどです。いずれかの資格を持っている方は、スクールソーシャルワーカーを目指してみてはいかがでしょうか。

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※当記事は2022年6月時点の情報をもとに作成しています

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