障害支援区分とは?概要や認定手続きの方法をわかりやすく解説
文/山本史子(介護福祉士)
障害支援区分とは、障がいのある方がその人に応じた福祉サービスを受けるための判断基準となるものです。6つの区分があり、それぞれ受けられる福祉サービスは異なります。
この記事では、障害支援区分の具体的な内容をわかりやすく解説するとともに、認定手続きの流れや受けられる障害福祉サービスについて紹介します。障がい者の状態にあったサービスを受ける手助けができるよう、理解しておきましょう。
1.障害支援区分とは
障害支援区分は、障がいのレベルや状態によって1~6の段階で区分されています。数字が大きいほど対象者への支援が必要です。障がいの特性や心身の状態は個人差があり、なかには医療的支援が必要な方もいます。障害支援区分は、支援が必要となる程度の総合的な判断基準となっており、福祉サービスを受けるためには、認定が必要です。
障害支援区分の認定調査項目
障害認定区分は、以下の5つの項目に沿って認定調査を行い、区分の判定をします。
① 移動や動作等に関連する項目(12項目)
② 身の回りの世話や日常生活等に関連する項目(16項目)
③ 意思疎通等に関連する項目(6項目)
④ 行動障害に関連する項目(34項目)
⑤ 特別な医療に関連する項目(12項目)
基準となる関連項目は全部で80項目あります。参考として内容の一部を表にまとめました。
障害支援区分の認定調査項目 | 内容 |
---|---|
①移動や動作等に関連する項目 |
● 寝返りや立ち上がり・歩行できるか ● 着替えができるか ● 褥瘡ができていないか ● 飲み込み(嚥下)はできるか など |
②身の回りの世話や日常生活等に関連する項目 |
● 食事の状況 ● 排せつの状況 ● 入浴の状況 ● 掃除や洗濯・買い物はできるか ● 日常の意思決定 ● 危険の認識 ● 電話や交通手段の利用 など |
①意思疎通に関連する項目 |
● 視力 ● 聴力 ● コミュニケーション ● 読み書き ● 感覚過敏・感覚鈍麻 など |
①行動障害に関連する項目 |
● 昼夜逆転 ● こだわり ● 多動・行動停止 ● 集団への不適応 ● 水中毒になるほど、水を飲み過ぎていないか ● 自傷・他傷行為 など |
①特別な医療に関連する項目 |
● 透析 ● 酸素療法 ● 経管栄養 ● モニター測定 など |
上記の内容は、障がいの特性や対象者の意欲・慣れていない状況や場所によって異なり、できない状態を含めて判断されます。
2.障害支援区分認定の手続きはどうすればいい?
障害支援区分の認定手続きは、対象者の住む市区町村の窓口(社会福祉課、障がい福祉課など、市区町村によって名称が異なります)で行います。障害支援区分認定を受けると、障害福祉サービスが利用できます。サービスを受ける際の自己負担額や上限は、所得によって異なるため、事前に確認しておきましょう。また、認定調査を受けると同時に、主治医の意見書が必要になるため、あらかじめ受診しておくことが大切です。
認定手続きの流れ
障害支援区分認定の手続きは、以下のような流れです。
① 市区町村の窓口へ申請
② 認定調査員による認定調査
③ 一次判定(コンピュータ判定)
④ 二次判定(市町村審査会)
⑤ 市区町村による認定
市区町村の窓口で申請すると、認定調査員が自宅に訪問し、聞き取りや行動の調査を実施します。認定調査員は、該当する市区町村から委託された、指定相談事業者等の担当者が行います。
認定調査後は、認定調査の結果と主治医意見書の一部をもとにコンピュータの一次審査を行いますが、この段階ではまだ決定していません。
続いて、認定調査の特記事項や主治医意見書を参考に、市町村審査会を実施します。市町村審査会は、障がい者の相談を受けた経験がある保健師や、ケースワーカーなど5名程度で行われます。障害支援区分認定の結果は、申請から約2カ月かかることもあるため、認定結果が出るまで時間がかることを考慮しておきましょう。
3.認定を受けるとどのようなサービスを受けられるのか
障がい者が利用できるサービスは、障害支援区分によって受けられる「障害福祉サービス」と、市区町村の取り組みによって受けられる「地域生活支援事業」の2つに分けられます。
地域生活支援事業は、地域の特性や環境、利用者の状況に応じて、市区町村が実施主体となり実施される支援事業です。詳しいサービス内容は、対象者の市区町村に確認しましょう。また、障害福祉サービスは、日常生活における支援が受けられる「介護給付」と訓練等の支援が受けられる「訓練等給付」があります。
障害福祉サービスの具体的な内容の一例を以下の表にまとめました。
介護給付 | サービス内容 |
---|---|
居宅介護 (区分1以上など条件あり) |
自宅での入浴・排せつ・食事の介護 |
重度訪問介護 (区分4以上など条件あり) |
● 自宅で入浴・排せつ・食事時の介護 ● 外出時の移動支援 ● 入院時の支援 など総合的に行う |
同行援護 | 視覚障がい者の移動や必要な情報提供・介護 |
行動援護 (区分3以上など条件あり) |
● 危険を回避するために必要な支援 ● 外出支援 |
重度障害等包括支援(区分6) | 居宅介護等複数のサービスを包括的に行う |
短期入所(ショートステイ) (区分1以上など条件あり) |
夜間を含む短期間の、入浴・排せつ・食事の介護 |
療養介護 (区分5以上または、医療と介護が必要な方など条件あり) |
● 医療機関での機能訓練 ● 療養上・日常生活上の管理・看護・介護 |
生活介護 (区分3以上など条件あり) |
● 昼間に入浴・排せつ・食事の介護 ● 創作的活動または、生産活動の機会の提供 |
施設入所支援 (区分4以上など条件あり) |
入所者の夜間や休日の入浴・排せつ・食事の介護 |
訓練等給付 | サービス内容 |
---|---|
自立生活援助 |
● 一人暮らしに必要な理解力・生活力を補う ● 定期的な居宅訪問など必要な支援 |
共同生活援助 |
● 相談や入浴・食事の介護 ● 日常生活上の援助 |
自立訓練(機能訓練) | 一定期間、身体機能の維持と向上のための訓練 |
自立訓練(生活訓練) | 一定期間、生活能力の維持と向上のための支援と訓練 |
就労移行訓練 | 一般企業へ就労を希望する方に、一定期間、就労に必要な知識と能力の向上のための訓練 |
就労継続支援(雇用型) |
● 一般企業で就労が困難な方に、就労の機会の提供 ● 能力等の向上のための訓練 |
就労継続支援(非雇用型) |
● 一般企業で就労が困難な方に、就労する機会の提供 ● 能力等の向上のための訓練 |
就労定着支援 | 一般就労に移行した方に、就労に伴う生活面の課題への支援 |
障害福祉サービスを利用する際は、市区町村が指定する「相談支援センター」で計画相談を行い、「サービス等利用計画」を作成します。一般的に、計画書は相談センターの担当者が作成しますが、自分で作ることも可能です。施設サービスは日中のサービスと夜間のサービスに分かれており、常時介護が必要な方でも、日中は生活介護を、夜間は施設入所支援を組み合わせて利用することも可能です。
また、訓練等給付については、日常生活に必要な身体の機能維持と向上の訓練や自立した生活・就労の機会の提供・就労に必要な訓練が行われます。訓練等給付は、障害支援区分の程度に関わらず利用可能です。
障害福祉サービスには、医療費の支給や補装具の費用の支給等も含まれるため、必要な方へ利用を促してみてもよいかもしれません。
4.障害支援区分を理解し、障がいをもつ方に合った支援が必要
障がいの特性や心身の状態は個人差が大きいものです。障害支援区分は、周囲の支援がどの程度必要なのか、判断する指標となっています。また、福祉サービスを使って支援を受けるためには、障害支援区分認定が必要です。障害支援区分認定は、本人や家族が市区町村の窓口で申請し、認定調査を受けます。障がい者が自分らしい暮らしを送るためにも、介護従事者として良い支援が受けられるようなサポートを行いましょう。
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