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仕事・スキル 介護士の常識 2023/07/24

三大介護(三大介助)とは?それぞれの業務内容や役割も解説

構成・文/介護のみらいラボ編集部 監修/赤羽克子 thumbnail.jpg

介護業務において、食事介助・入浴介助・排泄介助の3つは「三大介護」と呼ばれています。三大介護は、身体介護の基本であり、介護を必要とする方が日常生活を送る上で、欠かせない業務です。だからこそ、介護職に携わる方やこれから介護職を目指そうとする方は、三大介護の重要性や意義をきちんと理解しておく必要があります。

当記事では、三大介護の概要や、食事介助・入浴介助・排泄介助の意味と役割、実施する上での注意点について詳しく解説します。介護の仕事に関わる方や、介護職として知識を深めたい方は、ぜひご覧ください。

1.三大介護とは

三大介護とは、食事介助・入浴介助・排泄介助の総称で、「三大介助」と呼ばれることもあります。

三大介護は、身体介護の基本であり、介助者は利用者さんができる限り自分らしい生活を送れるように、これらの介助を行います。そのため三大介護では、利用者さん一人ひとりのニーズに合わせたケアを行うことが大事です。また、本人の残存能力を奪わないように、「できることは自分で行ってもらう」という意識を持つことも必要です。

なお、身体介護とは、簡単に言うと「利用者さんの身体に直接触れて支援する介護サービス」のことで、食事介助、入浴介助、排泄介助のほか、清拭、衣類の着脱、体位変換、移動介助、移乗介助なども身体介護にあたります。

(出典:厚生労働省「訪問介護・訪問入浴介護」

2.【三大介護】食事介助の意味・役割

食事介助の主な目的は、栄養摂取や健康維持、そして、利用者さんに食事の楽しみを感じてもらうことです。

利用者さんのなかには、食欲がない人や自分で食事を取るのが困難な方もいます。そのため、食事介助においては、食前・食事中・食後の食事環境をトータルでサポートし、食べようとする気持ちを促したり、食べやすい状況を整えたりすることが大切です。

食事は利用者さんの生きがいにもつながるため、一人ひとりの気持ちに寄り添いながら、楽しく食事が取れるようにサポートしましょう。

食事介助の業務内容

食事介助では、利用者さんが食事に集中できるように支援を行います。下表に、食事介助の大まかな流れを紹介します。

(1)食事の準備 ・食事の時間であることを伝え、排泄介助や体調確認を行う。
・食卓まで移動し、配膳する。
・姿勢や入れ歯を確認し、必要に応じて嚥下体操を行う。
(2)食事中のサポート ・きちんと飲み込めているか、水分は取れているかなどを確認する。
(3)食後のサポート ・口の中に食べ物が残っていないか、どれくらいの量を食べたのかを確認する。
・必要に応じて服薬介助を行う。

利用者さんの「食べようとする意欲」を引き出すには、献立や素材、料理法について説明したり、「いい匂いですね」「おいしそうですね」などの言葉をかけたりするのがおすすめです。

食事介助を実施する上での注意点

食事では、誤嚥による事故の発生も考えられるため、利用者さんの安全を確認しながら食事介助を行うことが大切です。食事介助を行う際の留意点は次のとおりです。

・正しい姿勢を保つ
・嚥下能力、咀嚼能力に応じた食事を用意する
・食事中の様子を注意深く観察し、異常を発見した際は迅速に対応する


安全な食事の基本は、正しい姿勢を保つことです。しっかりと椅子に腰掛けて、目線を水平に保つようにしましょう。上を向くと顎が上がりむせやすくなるので、介助者は立たずに、隣に座って目線を合わせるようにしてください。

なお、認知症による食事拒否が発生した場合は、盛り付けを工夫する、一緒に食べるといった対応も効果的です。

(参考:食事介助の正しい手順と注意点【作業療法士監修】

食事介助では、トラブルに対するリスク管理も大事です。一歩間違えれば誤嚥などによって死に至る危険性もあるため、リスクが高い状況だと判断した場合は、たとえ利用者さんやご家族から介助の申し出があっても、断らなければなりません。

(出典:福祉医療機構「第32回:面会家族による食事介助中に誤えんで死亡」

3.【三大介護】入浴介助の意味・役割

入浴介助とは、自力で入浴することが困難な利用者さんに対して、介助を行うことです。

入浴介助の主な目的は、身体を清潔にすることで、健康を保ったり感染症を予防したりすることです。また、精神的・肉体的にリラックスしてもらい、食欲増進や安眠につなげることも目的の一つと言えます。

入浴介助は、介助者が利用者さんの身体状態を確認できるため、健康状態の把握にも役立ちます。ただし、身体状態を確認する際は、利用者さんの自尊心を傷つけないように配慮することが大事です。

入浴介助の業務内容

入浴介助では、入浴前から入浴後までを細やかにサポートします。入浴介助の主な流れは、つぎのとおりです。

(1)入浴前 ・浴室と脱衣所の室温を22~25度に設定する。
・バイタルチェックなどで利用者さんの体調を確認し、脱衣を手伝う。
(2)入浴中 ・椅子や手すりへ誘導し、洗髪や身体の洗浄を手伝う。
・浴槽への出入りをサポートする。
(3)入浴後 ・身体を拭き、着衣を手伝う。
・居室へ移動し、必要に応じて薬の塗布や水分補給のサポートを行う。

入浴介助を実施する上での注意点

利用者さんが安全に入浴できるように、入浴介助では次の点に注意してください。

・入浴前と入浴後の健康状態(バイタルチェック)を確認する
・浴室や脱衣所で転倒しないよう、滑り止めマットなどを活用する
・脱衣所では、パーテーションやバスタオルを利用して、プライバシーの保護に努める
・入浴中の湯加減を確認する
・入浴中は利用者さんから目を離さない
・入浴後は水分補給を行い、定期的に体調を確認する


入浴後は、のぼせや脱水症状などが起きやすいため、入浴前と体調に変化がないかを確認し、安全に過ごせるように見守りましょう。

また、入浴介助中に利用者さんから目を離すと、重大な事故につながる場合もあります。忘れ物を取りに戻っている最中に、利用者さんが転倒したり、溺れるなど大きなリスクにつながる可能性も考えられるので、十分に注意しましょう。

(出典:福祉医療機構「第19回:入浴介助中に浴室を離れ戻ったら溺れていた」

4.【三大介護】排泄介助の意味・役割

排泄介助とは、1人では排泄行為が難しくなった方や排泄機能に障害がある方を支援することです。トイレへの誘導や着脱衣のサポート、おむつ交換なども含まれるため、利用者さんの状況に合わせて、適切な排泄介助の手段を選ぶことが大切です。

排泄介助の主な目的は、利用者さんが可能な範囲で、自立した排泄を行えるようにサポートすることです。なお排泄は、本来他人に見られる行為ではないため、排泄介助においては利用者さんの自尊心に対する配慮が、特に必要となります。

排泄介助の業務内容

排泄介助では、トイレの他、ポータブルトイレやおむつも用いられます。利用者さんがトイレまで移動できる場合に行われる、排泄介助(トイレ介助)の手順は次のとおりです。

(1)トイレへ誘導するための声かけを行う
(2)トイレまで移動する
(3)脱衣を手伝う
(4)排泄中は、介助者はトイレの外で待機する
(5)排泄終了を確認したら、陰部・臀部を拭く
(6)着衣を手伝い、居室まで移動する


加えて、身体を衛生的に保つためのサポートを行ったり、尿や便の色・形から、健康状態を確認したりすることも介助者の役割です。

排泄介助を実施する上での注意点

前述したように排泄介助には、トイレまでの移動や脱衣のサポート、排泄や後始末のサポートなど多くの介助が含まれます。安全に手際よく進めることで、利用者さんとの信頼関係につなげましょう。排泄介助を行う際の注意点は次のとおりです。

・利用者さんのプライバシーを守り、自尊心に配慮する
・利用者さんの排泄パターンを掴む
・水分摂取量を控えないよう注意する
・トイレの環境を整え、安全面に注意する
・排泄物をさりげなく確認し、健康状態を把握する


排泄に失敗したことで、水分を取ることを控えたり、排泄の回数自体を減らそうとしたりする利用者さんもいます。しかし、水分不足は脱水症や便秘の原因になるほか、脳梗塞、心筋梗塞などにつながるリスクもあります。利用者さんに水分補給の重要性を伝えて、積極的に水分を摂取してもらいましょう。

(出典:排泄介助の正しい方法と手順【作業療法士監修】

なお、スタッフのミスによって事故が生じた場合、事故の原因を追及するだけでなく、今後の防止策(ミスを防ぐにはどうするべきか)についても考える必要があります。例えば、利用者さんがトイレ内で転倒した際は、スタッフの対応を大きく問題視するのではなく、「なぜそうなったのか」を把握した上で、「手すりをつける」「滑り止めマットを敷く」などといった安全対策をとることが大事です。

(出典:福祉医療機構「第9回:排泄介助中に側を離れ転落事故」

まとめ

三大介護とは、身体介護の基本となる食事介助・入浴介助・排泄介助の総称です。三大介護にあたる際は、利用者さんの状況を把握した上で、一人ひとりに寄り添った支援を行うように心がけましょう。

なお、三大介護は毎日行う業務ではありますが、大きな事故につながるリスクもあるため、責任感を持って取り組むようにしてください。

「介護のみらいラボ」では、介護現場で働く人に役立つ情報を多数掲載しています。介護の知識を身につけたい方や、介護業界でキャリアアップを目指したい方は、ぜひご覧ください。

※当記事は2022年7月時点の情報をもとに作成しています

▼監修者からのアドバイス

三大介護は、食事、排泄、入浴といった日常生活の支援であり、介護現場では欠かすことのできない業務です。三大介護を行う際は、利用者さんの心身の状況をしっかりとアセスメントしてから行う必要があります。その理由は、利用者さんの心身の状況は1人ひとり違うからです。
たとえば右麻痺がある場合ですが、どれくらいの麻痺なのか、可動域はどれくらいなのか、力を入れることはできるのか・できないのか、などをしっかりと把握しましょう。そのうえで1人ひとりの利用者さんの心身の状況に合わせて介護実践にあたることが求められます。利用者さんの心身の状況を把握できていない状況での介護はリスクが高くなります。
介護はコミュニケーションに始まり、コミュニケーションで終わるといわれています。利用者さんが気持ちよく介護が受けられるような言葉がけを心がけましょう。介助を行う際の言葉がけによって「心が動く」と、「体も動く」といわれます。リスク回避の観点からも言葉がけは大変重要です。
現在は、インターネットやYouTubeなどで三大介護のスキルを学べるサイトがあります。さまざまな角度から三大介護のスキルアップをめざしてください。

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赤羽克子(Katsuko Akaba)

元聖徳大学心理・福祉学部社会福祉学科教授

社会福祉施設勤務を経て教育の世界に入る。現在はマーシーハンディキャップサポート協会理事として障害者に対する理解の啓蒙活動・障害者スポーツの支援や松戸市シルバー人材センターのアドバイザーなどを行っている。

赤羽克子の執筆・監修記事

介護のみらいラボ編集部(kaigonomirailab)

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