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仕事・スキル 介護士の常識 2024/12/16

生活介護とは?生活支援員の仕事内容や必要な資格・スキルまで徹底解説!

文/加藤真太郎(理学療法士・ダイエットインストラクター・姿勢改善アドバイザー) 241216_thumb.jpg

みなさんのなかには、「生活支援員として働いてみたいけれど、どんな仕事なのかよくわからない」「生活支援員として働くためには、どんな資格やスキルが必要なのだろう?」などの疑問を持っている方も、いらっしゃるのではないでしょうか。

生活支援員は、障害を持つ方たちの日常生活をサポートし、自立を促す職業です。しかし、実際の仕事内容や求められるスキルについては、詳しく知らない方も多いでしょう。

そこでこの記事では、生活支援員の役割や仕事内容、必要な資格・スキル、生活支援員に向いている人の特徴などについて詳しく解説します。生活支援員の仕事に興味がある方は、ぜひ最後までご覧ください。

1.生活介護とは

生活介護は、障害者総合支援法のもと、障害のある方が日常生活を送る上で必要な支援を提供する福祉サービスで、「利用者の自立した生活の促進」と「生活の質の向上」を主な目的としています。

生活介護のサービスは、食事や入浴、排泄などの基本的な生活支援から、健康管理、精神的なケア、外出やレクリエーション活動のサポートまでさまざまです。また、そうしたサービスは、障害の種類や程度、利用者の生活環境や個々のニーズに応じて提供されます。

以上を踏まえると、利用者が地域社会のなかで自分らしく生活するためのサポートを行うことが、生活介護だといえるでしょう。

2.生活介護の対象者

生活介護の対象者は、日常生活で介助や支援を必要とする身体的、知的、または精神的な障害を持つ方です。多くの利用者は、自分1人では日常生活を送ることが困難なため、生活支援員によるサポートが不可欠です。

障害福祉サービス上での生活介護の対象者

生活介護の対象者は、障害者総合支援法に基づいて、次のように定められています。

地域や入所施設で、安定した生活を営むため、常時介護等の支援が必要な者として次に掲げる者
(1) 障害支援区分が区分3(障害者支援施設等に入所する場合は区分4)以上である者
(2) 年齢が50歳以上の場合は、障害支援区分が区分2(障害者支援施設等に入所する場合は区分3)以上である者
(3) 生活介護と施設入所支援との利用の組み合わせを希望する者であって、障害支援区分が区分4(50歳以上の者は区分3)より低い者で、指定特定相談支援事業者によるサービス等利用計画案を作成する手続きを経た上で、市町村により利用の組み合わせの必要性が認められた者
[1] 障害者自立支援法の施行時の身体・知的の旧法施設(通所施設も含む)の利用者(特定旧法受給者)
[2] 法施行後に旧法施設に入所し、継続して入所している者
[3] 平成24年4月の改正児童福祉法の施行の際に障害児施設(指定医療機関を含む)に入所している者
[4] 新規の入所希望者(障害支援区分1以上の者)

(出典:厚生労働省「障害福祉サービスについて」

これだけでは、どのような方が利用しているのか想像しにくいため、以下で詳細を解説しましょう。

障害者区分と利用者のイメージ

障害者区分は、認定調査員による調査と主治医の意見書をもとに判定します。

認定調査員による調査内容は、動作や日常生活、意思疎通、行動障害(多動、支援の拒否、自傷行為など)、特別な医療(点滴、透析など)の80項目です。一方、主治医の意見書には、身体、精神等の状態、特別な医療、サービスに関する意見が記載されています。

調査内容は、どの程度の支援が必要なのか、特別な医療行為を必要としているのかによって点数がつけられます。

寝返り
1 支援が必要
2 見守り等の支援が必要
3 部分的な支援が必要
4 全面的な支援が必要


コミュニケーション
1 日常生活に支障がない
2 特定の者であればコミュニケーションできる
3 会話以外の方法でコミュニケーションできる
4 独自の方法でコミュニケーションできる
5 コミュニケーションできない


点滴の管理
1 ない
2 ある

上記は調査内容の一部ですが、このようにして各項目を調査した結果と主治医の意見書をもとに、障害者区分が決定します。

障害者区分は1~6まであり、数字が大きくなるにつれて、必要な支援の度合いが高まります。

(参考:厚生労働省「障害者総合支援法における障害支援区分 認定調査員マニュアル」

3.生活支援員とは

生活支援員は、障害を持つ方が日常生活を円滑に送れるよう支援する専門職です。障害者支援施設などで食事や入浴、排泄などの生活支援を行うほか、利用者の自立を促したり、社会参加をサポートしたりするのも生活支援員の業務となります。

そのため生活支援員には、利用者の個々のニーズに応じた柔軟な対応が求められます。

生活支援員の役割

生活支援員の主な役割は、利用者が可能な限り自立した生活を送れるようにサポートすることです。サポート内容は日常生活の基本的な支援から、社会参加の促進まで多岐にわたります。また、利用者との信頼関係を築き、安心して過ごせる環境を提供することも大切な役割です。

生活支援員の必要性と重要性

生活支援員は、障害を持つ方が自立した生活を営む上で欠かせない存在です。少子高齢化の進行によって、介護職員の人手不足が問題視されていることから、障害のある方を支援する専門職の需要は、今後増加していくと考えられます。

障害を持つ方が社会の一員としての役割を果たすには、生活支援員のサポートが不可欠となるため、生活支援員の仕事は社会的にも重要なものといえるでしょう。

4.生活支援員の仕事内容

生活支援員の仕事内容は、利用者が日常生活を安全かつ快適に送れるようサポートすることです。以下では、仕事内容の一部を紹介します。

食事や入浴などの日常生活支援

生活支援員は、日常生活のすべてを介助するわけではありません。できることはやってもらい、できない部分に対して介助を行います。ただし利用者によって、できること・できないことが異なるため、それぞれの障害を把握し、適切な支援を行うことが重要です。

また、1人で行える動作であっても転倒の危険がある場合は、近くで見守ったり一部介助を行ったりします。

社会参加の支援とコミュニケーションの促進

生活支援員は、外出のサポートや地域イベントへの参加支援なども行います。加えて、日常的なコミュニケーションを通じて、利用者の精神的な健康を支えるのも大切な仕事です。

5.生活支援員になるために必要な資格やスキル

生活支援員は無資格でも働けますが、職場によっては特定の資格が求められる場合もあります。資格とは別に、コミュニケーション能力や問題解決能力など、利用者との信頼関係を築くためのスキルも重視されるでしょう。

持っていると便利な資格

生活支援員として働く上で、介護福祉士の資格は有用です。専門的な知識と技術を持っていることが証明できるので、責任のある仕事を任される機会が増えるでしょう。

利用者の生活環境の改善に貢献できる福祉住環境コーディネーターや、社会福祉に関する幅広い知識を持つ社会福祉士などの資格も、業務の幅を広げるのに役立ちます。

役に立つスキル

利用者のニーズを正確に把握し、適切に対応するためには、相手の立場に立った対話が求められます。そのため、コミュニケーション能力は、生活支援員にとって大事なスキルといえるでしょう。また、生活のなかのさまざまな問題に迅速かつ柔軟に対応するには、問題解決能力も必要です。

これらのスキルを磨くことで、利用者により質の高いサポートを提供できます。

6.生活支援員の給与・年収

生活支援員の給料や年収は、勤務先の施設規模や地域、経験年数、資格の有無などで異なります。

マイナビ介護職をはじめとする求人サイトを見ると、月給は平均で18~25万円程度です。ただし、介護福祉士などの資格を持っている場合や経験年数が多い場合は、より高い給与が期待できます。夜勤や残業手当などが加われば、年収は250~350万円程度になるでしょう。

7.生活支援員に向いている人

生活支援員に向いている人の特徴は次のとおりです。

  • 共感力が高い
  • 忍耐力がある
  • 柔軟な対応ができる

では、それぞれについて詳しく解説します。

共感力が高い

共感力が高い人は、利用者の感情や状況を深く理解し、相手の立場に立った支援ができます。認知症の利用者が混乱しているようなときも、ただ手助けするだけでなく「なぜその状況になったのか」を理解し、不安を軽減するようなアプローチができるでしょう。

また、共感力が高い人は、利用者が自分の気持ちをうまく表現できない場合でも、その意図や感情を察知し適切な対応ができます。そのため、利用者との信頼関係が深まり、より効果的な支援が可能になるでしょう。

忍耐力がある

利用者によっては、1つの動作に時間がかかる場合があります。しかし、生活支援員は自立をサポートする必要があるため、そうした場面でも焦らず丁寧に対応することが求められます。

介助に時間がかかることもありますが、そのような状況では、どうしても精神的な負担が大きくなります。つけ加えるなら、利用者から常に感謝の言葉をもらえるわけでもありません。それでも誠実に仕事を続けるためには、忍耐力が必要です。

忍耐力のある生活支援員は、長期的に安定した支援ができるため、利用者に安心感を与えられるでしょう。

柔軟な対応ができる

利用者の状態やニーズは日々変化します。また、複数の利用者を担当する場合は、それぞれのニーズに合わせたサポートが必要です。そのため生活支援員には、状況に応じて支援方法を変えていくような柔軟性が求められます。

柔軟な対応ができる生活支援員は、どんな状況でも適切なサポートができ、利用者からの信頼が得やすくなります。

8.まとめ

生活支援員は、障害を持つ方の生活を支える重要な職業です。食事や入浴などの日常生活支援、社会参加の支援といった幅広い業務を通じて、利用者が自立した生活を営めるようにサポートするのが主な役割となります。

生活支援員には、共感力、忍耐力、柔軟な対応力などのスキルが求められ、これらを備えた人は生活支援員に向いているといえるでしょう。介護福祉士や社会福祉士などの資格を持っていると、より専門的な支援が可能となり、キャリアアップにもつながります。

生活支援員は、社会的な意義が大きいことから、やりがいや充実感が得られる仕事です。高齢化が進むなか、生活支援員の需要が増加すると予測されるため、その重要性はますます高まるでしょう。

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加藤真太郎(Shintaro Kato)

理学療法士/ダイエットインストラクター/姿勢改善アドバイザー

回復期の病院で8年間勤務し、その後は養成校の教員として働いている。副業として介護・医療分野を中心にライター業、筋トレ関連のブログ運営を行っている。プライベートでは3児の父親であり、日々子育てと仕事に奮闘している。

加藤真太郎の執筆・監修記事

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