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仕事・スキル 介護士の常識 2025/07/16

介護職はやめとけって本当?5つの理由と働く利点、向いている人の特徴を解説

文/織田さとる(ケアマネジャー、介護福祉士、社会福祉士、公認心理師) thumb_250716.jpg

介護職への転職を検討していると、周囲から「やめとけ」と言われて不安を感じることもあるでしょう。介護職は、身体的な負担や給与面の不安など、マイナスのイメージを持たれがちです。「本当に介護職に就いて大丈夫なのか」「将来性はあるのか」など不安は尽きません。
そこで本記事では、介護職はやめとけと言われる理由や介護職として働く利点、向いている人の特徴などを解説します。この記事を読んでいただければ、介護職に対する不安や疑問は解消され、自信を持って転職活動を進められるはずです。ぜひ、最後までお読みください。

1.介護職はやめとけと言われる理由

介護職には、やめとけと言われる理由がいくつかあります。ここでは主な理由を5つにしぼって解説します。

人間関係のトラブルが起こりやすい

介護職の仕事は、同じ介護職だけでなく、看護師やケアマネジャーなどの他職種との関係構築が求められます。
しかし、「施設」という限られた空間で、職員や利用者さんと長時間過ごすため、職員同士の価値観の違いや仕事の進め方に関する意見の相違が起こりやすい環境にあります。
また、利用者さんやその家族からのクレームや無理な要求に対応しなければならない場合もあります。
介護労働安定センターが実施した『令和5年度介護労働実態調査』でも、介護職の離職理由の1位は「人間関係に問題があったため(34.3%)」となっています。

身体的・精神的な負担が大きい

介護職は、入浴や移乗などの身体介護や、シフト勤務による不規則な生活によって、身体的に負担のかかる仕事です。
また、利用者さんとのコミュニケーションや認知症の方への対応、看取り介護など、精神的な負担も大きくなります。

給与水準が低い傾向にある

介護職の給与は、ほかの産業に比べて低い傾向があり、仕事の大変さに見合わないと感じる人もいます。
厚生労働省が行った『令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果』によると、月給で働く常勤介護職の平均給与額は317,540円です。
しかし、無資格者の場合は268,680円のため、全産業の平均である31万1,800円と、約4万円の差があることがわかります。

人員不足による業務負担が大きい

介護業界では慢性的な人員不足が課題となっており、特に正社員への業務負担が集中しやすい状況です。
残業や休日出勤があり、休息も十分にとれない職場もあります。
また、非常勤職員や派遣職員、外国人労働者の割合が増えることで、委員会活動や記録業務などが正規職員にかたより、結果的に残業が多くなることもあります。

離職率が高い場合がある

介護職の離職率は高い傾向があり、前出の介護労働実態調査では、介護職の採用率は16.9%で、離職率は13.1%でした。採用しても同じくらいの人数の介護職が辞めてしまっている現状があります。
離職率が高い職場は、職員教育や業務負担の面で悪循環に陥りやすいといえます。

2.介護職として働く利点

前項で介護職はやめとけと言われる理由について解説しましたが、それだけではなく利点も数多くあります。ここでは、介護職として働くことの利点を4つに絞って詳しく解説します。

未経験でも始められる

介護職は、未経験・無資格でも始めやすいのが特徴です。
多くの施設で未経験者歓迎の求人を出しており、採用に力を入れている職場では、OJTや法定研修など、入職後の研修制度も充実しています。
そのため、未経験・無資格で働き始めても、ベッドメーキングや食事の配膳、レクリエーションの補助のように、資格がなくてもできる仕事から徐々にスキルアップすることができます。
資格をとってから介護の仕事をする人だけでなく、「子育てが一段落したから」「無資格でもチャレンジできるから」といった理由で、異業種からの転職者も多数活躍しています。

資格を取得してキャリアアップできる

介護職は、経験に応じて段階的にキャリアアップできる仕事です。
介護の入門資格である介護職員初任者研修からスタートし、介護福祉士の取得に必要な実務者研修、介護福祉士、ケアマネジャーと段階的に資格取得が可能です。
資格取得は、知識や技術の習得だけでなく、資格手当による給与アップにもつながります。さらに、サービス提供責任者などの役職に就いたり、生活相談員のような相談援助職へのキャリアチェンジなど選択肢を増やしたりすることも可能です。

人に感謝される仕事ができる

介護職は、利用者さんやその家族から直接「ありがとう」と感謝される機会が多い仕事です。
誰かの役に立っているという実感は、仕事のモチベーションを高め、夜勤明けや入浴介助で疲れているときに、笑顔で「ありがとう」と言われると思わず笑顔になってしまいます。
また、介護を必要とする方の生活を支えるので、社会貢献度も高い仕事です。人の役に立ちたい、社会に貢献したいという思いを持つ方にとって、大きな魅力となっています。

働き方の選択肢が豊富でライフスタイルに合わせやすい

介護職は、多様な働き方を選択できることが特徴です。
日勤のみ、夜勤専従、パート、フルタイムなど、自分のライフスタイルに合わせた勤務形態を選ぶことができます。
例えば、正規職員として働き、結婚や出産を経て時短勤務へ、そして子育てを機にパート職員へ変更するといった働き方も可能です。産休・育休の取得実績も多く、ワークライフバランスを重視した働き方もできます。
また、施設介護や訪問介護など、働く場所の選択肢も豊富です。転職サイトやハローワークのような転職市場も活発なため、よりよい条件の職場を見つけやすい環境といえます。

3.介護職に向いている人

介護職に限らず、どのような仕事でも向き不向きがあります。
ここでは、介護職に向いている人の特徴を3つにまとめ解説します。

人と接するのが好きな人

介護職は、人と接するのが好きな人に向いています。なぜなら、介護は利用者さんとのコミュニケーションを重ねて成り立つ仕事だからです。
具体的には、次のことができる人は向いていると思います。

  • 利用者さんとの何気ない会話を楽しめる人
  • 相手の話に耳を傾けられる人
  • 笑顔で接することができる人

また、看護師やケアマネジャー、リハビリスタッフなど、多職種との情報共有や連携も多いため、人と関わるのが好きな人が向いています。

体力に自信がある人

介護職は立ち仕事が多く、移乗介助などの身体的な負担を伴う業務があります。また、シフト勤務によって不規則な生活になることも大きな負担となるため、ある程度の体力は必要になります。
例えば、夜勤明けで疲れていても、次の勤務に向けて体調を整えなければなりません。

  • 福祉用具を活用する
  • 正しい介護技術を身につける
  • 休息をしっかりとる

このように、体への負担を軽減する工夫や体調管理ができることも介護職には必要です。
ただ、訪問介護やデイサービスのように、働き方によって負担を減らせることもあります。

観察力があり、利用者さんの些細な変化に気づける人

介護職は、観察力があり、利用者さんの些細な変化に気づける人に向いています。
利用者さんの通常の様子を把握し、異常の早期発見につなげるためには、日頃からの観察が不可欠だからです。

  • 起床時に食堂まで手をつないで歩いていたらいつもより体が熱い
  • 普段よりも表情がこわばっていて怒りっぽい
  • 食事摂取量が普段より極端に少ない

このように、表情や言動、食事量などの変化から、体調不良や精神的な落ち込みに気づくこともあります。
こうした観察力は、経験を積むことで徐々に身についていきます。
些細な変化を見逃さない意識を持っている人は、介護職に向いているといえるでしょう。

4.介護職のやりがい

介護職は大変な仕事というイメージがあるかもしれませんが、実は多くのやりがいを感じられる仕事でもあります。
実際に働いている介護職員の声をもとに、その魅力を3つに絞って解説します。

利用者さんの笑顔や「ありがとう」の言葉が原動力になる

介護職のやりがいは、利用者さんからの感謝の言葉と笑顔です。
食事や入浴の介助のあとに、直接「ありがとう」と言われることで、自分の仕事が人の役に立っていると実感できます。
「あなたでよかった」「あなたに任せると安心」といった家族からの感謝の言葉も、仕事を続ける原動力になっています。

利用者さんの人生に寄り添い、共に成長できる

介護職は利用者さんの人生に深く関わり、共に成長できる仕事です。人生の最期まで寄り添い、信頼関係を築き、共に過ごす時間のなかで、利用者さんから多くのことを学べます。
例えば看取り介護の場面では、人生について深く考える機会も得られます。利用者さんとの関わりを通して、介護職自身も人間的に成長できることがやりがいです。

資格取得を通じて、専門性を高められる

介護職は、資格取得を通じて専門性を高められる仕事です。
初任者研修や介護福祉士などの資格取得により、知識や技術を習得し、キャリアアップも目指せます。
資格は給与アップにもつながり、自信を持って仕事に取り組めるようになります。専門性を活かして質の高いサービスを提供し、専門職としての自信とやりがいを感じられるでしょう。

まとめ

介護職は「やめとけ」と言われることもあります。実際、人間関係のトラブルや身体的負担、給与水準の低さなどの課題もあるのが現状です。
しかし、未経験からでも始められ、資格取得でキャリアアップも目指せ、人に感謝されるやりがいのある仕事です。
人と接するのが好きな方、体力がある方、観察力がある方に向いています。
利用者さんの笑顔や感謝の言葉が、介護の仕事を続けるうえでの大きな原動力になるでしょう。

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織田さとる(Satoru Oda)

ケアマネジャー・介護福祉士・社会福祉士・公認心理師

介護業界で20年以上の実務経験を持つケアマネライター。専門学校卒業後、特別養護老人ホームで介護福祉士、ケアマネジャー、生活相談員として勤務。現在も施設で働きながら、介護・福祉分野の記事を執筆している。

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