「知らなかった」を丁寧に言い換えると?伝える際の注意点も紹介
構成・文/介護のみらいラボ編集部みなさんは、情報が伝わっていなかったことや理解不足を認める際、「知らなかった」という言葉を使うことが多いのではないでしょうか。状況を伝えることは、次のアクションにつなげる意味でも重要です。しかし、単に「知らなかった」と言うだけでは、責任逃れや言いわけと受け取られる可能性があるので注意しましょう。特に仕事においては、「知らなかった」という表現を適切に使うことが求められます。
この記事では、「知らなかった」を丁寧に伝えるためのポイントや、適切な言い換え方について詳しく解説します。敬語表現の違いを理解し、状況に応じた言い方を心がけることで、仕事場でのコミュニケーションをより円滑にしましょう。
1.「知らなかった」はビジネスシーンでは不適切?
「知らなかった」という言葉は、「自分のところにまで必要な情報が伝わっていなかった」、あるいは「情報を理解していなかった」という状況を表します。
仕事で予想外の出来事が起こった際は、現在の状況や「なぜそうなったのか」という背景を周囲に伝えることが大切です。「知らなかった」という事実を伝えることは、情報不足を認めるだけでなく、責任の所在を明らかにしたり、改善方法を模索したりといった次のアクションにつながるでしょう。
ただし、「知らなかった」と伝える際は、言葉の選び方や言い回しに配慮が必要です。単に「知らなかった」と伝えるだけでは、責任逃れや言い訳をしていると受け取られかねないので注意しましょう。「知らなかった」には、より丁寧な表現方法や使い方のポイントがあるので、相手や状況に応じて適切に使い分けてください。
2.「知らなかった」を丁寧に言い換えると?
「知らなかった」を丁寧に言い換えると、「知りませんでした」となります。「知らなかったです」は敬語表現として適切ではないため、「知らなかった」は「知りませんでした」、「知らない」は「知りません」と表現しましょう。
ただし、「知りませんでした」はややカジュアルな言い回しとなるため、目上の方や外部の方に使うのは適切でない場合もあります。以下では、「知らなかった」のより丁寧な表現5つを例文付きで紹介するので、相手や場面に応じて使い分けてください。
存じ上げません
「存じ上げません」は、知らない、分からない、情報を持っていないという意味を表す言葉です。相手に敬意を表すフレーズなので、利用者さんやご家族、目上の方、外部の方に対して使用しても問題ありません。
なお、「ぞんじ」は「存ずる(存じる)」が変化した謙譲語であるため、文字にする場合は「存知」ではなく「存じ」を使います。
「存じ上げません」は、以下の例文のように使用できます。
・漫画家のA先生についてはあまり存じ上げませんが、父が熱心なファンでした。
・申し訳ございませんが、新しい担当者のことは存じ上げません。
「存じ上げません」は謙譲語(=自分を下に見て、相手を上に立たせる場合に使う言葉)のため、主語が必ず自分になるようにしましょう。相手に対して「存じ上げないを使うと、相手を下げることになります。例えば、「この件について利用者さまは存じ上げないようです」のようには使えないため、注意してください。
存じておりません
「存じ上げません」と同じく知らない、分からない、情報を持っていないことを表す言葉で、「知る」の謙譲表現である「存じる」と、「いる」の敬語表現である「おる」を組み合わせたフレーズとなります。
「存じ上げません」では堅苦しすぎると感じる場合、「存じておりません」を使うことで表現をやわらげられるでしょう。
以下では、「存じておりません」の例文を紹介します。
・A社の新規事業については存じておりません。
・詳細を存じておりませんが、早急に確認してご連絡いたします。
なお、「存じておりません」よりもさらにやわらかい表現として、「存じません」が挙げられます。こちらは、関係性が近い先輩や目上の方などに使うのがよいでしょう。
分かりかねます
「分かりかねます」は、「分かりません」の敬語表現の1つです。「かねる」には「しようと思ってもできない」「することが難しい」という意味があります。「分かりません」はストレートな否定表現のため、相手に不快感を与える場合もありますが、「分かりかねます」と表現することでやわらかい印象になるでしょう。
「分かりかねます」は、以下の例文のように使用できます。
・田口さんの転職先については分かりかねます。
・お問い合わせの件ですが、私には分かりかねますので、担当者におつなぎいたします。
「分かりかねます」と伝えるだけでなく、「恐れ入りますが」「お手数ですが」などのクッション言葉と組み合わせたり、具体的な説明を加えたりするとより丁寧な印象になります。
面識がございません
「面識がございません」は、相手の顔を知らない、もしくは知っているけれど会ったことがない状態を表す言葉です。相手をまったく知らない場合は「存じ上げません」、自分が知っていても相手からは知られていない場合には「面識がございません」のように使い分けましょう。
「面識がございません」の使い方例は、以下の通りです。
・私は佐藤様とは面識がございません。
・福祉課の方のお名前は存じておりますが、面識はございません。
「面識がございません」は、「お話をしたことはございません」や「お会いしたことはございません」のように言い換えることもできます。
承知しておりません
「承知しておりません」は、「知っていること」「分かっていること」を表す「承知しております」の否定形で、状況を認識していなかったことを丁寧に伝える言葉です。
「承知しておりません」の使い方例は、以下の通りです。
・トラブルについては、承知しておりませんでした。
・納期の遅れについては、承知しておりませんでした。
ただし、「承知しておりません」という表現は、あまり一般的ではありません。基本的には、「存じておりません」を使うとよいでしょう。
3.知らなかったことを伝える際のポイント
知らなかったことを丁寧に伝える表現(フレーズ)は複数あり、使い方を間違えると相手に対して失礼になったり、違和感を抱かせたりする可能性があります。これから紹介する4つのポイントを踏まえて、適切なコミュニケーションを心がけましょう。
知らない対象が何であるかを意識する
知らない対象が「物事」か「人」かによって、言い回しが異なるケースがあります。例えば、「存じ上げません」が使われるのは対象が人の場合であり、物や場所に対しては使いません。「このあたりの地理については存じ上げません」のような使い方をすると、違和感を持たれてしまうため注意してください。
対象が物や場所の場合は、「存じておりません」や「存じません」を使うとよいでしょう。
敬語表現を使う場合は主語に注意する
先に紹介したように、「存じ上げません」は、自分自身を下げることで相手を立てる敬語表現です。そのため、自分の行動以外に使うことはありません。相手に対して「存じ上げません」を使うと、相手の立場を下げることになり、失礼に当たるため気をつけましょう。
例えば、「田中さんは、佐藤さんを存じ上げませんか?」のように使うのはNGです。「存じ上げません」を使うのは、主語が自分の場合だけにしてください。
クッション言葉を使う
「存じ上げません」などの敬語表現を使ったとしても、知らないという事実を伝えるだけだと、相手は突き放されたように感じるかもしれません。そっけない印象を緩和したい場面では、クッション言葉を使うのがおすすめです。
クッション言葉とは、きつい印象や不快感を与える恐れがあることを、やわらかく伝えるための前置きです。先に紹介した「恐れ入りますが」「お手数ですが」のほか、「恐縮ですが」「申し訳ございませんが」なども、クッション言葉としてよく使われます。
知らない・分からない旨を伝える際は、以下のようにクッション言葉とうまく組み合わせましょう。
・恐れ入りますが、すぐには分かりかねるため、確認して折り返します。
・申し訳ございませんが、安田さんの行き先は存じておりません。
知らなかったことへの謝罪や対処方法を伝える
仕事の場では、知らない、分からないという事実を伝えるだけでは不親切になる場合もあります。状況によっては、「責任感がない人」という印象を与えてしまうかもしれません。知らなかったことを伝える際には、知らなかったことへの謝罪や教えてもらったことへの感謝を述べつつ、具体的な対処方法を説明するとよいでしょう。
まとめ
「知らなかった」という事実をきちんと伝えることは、責任の所在を明らかにしたり、改善方法を模索したりといった次のアクションにつながります。
その際、「存じ上げません」や「存じておりません」などの丁寧な言い回しを使えば、相手に対する敬意を表すことができるでしょう。また、クッション言葉を使って、謝罪や感謝の気持ちを表現すれば、より円滑なコミュニケーションが可能になるはずです。
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