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仕事・スキル 介護士の常識 2025/09/11

日本を取り巻く高齢化の問題とは?超高齢社会への対応策も解説

構成・文/介護のみらいラボ編集部 thumb_250911.jpg

日本は現在、世界でも類を見ない超高齢社会(65歳以上の人口の割合が全人口の21%を占めている社会)となっています。高齢化が進む主な要因として挙げられるのは、死亡率の低下による65歳以上人口の増加や、少子化による若年人口の減少です。

また、2025年には「人口の約5人に1人が75歳以上になる」と予測されているため、経済規模の縮小や医療・介護人材の不足、社会保障制度の財政負担拡大などの問題も取り沙汰されています。

この記事では、日本の高齢化問題について解説するとともに、高齢化の進行が「社会にどのような影響を及ぼすのか」についても詳しく紹介します。さらに、超高齢化への社会的な対応策も紹介するので、ぜひご一読ください。

1.高齢化の原因と問題点

先に紹介したように、日本は超高齢社会に突入しています。内閣府のデータによると、2022年10月1日現在における日本の総人口は1億2,495万人で、そのうち65歳以上の人口は3,624万人。総人口に占める高齢者の割合(高齢化率)は、29.0%に達しています。

つまり、現在は国民の約4人に1人が高齢者というわけです。そして、この数値は2030年に30.8%、2050年には37.1%、2070年になると38.7%まで上昇すると予測されています。

(出典:内閣府「令和5年版高齢社会白書(全体版)第1章 高齢化の状況(第1節 1)」)

高齢化が進む原因は?

高齢化が進む主な要因として、死亡率の低下と少子化の進行が挙げられます。それぞれの詳細については、下記の通りです。

・死亡率の低下
65歳以上人口の増加にともない、死亡者の実数は増加傾向にあります。一方で、人口の年齢構成に変化がないと仮定した場合の年齢調整死亡率は低下しており、1950の男性42.2/女性32.8から、2021年には男性13.6/女性7.4になりました。この背景として挙げられるのは、生活環境の改善や食生活・栄養状態の改善、医療技術の進歩などで、平均寿命も2023年時点で男性81.05年、女性87.09年まで伸びています。

・少子化の進行
日本の出生数は、第1次ベビーブーム(1947〜1949年)、第2次ベビーブーム(1971〜1974年)という2つのピークの後、減少傾向にあります。また、1人の女性が産む子どもの数の指標となる「合計特殊出生率」も、第1次ベビーブーム以降急速に低下。1956年が2.22だったのに対して、1975年は1.91、2021は1.30となっており、少子化が進行していることがわかります。

(出典:内閣府「令和5年版高齢社会白書(全体版)第1章 高齢化の状況(第1節 5)」
(出典:厚生労働省「令和4年簡易生命表の概況」

日本における高齢化の問題は、死亡率の低下や少子化の進行をはじめとした複数の問題が絡み合っており、総合的な対策が必要だと考えられています。

2.高齢化による社会への影響

高齢化が進む日本において、政府はさまざまな対策を講じていますが、根本的な解決には至っていません。以下では、高齢化による社会への影響について詳しく解説します。

(出典:内閣府「令和5年版高齢社会白書(全体版)第1章 高齢化の状況(第1節 5)

経済成長が鈍化する

人口減少や高齢化の流れが継続した場合、2014年に6,587万人だった日本の労働力人口は、2030年に5,683万人、2060年には3,795万人まで減少すると予想されています。経済活動は労働力人口に大きく左右されるため、労働力人口の減少にともなって国内の経済成長に影響が出る可能性が高いでしょう。

なお、少ない労働力人口で持続的な経済成長を実現するためには、労働生産性の向上が不可欠ですが、2019年の1人当たり労働生産性(就業者1人当たり付加価値)は、81,183ドル(824万円)。OECD加盟37か国中26位と低い位置にいるのが実情です。

また、経済成長の指針となるGDP(1年間に経済全体で行った経済活動の合計額)を見ても、1990年代のバブル経済崩壊以降、停滞が続いています。

(出典:内閣府「第3章 人口・経済・地域社会をめぐる現状と課題」
(出典:国土交通省「第4節 デジタルトランスフォーメーション(DX)の遅れと成長の停滞」

社会保障制度が維持できなくなる

内閣府のデータによると、2020年度の年金や医療、介護などの社会保障制度全体の給付費は132兆2,211億円に達しており、過去最高の水準です。そのなかで、高齢者関係給付費は83兆1,541億円となっており、前年度と比較して9,866億円増加しました。

基本的に、社会保障制度は保険料による支え合いで成り立っています。しかし、国民からの保険料のみで社会保障の給付費をまかなおうとすると、保険料を支払う現役世代に負担が集中し、制度の維持が難しくなることも事実。社会保障の財源には、保険料のほか多額の公費が使われているのが現状です。

そのため、高齢化によって社会保障の給付費がさらに増加し、公費の負担が増え続ければ、日本の財政に大きな影響を及ぼすと考えられています。

ちなみに、高齢者1人を支える現役世代の人数は、1960年11.2人、1980年7.4人、2014年2.4人と減少する一方で、この状況が継続すれば、2060年に高齢者と現役世代の人口が1対1に近づくといわれています。

(出典:財務省「高齢化により増大する 社会保障関係費」
(出典:内閣府「第1章 高齢化の状況(第1節 6)」

医療・介護人材が不足する

高齢化による医療・介護人材の不足は深刻な状態です。2025年には介護人材が約30万人不足すると予測されており、医療現場でも人手不足の影響が出はじめています。

医療・介護人材が不足する主な要因としては、医療・介護専門職の離職率の高さや、若年層の医療・介護への関心の低さなどが挙げられるでしょう。そうした状況の改善を目指して、政府は介護現場の環境整備や処遇改善、資格取得支援、キャリアパスの整備などさまざまな対策を講じています。また、現場における身体的負担の軽減や事務負担の軽減などを目的に、介護ロボットやICT技術の導入も進められています。

しかし、高齢化が進むなかで認知症高齢者の割合も増加しており、医療・介護の人材不足を解消するのは、けっして簡単ではありません。

(出典:厚生労働省「2025 年に向けた介護人材の確保」

3.高齢化問題への社会的な対応策は?

超高齢化社会に突入した日本において、高齢化問題への対応は喫緊の課題です。そして、さまざまな課題の解消を目指すためには、医療・介護、生活支援、社会参加、経済的支援などさまざまな方面から、社会全体で取り組む必要があるでしょう。

以下では、国が行っている高齢化問題への対応策について解説します。

(出典:内閣府「令和5年版高齢社会白書(全体版)」
(出典:内閣府「第2章 令和4年度高齢社会対策の実施の状況(第1節 5)」

一億総活躍社会の推進

一億総活躍社会とは、「誰もが活躍できる全員参加型の社会」を目指して、安倍政権が掲げた政策理念です。

2016年に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」に基づいて推進されており、具体的な内容として「50年後も人口1億人を維持すること」「個性や多様性を尊重し、家や職場、地域で誰もが充実した生活を送れること」などが挙げられています。

一億総活躍社会の実現を目指すにあたっては、高齢化問題への対応が大きな課題となっており、特に健康寿命の延伸・介護負担の軽減を図るための取り組み(高齢者に向けた介護予防の推進、現役世代の健康づくり対策など)が重要視されています。

あわせて、介護離職ゼロに向けた取り組みも行われており、そのなかでは介護休業制度の拡充や職場における理解促進、高齢者自身が活躍できる環境づくりなどが推進されています。

(出典:厚生労働省「特集1 一億総活躍社会の実現に向けて」
(出典:厚生労働省「1.一億総活躍社会実現に向けて緊急に実施すべき対策(介護離職ゼロ)について」
(出典:国土交通省「第4節 政府の動き」

働き方改革の推進

少子高齢化が進む日本において、シニア層の雇用拡大や定年延長は、人材確保のための重要な方策だといえます。

近年は、定年退職後や還暦後であっても元気でアクティブなシニアが増えており、仕事に対する意欲が高い方もたくさんいます。しかし、定年後も働き続ける方の割合を見ると、2割程度にとどまっているのが現実です。

そうしたなか、高齢者の就業意欲に対応すべく、政府は65歳以降の継続雇用や定年延長を行う企業への支援措置を強化しています。また、高齢者による起業時の雇用助成措置の充実、高齢者のニーズに応じた就労機会の提供などの取り組みも進められています。

労働力人口が減少している日本において、知識と経験が豊富な高齢者がいきいきと働き続けるためには、さらなる環境の整備や多様な就業機会の提供が望まれるでしょう。

社会保障制度の構築

今後も高齢者率は高くなると予測されるなか、政府は「全世代型社会保障」の構築を推進しています。

厚生労働省の資料によれば、全世代型社会保障は「人生100年時代の到来を見据えながら、お年寄りだけではなく、子どもたち、子育て世代、さらには現役世代まで広く安心を支えていくための社会保障」だとされています。つまり、従来の年齢別の枠組みを超えて、世代間の相互扶助に基づいた持続可能な社会保障制度の構築を目指しているわけです。

具体的には、医療費の適正な管理や無駄な医療費の削減、出産育児一時金の引き上げ、かかりつけ医機能の強化、介護サービスの質向上など、さまざまな取り組みが行われています。

(出典:厚生労働省「全世代型社会保障改革」

ユニバーサル社会の実現

ユニバーサル社会とは、「年齢や性別、障害の有無に関係なく誰もが互いを認め合い、ともに支え合いながら、1人ひとりが持てる力を発揮して元気に活動できる社会」のことです。高齢化が進む日本では、高齢者の社会参加を促進し、社会の一員として活躍できる環境を整備することが重要です。

現在は、ユニバーサル社会の実現に向けた取り組みが各方面で進められています。バリアフリーの推進やユニバーサルデザインの普及、高齢者の社会参加の促進などは、その代表例といえるでしょう。また、予防医療の推進や高齢者の健康寿命の延伸、認知症への理解と支援なども重要な活動の1つです。

まとめ

日本では、高齢化が急速に進行しており、それによって経済規模の縮小や社会保障財政の負担拡大、医療・介護人材の不足などの課題が浮き彫りとなっています。課題の解消を目指すためにも、今後は官民を挙げて、さまざまな視点から対策を講じることが求められるでしょう。

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※当記事は2024年3月時点の情報をもとに作成しています

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