生活介護事業所とは?生活支援員の仕事内容や1日の流れ、向いている人の特徴を解説
編集/中西紗羅(介護福祉士)
「生活介護事業所にはどのような役割があるの?」「介護職としての働き方は?」などと疑問に思う人もいるでしょう。
本記事では、生活介護事業所の概要、生活支援員の仕事内容、必要な資格・条件、働くメリット・デメリット、生活支援員に向いている人の特徴について、それぞれ解説します。
1.生活介護事業所とは

生活介護事業所とは、障害者総合支援法に規定される障害福祉サービスである「生活介護」を提供する事業所のことです。利用者に向けて、入浴、排泄、食事、調理、洗濯、掃除などの介護や、生活に関する相談・助言、レクリエーションや生産活動などの機会提供、リハビリテーションなどを行います。
生活介護事業所の対象者
障害福祉サービスを利用するには、利用者自身が、障害支援区分の認定を受けなければなりません。区分は1から6まであり、数字が大きくなるにつれて、支援の必要度合いが高い(症状が重い)と判断されます。
生活介護の対象者は、同法にて下記のように定められています。
① 障害支援区分が区分3(障害者支援施設等に入所する場合は区分4)以上の人
② 年齢が50歳以上の場合は、障害支援区分が区分2(障害者支援施設等に入所する場合は区分3)以上の人
③ 生活介護と施設入所支援との利用の組み合わせを希望する者であって、障害支援区分が区分4(50歳以上の者は区分3)より低い者で、指定特定相談支援事業者によるサービス等利用計画案を作成する手続を経た上で、市町村により利用の組み合わせの必要性が認められた人
(参考:厚生労働省|障害福祉サービスについて)
合わせて、下記に該当する人も、サービスの利用が認められています。
1. 障害者自立支援法の施行時の身体・知的の旧法施設(通所施設も含む。)の利用者(特定旧法受給者)
2. 法施行後に旧法施設に入所し、継続して入所している人
3. 平成24年4月の改正児童福祉法の施行の際に障害児施設(指定医療機関を含む)に入所している人
4. 新規の入所希望者(障害支援区分1以上の人)
(参考:厚生労働省|障害福祉サービスについて)
なお、65歳以上の高齢者は「介護保険サービス」が該当されます。原則、障害福祉サービスよりも介護保険サービスが優先されるため、生活介護の利用者が65歳を超えると、介護保険サービスに移行することが一般的です。
しかし、利用者個々の状況に応じて、サービス実施主体(市区町村)の判断のもと、65歳以上でも障害福祉サービスを受けられることもあります。そのため、一概に65歳以上は障害福祉サービスを利用できないわけではありません。
就労支援との違い
障害福祉サービスにおける「就労支援」とは、就労を希望する障害者に必要な訓練やアドバイスをしたり、新たに雇用された障害者の就労継続のサポートをしたりすることをいいます。現行法では4つの就労支援があります。
- 就労移行支援
- 就労継続支援A型(雇用型)
- 就労継続支援B型(非雇用型)
- 就労定着支援
生活介護で行うのは「介護」であるため、就労支援はサービスに含まれません。
共同生活援助(グループホーム)との違い
共同生活援助は、障害福祉サービスのうちの1つです。単身生活を送ることに不安を抱える障害者が、一定の支援を受けながら、地域生活を営むことが目的です。施設の退所や、病院からの退院などを経て、地域生活を目指すためのステップとして利用されるケースもあります。
共同生活援助で提供されるサービスは、主に夜間における、生活全般の相談、対応、入浴、排泄、食事などの支援などです。また、利用者の日中活動サービス先との連絡調整、社会生活上の支援なども、必要に応じて実施します。
共同生活援助では、生活介護のように事業所への通所はなく、その施設で日常生活をする(住む)点が主な違いです。
2.生活介護事業所の人員配置基準

生活介護事業所の人員配置基準は下記のとおりです。
| 職種 | 人数 |
|---|---|
| 管理者 | 1名 |
| 医師 | 必要に応じて配置(嘱託でも可) |
| 看護職員 | 1名以上 |
| 理学療法士または作業療法士 | 必要に応じて配置 |
| サービス管理責任者 | 1名以上は常勤、兼務可能 |
| 生活支援員 | 1名以上は常勤 |
医師、看護職員、リハビリ専門職などは、利用者の状態に応じた適切なサービスを提供できるように、事業所の利用者の障害支援区分に応じて必要となる人数が異なります。
3.生活介護事業所における生活支援員の仕事内容

生活介護事業所では、1名以上の生活支援員の配置が必要です。生活支援員とは、利用者の生活を支援する職種のことです。利用者への介護を提供したり、生活相談に乗ったりと、その役割はさまざまです。
本項では、生活介護事業所における、生活支援員の仕事内容について紹介します。
身体介助全般
生活支援員の主な仕事は、利用者に合わせ、食事、排泄、入浴などの身体介助全般を行うことです。全てを生活支援員が行うのではなく、利用者が自力でできる範囲は、残存機能を活用して、できるだけ自身で行ってもらえるように支援することで、「自立」を促します。
また、自立を促すことは、ありのままの自分の暮らしを継続することにつながり、結果として、利用者の生活の質を高めることにも効果が期待できます。
生活に関する相談・助言
日常生活を送るうえでの、利用者の困りごとや悩みごとなどを聞き、解決に向けた助言も行います。相談内容は「金銭管理」「仕事に関すること」「人間関係の悩み」など、多岐にわたります。場合によっては、利用者の家族から相談が入ることもあります。
相談を受けた際には、必要に応じて他職種なども交えながら、課題を明確にし、解決に導くことを目指します。
創作活動・レクリエーションの実施
事業所内での創作活動(雑貨、お菓子作りなど)、レクリエーション(体操、ゲーム、アクティビティなど)を行うことも生活支援員の仕事の1つです。創作活動やレクリエーションは、利用者同士が交流する機会でもあり、活動目的に合わせた企画内容の選定が求められます。
他業種との連携・記録作成など
利用者に関する情報共有や、1日の活動記録の作成なども行います。職種によって、利用者を見る視点や接し方、役割などは異なるため、多職種との連携も図ります。お互いに情報交換と共有を行うことで、利用者に対する理解が深まり、適切な支援や関わり方を見出していけます。
4.生活介護事業所の1日の流れ

生活介護事業所の1日は、下記のような流れです。
- 8時〜9時 出勤・職員間でのミーティング
- 9時〜 利用者の送迎対応・体調チェック
- 10時 創作活動・入浴介助
- 12時 昼食
- 13時 レクリエーション・生活支援
- 15時 利用者の送迎
- 16時 ミーティング・記録作成・夜勤への申し送り
- 17時 退勤
生活介護事業所のなかには、障害福祉サービスの「施設入所支援」も合わせて提供しているケースがあります。その場合は、主に夜勤の生活支援員が、食事介助や就寝対応、夜間巡回などを行います。
5.生活介護事業所の生活支援員として働くための資格・条件

生活介護事業所の生活支援員として働くうえで、制度上、必須条件となるものはありません。しかし、介護技術や支援に関する知識の習得は求められます。
無資格・未経験「可」での求人募集が見受けられる一方で、事業所によっては、次のような資格を条件に設定していることもあります。
- 介護福祉士
- 社会福祉士
- 精神保健福祉士
- 普通自動車運転免許(利用者の送迎のため)
上記の資格は、働きながらでも資格取得を目指すことが可能です。生活介護事業所の生活支援員は無資格でも働けますが、知識や技術を習得し、専門性をより高めるためにも資格取得を目指すとよいでしょう。
6.生活介護事業所の生活支援員として働くメリット・デメリット

生活支援員として働くメリットと、デメリットを解説します。
メリット
生活支援員として働くメリットは、以下のとおりです。
- 利用者との関係を築きながら仕事ができる
- 社会貢献を感じられる
- スキルアップにつながる
- 夜勤がない職場がある
利用者とコミュニケーションを図りながら、その人に適した支援や相談などを行うことが、生活支援員として働くやりがいにつながります。また、さまざまな利用者がいるなかで、病気や介護に関する知識、介助スキル、コミュニケーション力なども磨かれるため、総じてスキルアップにつながる職場といえます。
デメリット
生活支援員として働くデメリットは、以下のとおりです。
- 体力をつかう業務がある
- 病気・疾患・身体症状への高い理解が求められる
- 送迎対応が求められる
利用者への介助は、介護者の身体的負荷につながるため、「きつい」と感じることもあるでしょう。生活支援員として働くためには、利用者1人ひとりの病気や身体症状を理解しなければならないため、多角的な視点と、幅広い知識が求められます。また、人によっては、送迎車の運転を負担に感じることもあります。
7.生活介護事業所の生活支援員に向いている人

生活支援員に向いている人の特徴を解説します。
コミュニケーションに自信がある
生活支援員として、多くの人と関わるには、コミュニケーション力が必要です。誰とでも隔たりなく関わり、しっかりと信頼関係を築くことが、利用者に適したサービス提供につながります。そのため、利用者とその家族、他職種のほか、ケースによっては地域の関係機関などとの連携が求められます。
臨機応変に対応できる
臨機応変に対応できる力がある人も、生活支援員に向いています。利用者と一言にいっても、抱えている病気や身体特性、障害特性、背景、家族状況などは1人ひとり異なります。「Aさんにはこのような接し方をする」「Bさんにはこのように話しかける」などのように、利用者1人ひとりに合わせた対応力が必要です。
「利用者の症状が急変する」「普段と様子が違う」など、その都度、異なる対応が求められる職場環境でもあるため、臨機応変に対応できる力は働くうえで重宝するでしょう。
積極的に行動ができる
積極的に行動できることも、生活支援員に向いている特徴といえるでしょう。利用者の悩みやニーズをいち早く察知するには、日々の利用者の観察や、積極的な関わりが求められます。利用者のなかには、「困りごとがあるが相談しにくい」「事業所で〇〇の活動をしたい(作りたい)」などのニーズを抱えている人もいます。
利用者のニーズを他職種や上長へ伝えることで、事業所内の環境が改善や、新たなレクリエーションプログラムの実施にもつながるでしょう。
まとめ

生活介護事業所では、入浴、排泄、食事、調理、洗濯、掃除などのサービスを利用者へ提供します。病気や障害特性の異なるさまざまな利用者がいるため、生活支援員として働くことで、やりがいを感じたり、やスキルアップを目指せたりする職場といえます。
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