障害者グループホームで働くのが「きつい」と言われる理由とは?メリットややりがいも紹介
文/山本史子(介護福祉士)障害者グループホームは共同生活援助とも呼ばれ、少人数の生活施設です。職員は障がい者が自立した生活ができるようにサポートするのが仕事です。やりがいのある仕事の一方、障害者グループホームで働くのは「きつい」という噂を耳にした人もいるのではないでしょうか。
本記事では、障害者グループホームが「きつい」と言われる理由や仕事内容、1日のスケジュールを解説するとともに、障害者グループホームで働くメリットや向いている人、やりがいを紹介します。転職を考えている人は、ぜひ参考にしてください。
- 目次
- 1.障害者グループホームで働くのは「きつい」と言われる理由
- 障がい特性を理解するのが難しい
- コミュニケーションをとるのが難しい
- 体力的な負担が大きい
- 仕事内容と給料が釣り合わない
- 職場の人間関係に悩むことが多い
- 2.障害者グループホームの仕事内容
- 3.障害者グループホームの1日のスケジュール
- 4.障害者グループホームで働くメリット
- 障がい者分野の知識とスキルが身につけられる
- 無資格・未経験でも働きやすい
- 家事や育児の経験を生かしやすい
- 5.障害者グループホームで働くのが向いている人
- 状況に応じた対応ができる人
- 小さな成長が喜べる人
- 相手に寄り添うコミュニケーションができる人
- 6.障害者グループホームで「やりがい」を感じるとき
- 利用者さんのできることが増えたとき
- 利用者さんと信頼関係が築けたとき
- まとめ:障害者グループホームで働くのはきつい面もあるが、利用者さんの成長を感じられるやりがいのある仕事
1.障害者グループホームで働くのは「きつい」と言われる理由

障害者グループホームは、住み慣れた地域で自立した生活を送るためのサポートをする施設です。しかし「業務内容が大変だ」という声も耳にします。
ここでは、障害者グループホームで働くのが「きつい」と言われる理由を5つ紹介します。
障がい特性を理解するのが難しい
障害者グループホームでは、知的障がい、精神障がい、身体障がいなど、さまざまな障がい特性のある利用者さんが生活しています。個人差も大きく、同じ診断名でも症状や特性は大きく異なり、感覚過敏やこだわりの強さ、コミュニケーションの取り方など、一人ひとり支援の方法は異なります。
障がいの特性への理解や適切な支援方法を身につけるまでには時間や努力が必要となるため、ときには障がいによる行動を「問題行動」と捉える場合もあるでしょう。
日々の関わりのなかで利用者さんのことを把握し、柔軟な対応ができるまでは戸惑うことが多いため「きつい」と言われています。
コミュニケーションをとるのが難しい
利用者さんのなかには、言葉でのコミュニケーションが難しい方や自分の思いをうまく伝えられない方も多く、意思疎通が難しいと感じることがあります。気持ちが伝わらないことで、ときには不安や苛立ちが行動に現れるかもしれません。そのため、利用者さんの表情やしぐさ、声のトーンなど言葉以外のサインを読み取る力が求められます。
慣れるまでは利用者さんの気持ちをくみ取れず、もどかしい思いをする職員もいるため、きついと感じる人もいるでしょう。
体力的な負担が大きい
障害者グループホームでは入浴介助や移乗介助、外出支援など、身体的な負担が大きい業務があります。高齢者施設と比べると利用者さんの年齢は若く、体力もあるため、日常的に動き回ることが多いのも「きつい」と言われる要因でしょう。また、利用者さんの体調変化や行動への対応で予定通りに休憩が取れなかったり、夜勤があったりすることがあります。常に利用者さんの安全も気にかける必要があるため、精神的な緊張状態が続くことも体力的な負担を感じる理由のひとつでしょう。
ただし、障害者グループホームの「外部サービス型」は比較的利用者さんが自立しており、相談業務がメインです。外部サービス型のグループホームを選べば、体力に自信がない人でも働きやすいでしょう。
仕事内容と給料が釣り合わない
障害者グループホーム(共同生活介助)の職員の給与は、他の業界と比較して決して高いとはいえません。
別のデータ同士の比較となり、あくまで参考となりますが「令和6年賃金構造基本統計調査」によると日本の平均月収は330,400円です。一方、「令和6年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査 調査結果報告書」によると障害者グループホームの平均月収は介護サービス型で291,050円、日中サービス型で308,060円、外部サービス型で269,610円です。
参考:令和6年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査 調査結果報告書|厚生労働省
そのため、専門的な知識やスキルが求められる仕事でありながら、責任の重さや業務量に見合った給与が得られないと感じやすいでしょう。しかし、2年前の月収と比べると上昇傾向にあるため、今後も給料上昇が期待できます。また、サービス管理責任者などの役職につくことで、キャリアアップや昇給できる可能性があります。
職場の人間関係に悩むことが多い
考え方や支援方針の違いが原因で意見がぶつかることもあり、人間関係に悩むケースも少なくありません。チームワークが重要な職場だからこそ、意見の食い違いや誤解が生まれ、大きなストレスになる場合もあります。
また、人手不足で職場全体にゆとりがなくなることも人間関係悪化の要因のひとつです。利用者さんへの対応や職員同士の会話で施設の雰囲気が感じられるため、働く前には見学しておくと良いでしょう。
2.障害者グループホームの仕事内容

障害者グループホームは、障がい者が地域で自立した生活を送れるよう支援する住まいです。原則1ユニット10人以下で構成されています。働く職員は管理者、世話人、生活支援員がおり、管理者は施設全体の運営管理を担い、世話人は日常生活の相談や援助、生活支援員は生活相談や指導、身体介護を提供します。
| 世話人 |
●調理や配膳、片付けの支援 ●清掃、洗濯などの家事援助 ●服薬確認 ●金銭管理 ●日常生活に関する相談対応 ●夜間の見守り ●買い物や通院の同行 ●余暇活動 ●就労先や日中活動先への連絡等 |
| 生活支援員 |
●入浴や排せつ ●食事介助 ●医療機関との連携 ●余暇活動の指導 ●生活相談 |
また、障害者グループホームには、おもに以下の3つの種類があり、それぞれ仕事内容や人員配置基準などに違いがあります。
| 仕事内容や人員体制など | |
|---|---|
| 介護サービス包括型 |
●おもに夜間において、生活や住居に関する相談や入浴・排せつなどの身体介護を一体的に提供する。 ●世話人は利用者さんが4〜6人に1人、生活支援員は障害者区分に応じて利用者2.5人〜9人につき1人配置。 |
| 外部サービス利用型 |
●おもに夜間において、生活や住居に関する相談や生活援助をする。 ●身体介護が必要な方は外部サービスを利用できる。 ●世話人は利用者さんが4〜6人に1人配置され、生活支援員は配置されない(当面は10人に1人)。 |
| 日中サービス支援型 |
●夜間だけでなく日中も施設で過ごす利用者さんが対象。 ●日中は余暇活動や生活訓練、コミュニケーション支援など利用者さんと関わる時間が長い。 ●日中も身体介護が必要となるため、重度の利用者さんが多い傾向。 ●短期入所(定員1〜5人)を併設し、在宅の障がい者の緊急宿泊先として利用。 |
参考:共同生活援助(介護サービス包括型・外部サービス利用型・日中サービス支援型)に係る報酬・基準について|厚生労働省
介護サービス包括型や日中サービス支援型の障害者グループホームには、身体介護が必要な方も入居するため、介護現場で勤務経験がある人は、これまで培った知識やスキルを生かしながら障がい者支援に挑戦できるでしょう。一方で、外部サービス利用型は身体介護の比重が低いため、体力的な負担は少なく、未経験からでも始めやすい環境といえます。そのため、「介護よりも生活サポートを中心に働きたい」という人に向いています。
3.障害者グループホームの1日のスケジュール

障害者グループホームでは、利用者さんの生活リズムに合わせて、24時間のサポート体制を整えています。そのため、職員の勤務体制は日勤や夜勤、遅出などのシフト制です。
ここでは、グループホームでの1日のスケジュールの一例を紹介します。
| 時間 | 生活支援員・世話人の仕事 |
|---|---|
| 7:00 |
●出勤 ●夜勤者の申し送り ●利用者さんの起床支援 ●排せつ介助 ●朝食の準備・配膳援助 ●食事介助・見守り |
| 8:00 |
●服薬管理 ●身支度のサポート ●日中活動の送り出し |
| 9:00〜12:00 |
●清掃・洗濯 ●外出支援 ●関係機関との連絡調整 |
| 12:00〜13:00 | 昼食・休憩 |
| 13:00〜15:00 |
●余暇活動 ●記録 ●買い物 |
| 15:00〜17:00 |
●余暇活動・日中支援からの帰宅対応 ●入浴介助・見守り |
| 17:00〜19:00 |
●食事の準備・配膳援助 ●食事介助・見守り ●服薬管理 ●記録 ●夜勤者への申し送り |
| 19:00〜21:00 |
●自由時間・余暇活動 ●就寝準備 ●就寝前の服薬管理 ●就寝 |
| 21:00〜翌7:00 |
●夜間の見守り ●排せつ介助 ●記録 ●日勤者との申し送り |
実際のスケジュールは施設や利用者さんの状況によって異なります。しかし、どの施設でも利用者さんの自立した生活をサポートする役割は共通しています。
4.障害者グループホームで働くメリット

障害者グループホームは「きつい」と言われることもありますが、現場で働くからこそ感じられる魅力ややりがいもあります。
ここでは、障害者グループホームで働くメリットを紹介します。
障がい者分野の知識とスキルが身につけられる
障害者グループホームでは、知的障がい・精神障がい・身体障がいなど、さまざまな特性がある利用者さんを支援します。そのため、その特性に合わせた適切な支援方法を学んだりコミュニケーションができるよう工夫したりするなど、介護施設とは異なる視点で利用者さんをサポートできるでしょう。働きながら障がい福祉に関する知識が自然に身につけられ、仕事の幅を広げられます。また、経験を積みながら介護福祉士や社会福祉士の資格を取得することで、転職やキャリアアップの強みとなるでしょう。
無資格・未経験でも働きやすい
福祉分野では資格が必要な職種もあるため「障害者グループホームで働くには資格が必要なのでは?」と疑問に思う人もいるかもしれません。しかし、障害者グループホームでのおもな仕事は、利用者さんの日常生活のサポートやコミュニケーションです。家事援助や見守りなど、利用者さんが自分でできることはしてもらい、自立を促すことが大切なため、無資格・未経験で身体介護に不安な人でも働きやすくなっています。また、利用者さんは少人数で、一人ひとりの利用者さんとじっくり向き合う時間が持てるため、先輩職員から指導が受けやすく、そういった意味でも未経験からでも安心してスタートできるでしょう。
家事や育児の経験を生かしやすい
障害者グループホームの仕事は日常生活の延長線上にあるため、調理や掃除、洗濯など、家庭での経験を生かせます。日頃から家事をしている人は生活の知恵や工夫など、利用者さんの支援に役立つでしょう。
また、利用者さんとのコミュニケーションにおいても、家庭での経験が役立ちます。利用者さんにわかりやすく教えたり、手を出さずに見守りをしたりすることなど、育児経験が役立つでしょう。
5.障害者グループホームで働くのが向いている人

障害者グループホームの仕事は、利用者さん一人ひとりと向き合いながら、生活をサポートする役割が中心です。ここでは、障害者グループホームで働くのに向いている人の特徴を紹介します。
状況に応じた対応ができる人
利用者さんは体調や気分、普段と異なる小さな変化によって行動が変わる場合があるため、マニュアル通りにいかない場面があります。普段は落ち着いて過ごしている利用者さんでも突然不安定になったり、予定通りにスケジュールをこなせなくなったりすることがあるため、どのような状況でも冷静に対応し、臨機応変に判断できる人は活躍できるでしょう。
また、それぞれ異なる障がい特性がある利用者さんに対して、個別のニーズに合わせたアプローチを柔軟に考えられ、利用者さんらしい生活を支援するための創意工夫ができる人が向いています。
ときには他の職員と連携し、状況に合わせて役割を調整するなど、柔軟な対応力は働くうえで大きな強みとなるでしょう。
小さな成長が喜べる人
障害者グループホームは、施設退所後や病院から退院したあとに、不安なく暮らせるように支援するのも役割のひとつです。しかし、利用者さんの成長には時間がかかることが多く、すぐに日常生活が送れるようになるとは限りません。そのため、利用者さんが少しずつできることを増やしていく過程を見守ることが求められます。
長期的な視点で利用者さんの可能性を信じ、「今まで1人でできなかったことが、できるようになった」「自分でやろうとしている」といった変化を見つけて喜べる人や、根気強くサポートし続けられる人は、障害者グループホームで働くことが向いています。
相手に寄り添うコミュニケーションができる人
障害者グループホームでは、利用者さんの気持ちに寄り添うコミュニケーションが不可欠です。言葉だけでなく、表情やしぐさ、行動から相手の思いを読み取る力が求められます。職員が先回りして決めるのではなく、利用者さんの自己決定を尊重し、本人の選択を大切にした支援をする姿勢が重要です。話をじっくり聞くことで、利用者さんとの信頼関係を築きやすくなるでしょう。
6.障害者グループホームで「やりがい」を感じるとき

障害者グループホームの仕事はきついと言われることもありますが「この仕事をして良かった」と感じられる瞬間もあります。利用者さんと過ごすなかで、利用者さんと築く信頼関係は、働くうえで大きな原動力となるはずです。ここでは、障害者グループホームで働くやりがいを2つ紹介します。
利用者さんのできることが増えたとき
利用者さんがこれまでできなかったことができた瞬間に立ち会えたときは、大きなやりがいを感じます。例えば、1人で買い物に行けるようになったり、コミュニケーションが取れるようになったりといったことが挙げられるでしょう。
利用者さんのなかには、コミュニケーションをとることが難しい方もいるため、支援の工夫や試行錯誤が必要です。職員として関わった結果、ひとつでもできることが増えると、利用者さん自身の自信や生活の質の向上につながります。職員にとっても、利用者さんの可能性が広がることは、何物にも代えがたい喜びとなるでしょう。
利用者さんと信頼関係が築けたとき
最初はうまくコミュニケーションが取れなかった利用者さんが、心を開いてくれるようになったときは、やりがいを感じます。信頼関係が築けると、利用者さんが安心して生活できるようになるため、笑顔が増えたり積極的に活動自体に参加してくれたりします。結果として、利用者さんの真の自立につながっていくことが期待できるでしょう。
また、日常生活や人間関係の悩みなど相談をされることもあり、利用者さんと信頼を深めていく過程は、福祉の仕事ならではの充実感をもたらしてくれます。
7.まとめ:障害者グループホームで働くのはきつい面もあるが、利用者さんの成長を感じられるやりがいのある仕事

障害者グループホームで働くことは、確かに大変な一面もあります。障がい特性への理解やコミュニケーションの難しさは、慣れるまでは「きつい」と感じる場面もあるでしょう。しかし、自分の支援で利用者さんができることが増えたり、少しずつ信頼関係が築けたりすると、何物にも代えがたい達成感を得られます。
無資格・未経験からでもスタートでき、自分の経験を生かせる仕事です。資格取得も目指せるため、キャリアアップもできるでしょう。自分の働き方やスキルに合わせて、転職を検討してみてはいかがでしょうか。
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