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仕事・スキル 介護施設・職場 2025/09/05

介護保険サービスからの卒業を目指すデイサービスとは?自立支援特化型の「ポラリスデイサービスセンター」に注目|気になるあの介護施設

取材・文/タケウチノゾミ 編集/イージーゴー iv250901_thumb.jpg

兵庫県宝塚市を中心に展開する「ポラリスデイサービスセンター」は、自立支援に特化したデイサービスです。利用者さん一人ひとりに合わせた特別なリハビリプログラムの実施により、介護度の改善を目指しています。寝たきりの状態から、たった1年で介護保険からの卒業に至った事例も少なくありません。リハビリの実施時に心がけていることや、卒業をサポートするうえでの工夫について、株式会社ポラリス代表取締役であり、医師の森剛士氏に話を聞いてみました。

1.ポラリスデイサービスセンターとは?

ーー「ポラリスデイサービスセンター」の施設紹介をお願いいたします。

兵庫県宝塚市を中心に、東北から九州まで全国に55事業所を展開するデイサービスです。自立支援に特化していることが特徴で、利用者さんの"自立性の回復"を目的とした「自立支援」に取り組むことで、身体機能や意欲の維持・向上を目指しています。より具体的にいえば、日本で唯一の医療用トレーニングマシンを使用したパワーリハビリや、安全装置付きトレッドミル「P・ウォーク」などの活用による独自の歩行プログラムを実施。「自分の足でしっかりと」をコンセプトに、さまざまなリハビリプログラムで、利用者さんの自立した生活をサポートしています。なお、2025年5月現在の登録者数は約6,000人で、一事業所あたりの人数は100人程度です。平均介護度は要介護1.3前後ですが、要介護4や5の方も多数利用されています。

2.デイサービスでの一日の流れ

ーーデイサービスでの一日の流れを教えてください。

当施設では、3時間コースと6時間コースの2つのコースを用意しています。3時間コースは、食事や入浴がなく、歩行とリハビリに特化した短時間コースです。主に、トレーニングマシンを使用したパワーリハビリやグループリハビリ、個別リハビリなどを実施しています。一方、6時間コースは、食事・入浴をはじめとした、自宅で必要な生活動作の改善を目指すコースです。リハビリの内容について、3時間コースと大きな違いはありませんが、食事や入浴がある分、時間に余裕を持ったスケジュールとなっています。いずれのコースにおいても、利用者さん一人ひとりの目標や目的の実現に必要なプログラムを中心に実施しているため、一般的なデイサービスのようなレクリエーションは実施していません。自宅での生活のなかにある改善点を見つけ出し、サポートを行うことで、自宅での介護負担の軽減を視野に入れた「自立支援」に取り組んでいます。

3.リハビリの際に心がけていること

ーー介護度が高い利用者さんの自立支援を行うのは難しそうなイメージがあります。リハビリの際に心がけていることについて教えてください。

実は、要介護度が高い方ほど、症状が改善しやすい傾向にあります。そのため、要介護度と自立支援の難しさは必ずしも比例しません。というのも、要介護3・4・5の利用者さんは、一見すると状態が重く見えますが、実は病気そのものよりも、活動の少なさや過度な介助による「廃用」の影響が大きい場合が多くあるためです。よって、適切な支援で廃用を取り除けば、改善の余地が大きい場合もあります。「眠っている力が多く残されている=伸びしろが大きい」とも言えるのです。

例えば、病院のリハビリ室では自分の足で歩けていた方が、自宅に戻ると「転ぶと危ないから」と車椅子生活になることがあります。この場合、歩く機会が減ることでどんどん廃用が蓄積され、もともと歩けていた人も歩けなくなってしまうのです。もちろん、当施設で提供しているのは介護サービスのため、病気自体を治療することはできませんが、病気の周囲を覆っている廃用を取り除くことは可能です。たとえ現在寝たきりの方であっても、「純粋に病気だけが原因で寝たきりになった方」は、ほとんどいないと言っても過言ではありません。要介護度が高い方は、どうしても元気になることを諦めがちですが、「もしかしたら元気になれるかもしれない」と感じた瞬間から、驚くほど改善への意欲が高まる傾向にあります。当施設では、要介護の周囲を覆う廃用を見つけ、取り除くことが自立支援の第一歩だと考えています。

世界一周クルーズにリハビリを取り入れた「ポラリス×クルーズ」での様子

世界一周クルーズにリハビリを取り入れた「ポラリス×クルーズ」での様子。デイサービスでも同様のパワーリハビリを実施している

4.利用者さんの意欲を高めるための工夫

ーー要介護度が高い方が改善しやすいとは驚きです。利用者さんの意欲を高めるための工夫はありますか。

できるだけ具体的な目標を立て、その目標に向けたプログラムを組むことです。デイサービスでは、「一人でお手洗いにいけるようになりたい」などの生活目標が設定されることも多くありますが、当施設では、そのようなものを最終目標とは捉えていません。それはあくまで通過点であり、本当のゴールは、その方らしい生活を取り戻すことだと考えています。例えば、徹底的なヒアリングの末、「家族と旅行に行きたい」という願望が明らかになったとします。その際、旅行に行くことだけを目標に掲げるのではなく、「何月何日に、自宅の車で、息子・娘・孫と一緒に、有馬温泉へ、一泊二日で行く」など、より具体的な形にまで落とし込みます。実現可能な目標として設定することで、リハビリプログラムの内容が具体化されるほか、利用者さん自身に意欲が生まれるためです。

もし、ご本人に意欲が見られない場合は、タイミングを変えて再度ヒアリングを行うようにしています。特に高齢者のなかには、脱水や栄養不良で意識レベルが低下している方も多いため、まずは水分や食事量を適正な量に保つことを意識しています。また、同時に、無理のない範囲でのリハビリも実施。こうした取り組みを続けていくうちに、小さな成功体験が自己効力感を高め、「元気になったらやりたいこと」が少しずつ見えてくるようになるのです。例えば、「目覚めがよくなった」「以前よりも歩けた」などの変化が現れることで、次第に気持ちが前向きになっていきます。実際、今までは歩くことを諦めていたものの、通所を続けるうちに、「またゴルフがしたい」といった意欲的な発言が増えてくる利用者さんもいらっしゃいます。当施設では、こうしたタイミングを逃さず、あらためて計画書を作ることで、目標に向けてリハビリ内容を見直しています。

5.利用者さんやご家族からの反応

ーー「ポラリスデイサービスセンター」について、利用者さんやご家族からの反応はいかがですか。

「お陰さまで、こんなに元気になりました!」というお礼のお手紙をいただく機会も多く、職員一同とてもうれしく感じています。当施設では、元気に卒業された方に対して、表彰したり、お花を贈ったりするなど、ささやかなお祝いをしています、その際、利用者さんが心からよろこんでくださる姿を見ると、私たちにとっても大きな励みになります。私は、「自立支援は、究極のおせっかい焼き」だと思っており、これからもどんどん"いいおせっかい"を焼いていこうと考えています。もちろん、全ての方が卒業できる訳ではなく、病気の状態によっては、継続的な支援が必要な方もいらっしゃいます。だからこそ、一人ひとりの健康状態を見極め、具体的な計画を立てて実行することが大切だと考えています。これからも、一人でも多くの方が自分らしく元気に過ごせるよう、自立支援に取り組んでいきたいです。

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タケウチ ノゾミ(Nozomi Takeuchi)

ライター・編集者

福岡市在住のフリーライター・編集者。介護、医療、ビジネスを中心に幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は観劇と美術鑑賞、猫を揉むこと。

タケウチ ノゾミの執筆・監修記事

EGGO(イージーゴー)

イージーゴーは東京・九州を拠点にWEBコンテンツ、紙媒体、動画等の企画制作を行う編集制作事務所です。ライターコミュニティ「ライター研究所」も運営しています。

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