地域で働いて対価を受け取れるデイサービスとは?ハブ機能を持つ「BLG」に注目|気になるあの介護施設
取材・文/タケウチノゾミ 編集/イージーゴー東京都町田市から始まり、全国に展開する「BLG(ビーエルジー)」は、地域と利用者さんをつなぐ"ハブ機能"を担う介護施設です。施設滞在中に取り組む活動は、利用者同士の話し合いによって決められ、施設側が一方的に内容を決定することはありません。有償ボランティアとして働いたり、散歩に出かけたりと、それぞれ「やりたいこと」に主体的に取り組んでいます。施設の概要や、利用者さんの自己選択をサポートするうえでの工夫について、「BLG」ネットワークを全国に展開する100BLG株式会社の平田知弘氏に話を聞いてみました。
ーー「BLG」の施設紹介をお願いいたします。
「BLG」は、東京都町田市に位置する「DAYS BLG!(デイズ ビーエルジー)」からはじまり、全国に19の事業所を展開している介護施設のネットワークです。「BLG仙台」や「BLG天草」など、地域名を含んだ名称で活動しています。なお、BLG!の由来は、「Barriers(障害)・Life(生活)・Gathering(集う場)・!(感嘆符/発信)」の頭文字を取ったものです。日常生活で感じている生きづらさを「障害」と捉え、そのような障害を持っている人々が集い、発信することで、より暮らしやすい社会の実現を目指しています。
施設の大きな特徴は、"社会とメンバー(利用者さん)をつなぐハブ機能"を担っていること。地域でのボランティア活動などを通じて、認知症や障がいのある方々と社会とのつながりを積極的に築いています。さらに、「自己選択と自己決定」を重視しており、施設での過ごし方は全てメンバー自身の意思で決定します。なお、2025年現在、東京都町田市で活動するDAYS BLG!(町田)の利用定員は15人で、町田市にお住まいの50代から90代の方々が利用されています。
ーーデイサービスでの一日の流れを教えてください。
DAYS BLG!では、いわゆるレクリエーション活動は一切行っていません。日々の過ごし方は全て、利用者ご本人の意思で決めていただいています。一日のスケジュールの例としては、9時30分ごろにBLGへ到着後、まず朝のミーティングを行い、午前中の活動内容や昼食をとる場所について話し合います。その後は、それぞれが決めた活動に取り組み、昼食をはさんで午前の部が終了。13時過ぎには午後のミーティングを行い、再び活動内容を決定します。そして、午後の活動とティータイムを経て、一日の振り返りを行い、16時30分ごろに帰宅します。
施設での活動内容は多岐にわたります。例えば、近隣の企業での有償ボランティアや、地域のバザーへの参加など、メンバー自身が「やりたい」と思うことに主体的に取り組むことができます。また、昼食も自己選択・自己決定が基本です。「外食をする」「お弁当を買って施設内で食べる」「施設内で調理して食べる」といった複数の選択肢から、それぞれが選んだスタイルで食事を楽しんでいます。
ーー2025年現在、利用者さんが取り組んでいるお仕事や活動の内容について教えてください。
本当に多種多様な活動に取り組んでいます。一例を挙げると、カーディーラーでの洗車やチラシのポスティング、放置された竹林の竹を使った靴べら作り、近隣のご家庭での草取り、さらには駄菓子屋の経営まで。また、仕事以外では、全員で近所の公園までお花見に行くこともあります。いずれの活動においても大切にしているのは、「実社会とのつながり」と、「メンバーの『やりたい』という思いを実現すること」です。そのため、必ずその日の活動を、メンバーさん一人ひとりに選択してもらっています。
繰り返しにはなりますが、当施設では、自己選択と自主性を何より重視しており、たとえ飲み物を選ぶといった小さなことでも、自分の意思で選ぶことを大切にしています。その理由は、誰かに決められたことを受け身でこなすのと、自分で考えて行動するのとでは、得られる充実感や意味が大きく異なるからです。「やりたいことを自ら考えること」こそが、自発的な行動の第一歩だと私たちは考えています。
ある日の活動の一環として、公園のベンチの清掃に取り組む利用者さん
ーー利用者さんの自己選択をサポートするうえでの工夫はありますか。
「今日は何がしたいですか?」と突然聞かれても、すぐにやりたいことが思い浮かばないのは、誰にとってもよくあることではないでしょうか。だからこそ当施設では、単に「何がしたいか」を尋ねるのではなく、その日の選択肢を具体的に提示したうえで、メンバーに意思決定をしていただくようにしています。例えば、その日の活動の候補としては、期限がある仕事であれば、「カーディーラーで洗車をする」「植木屋さんのチラシをポスティングする」「駄菓子屋の仕入れに出かける」などが挙げられます。
一方、地域で自由に楽しめる活動としては、「駅前で開催されているバザーに行く」「新しくできた近所のパン屋さんに立ち寄ってみる」といった選択肢もあります。これらの情報を総合してホワイトボードなどに選択肢を書き出し、皆で話し合いながら、その日どんな活動をするか、どんな一日を過ごすかを一緒に決めています。この選択肢を提示するうえでは、「Aさんは外を歩くのが好きだから、お花見を選択肢に入れてみようかな」といったように、それぞれのメンバーの得意・不得意も踏まえて検討しています。
ーー「BLG」について、利用者さんやご家族からの反応はいかがですか。
メンバーから寄せられる感想のなかで、特に多いのが「認知症になって周囲との間に壁を感じるようになっていたけれど、BLGに通い始めてから仲間ができた」というものです。多くの方は、以前は友人との交流を楽しんでいたにもかかわらず、認知症をきっかけに周囲の人が過度に気を遣うようになり、自然な関係性が失われてしまったと感じているようです。
しかし、BLGでは、毎回の活動内容を利用者全員で話し合って決めていくため、通っているうちに自然と横のつながりが生まれます。「BLGに通うようになってから、仲間ができました」「認知症になっても、前向きに楽しく暮らせています」といった声をいただくことが多く、私たちスタッフにとっても大きな励みになっています。今後も、認知症をはじめとしたさまざまな障害のある方々と、地域をつなぐ"ハブ"の役割を果たしながら、一人ひとりがその人らしく暮らしていける場を提供し続けていきたいと考えています。
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