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仕事・スキル 介護施設・職場 2025/09/12

#気になるあの介護施設

「介護される側」と「介護をする側」が水平な関係性を保つデイサービスに注目!地域とのハブ機能を担う「BLG」|気になるあの介護施設

取材・文/タケウチノゾミ 編集/イージーゴー iv250904_thumb.jpg

東京都町田市から始まり、全国に展開する「BLG(ビーエルジー)」は、地域と利用者さんをつなぐ"ハブ機能"を担う介護施設です。施設滞在中に取り組む活動はすべて、利用者同士の話し合いによって決められ、施設側が一方的に内容を決定することはありません。有償ボランティアとして働いたり、散歩に出かけたりと、それぞれ「やりたいこと」に主体的に取り組んでいます。施設を立ち上げた経緯や今後の展望について、「BLG」ネットワークを全国に展開する100BLG株式会社の平田知弘氏に話を聞いてみました。

ーーハブ機能を持ったデイサービスを設立しようと思ったきっかけを教えてください。

DAYS BLG!の創設は2012年にさかのぼります。きっかけとなったのは、NPO法人「町田市つながりの開」理事長であり、DAYS BLG!の創業者でもある前田隆行氏が、介護施設に勤務していた頃の出来事でした。ある日、前田が管理していた施設に通う若年性認知症の利用者さんが、「働きたい」と声を上げたそうです。その思いを受け、薪割りなどの軽作業に取り組んでもらったものの、それはあくまで"用意された仕事"であり、利用者さんからは「こういった作業ではなく、本当に地域や社会の役に立つことがしたい」という意見が出てきます。

そこで、保育園でのプール掃除や草取りなど、実際に社会とつながる仕事を利用者に依頼するようになりましたが、今度は「せっかく仕事をするのであれば、対価をいただけないか」との声がメンバーさんから上がりました。前田はこれを受けて、メンバーさんとともに厚生労働省に何度も足を運び、介護保険サービスの利用中でも、有償ボランティア活動に対する謝礼の受け取りが問題ないことを確認し、自治体への通知というかたちで実現します。この一連の経験をもとに、地域と利用者をつなぐ新しいかたちのデイサービスとして、DAYS BLG!(町田)が誕生しました。

ーーハブ機能を持ったデイサービスを設立・運営するうえで、難しかったことはありますか。

地域の企業から有償ボランティアとしての仕事をいただくことは、決して簡単なことではありませんでした。DAYS BLG!の開設後、最初に取り組んだ仕事は、近所にあるホンダの自動車販売店での洗車作業でした。当初は「車を傷つけてしまうのではないか」という企業側の不安から、なかなか承諾を得ることができませんでしたが、1年近くかけて活動の趣旨やメンバー(利用者さん)の思い、取り組みの姿勢について丁寧に説明を重ねた結果、ようやく理解を得て、仕事を任せていただけるようになったのです。

実際に作業が始まると、もともと車が好きなメンバーも多く、「作業が非常に丁寧だ」と、販売店の方々から高く評価していただくことができました。当初は無償での活動でしたが、その後の販売店との交渉が実を結び、現在では有償ボランティアとして、希望するメンバーとともに継続的に取り組んでいます。当施設では、介護サービスを一方的に「提供する」ものとは捉えていません。ご本人の「やりたいこと」の実現に向けて、地域や企業との連携を図ることがBLGの役割であると考えています。

施設滞在時に行うことは、すべてメンバー同士の話し合いによって決定される

施設滞在時に行うことは、すべてメンバー同士の話し合いによって決定される

ーー他の介護施設とは異なる点も多いと思います。スタッフの教育面での工夫についてお聞かせください。

BLGでは、「一緒に活動する仲間」という意味を込めて、スタッフ・利用者さんを含め、施設を利用する全ての人を「メンバー」と呼んでいます。役割にかかわらず、対等で水平な関係性を大切にしているためです。介護の現場では、「する側」と「される側」という構図が生まれがちですが、そうした関係性は、どうしても上下ができてしまい、利用者さんが本音を言いづらくなってしまうことがあります。特に「お世話になっているから」という気持ちが働くと、「本当はこれをやってみたい」といった思いを表に出すのが難しくなり、自己選択や自己決定を妨げてしまう可能性もあると考えています。

そのため、私たちはあえて、日々の仕事の一部をメンバー(利用者さん)にも担っていただいています。また、お茶を入れてくれる、洗濯物を畳んでくれるといった行動に対しても、「すみません」ではなく、「ありがとう」と感謝の言葉を伝えることを大切にしています。こうした積み重ねが、関係性の中に自然な尊重と対等性を育んでいくとの考えからです。

メンバー(利用者さん)が地域の仕事を担う場面でも、その対等な関係性は変わりません。もちろん、状況によってはお一人で作業を進めるのが難しいこともあります。そのような時には、スタッフが現場監督のような立場となり、役割を調整しながら共に作業に加わります。例えば洗車に取り組む場合は、「Aさんは水をかけてくださいね」「Bさんは拭き上げをお願いします」といった声かけをしつつ、自分自身も作業に参加します。それぞれの得意・不得意や、体調に合わせて無理のない形で作業を分担し、皆で一つの仕事を仕上げられるように工夫していますね。

ーー今後の展望をお聞かせください。

全国にもっとBLGの仲間を増やしたいと考えています。よく「うちの近くにはないのですが、BLGに通いたいです」という連絡をいただくのですが、地域密着型の通所介護施設である以上、基本的にはその自治体にお住まいの方以外は利用できないという制約があります。だからこそ、全国にBLGを広げ、より多くの方が地域で「やりたいこと」を実現できる環境を整えたいと考えています。

また、2024年1月には「認知症基本法」が施行され、認知症があっても社会参加をしながら自分らしく暮らすことが、法律の中で明確に位置づけられました。私たちもこの動きを後押ししながら、各自治体との連携を深め、それぞれの地域に最適な形でBLGの活動を展開していく予定です。

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タケウチ ノゾミ(Nozomi Takeuchi)

ライター・編集者

福岡市在住のフリーライター・編集者。介護、医療、ビジネスを中心に幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は観劇と美術鑑賞、猫を揉むこと。

タケウチ ノゾミの執筆・監修記事

EGGO(イージーゴー)

イージーゴーは東京・九州を拠点にWEBコンテンツ、紙媒体、動画等の企画制作を行う編集制作事務所です。ライターコミュニティ「ライター研究所」も運営しています。

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