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仕事・スキル 介護施設・職場 2026/01/08

#インタビュー#気になるあの介護施設

4業態併設により、子ども・現役世代・高齢者が施設内で交流!多世代複合施設「百年の森 函館」|気になるあの介護施設

取材・文/タケウチノゾミ 編集/イージーゴー iv251204_thumb.jpg

北海道函館市に位置する「百年の森 函館」は、通所介護(デイサービス)・居宅介護支援・児童発達支援・就労継続支援B型の4業態がワンフロアにある多世代複合施設です。利用者さんは来所後、「働く×リハビリ」をコンセプトにした「ワーキングリハビリ」などの多種多様なプログラムや、多世代交流に取り組んでいます。多世代複合施設の開設背景や運営面での工夫、今後の展望などについて、株式会社3eee 代表取締役の田中 紀雄氏に話を聞いてみました。

ーー「通所介護・居宅介護支援・児童発達支援・就労継続支援B型」の4業態をミックスした多世代複合施設を開設しようと思ったきっかけを教えてください。

当社はもともとリハビリ特化型のデイサービスから事業を始め、自立支援に重点を置いたサービスを提供してきました。北海道における「事業所評価加算」の適合事業所数が10年連続で1位になるなど、介護度の維持や改善において高い成果を上げてきた実績があります。しかし、ある時「身体機能の維持・改善だけでは、本当の意味での自立支援にはならないのではないか」と考えるようになりました。それは以前、介護の仕事のイメージアップを目的とした小説の出版にあたり、利用者様の実例を集める目的で実施したアンケート調査でのことでした。数百枚の回答のなかに「家族にこれ以上迷惑をかけたくないため、早くあの世に行きたい」と記されたものがあったのです。これまで自立支援に力を入れてきた我々にとって、このように感じている利用者様がいることは大きな衝撃でした。と同時に、単なる身体機能の維持・改善ではなく、「一人ひとりが生きがいを感じられる介護」が必要だと強く実感したのです。

一方で、介護保険制度の合理性という観点からは、事業所が大型化していく傾向にあります。とはいえ、単に施設の規模を大きくしただけでは、黒字化までに時間がかかるという懸念もありました。そこで着目したのが、当社がすでに手がけていた、通所介護と児童発達支援の各業態を組み合わせることです。かつての日本にあった「地域で助け合い、共に生きる社会」の姿をひとつの事業所内で再現できるように、子どもから現役世代、高齢者までが共に過ごす多世代型の施設を構想し、2022年11月に「百年の森 函館」の開設に至りました。

ーー多世代交流の機会はどのように設けているのですか。また、交流による効果についてもお聞かせください。

当施設では、日常的なプログラムの中に交流の場を組み込んでいます。例えば、児童発達支援に通う子ども達がデイサービスの利用者様へ手作りの品をプレゼントしたり、反対に、利用者様が調理レクの一環で子ども達のおやつを作ったりすることもあります。また、子ども達が帰宅するときは、自然と挨拶を交わす姿も見られます。こうした関わりは、高齢者の方にとっては社会参加のきっかけとなり、認知症予防や日々の楽しみ、生きがいにもつながっています。一方で、子ども達にとっても、孤独感の緩和や社会性の習得、思いやりの心を育む機会となっているようです。最初は交流に緊張していた子どもも、日々交流を重ねるごとに自然と笑顔を見せるようになりますね。

さらに、子ども達だけでなく、現役世代との交流もあります。就労継続支援B型に通う方々には、事業所内の清掃を交代で担当していただいているのですが、利用者様はその度に「ありがとう」と声をかけています。こうした感謝の言葉は、就労継続支援に通う方々にとって、大きな喜びや励みになっているようです。このように、多世代交流は子ども・現役世代・高齢者のそれぞれにとって、お互いを理解し、尊重し、支え合う関係を育む大切な機会になっていると感じています。

レッドコードなどのリハビリ器具も充実している

レッドコードなどのリハビリ器具も充実している

ーー4業態をミックスした多世代複合施設の運営を続けるにあたり、特に難しかったことはありますか。

行政における縦割りの仕組みや考え方もあり、制度面での困難が特に大きかったと感じています。構想時は「建物内を自由に行き来できるよう、必要最低限の部屋があれば十分」と考えていたのですが、法律上の規制により、想定していなかった場所に、「壁や扉を新たに設けなければならない」という指示を受けたこともありました。

また、スタッフの大半は、このような形でのサービスの提供は初めてだったため、最初は多世代交流の具体的なイメージが湧かないようでした。そこで、デイサービスの調理レクで作ったおやつを子ども達に渡すなど、まずは "小さな交流"を現場で実践することからスタート。その後も、「どんな施設を目指しているのか」という理念を共有する内に、自然と理解が広がり、今のような施設が形づくられていったと感じています。

ーー4業態のサービスを一度に運営するのは、大変そうなイメージがあります。現場でのスタッフ間の連携は、どのように行われているのでしょうか。

複数のサービスを同時に運営するためには、スタッフ同士の支え合いが欠かせません。介護や就労支援の分野では人員配置の資格要件が一部緩和されているため、忙しい時には他の事業所のスタッフがヘルプに入るなど、職種を超えて行き来できる仕組みを整えています。

当施設は200坪ほどと広いものの、スタッフ同士のコミュニケーションは良好です。スタッフ同士がこまめに声を掛け合い、連携を取りながら、日々の運営を滞りなく行ってくれています。これらの日常的な声かけや、コミュニケーションの積み重ねは、事業所全体の活気づくりに大きく寄与しており、そうした取り組みについては、視察に訪れる外部の方々からも高い評価をいただいています。

ーー「百年の森 函館」についての反響はいかがですか。

利用者様からは、特に「働く×リハビリ」をコンセプトにした「ワーキングリハビリ」について、前向きなご意見をたくさん頂戴しています。また、ケアマネジャーの方々からは「子ども達と触れ合える素敵な施設」と紹介していただく機会が多く、体験利用者も増え続けています。

また、当施設のような多世代複合施設は、自治体や介護事業者からも注目を集めているようで、これまでに多くの方が施設見学や視察にお越しくださいました。民間企業である私たちが積極的に新しい形に挑戦することで、「介護や障がい福祉、保育、学童といった分野の未来に、新たな価値を創出できるのではないか」と期待しています。

ーー今後の展望をお聞かせください。

現在、当法人では「PLACES(プレイシズ)」というブランドで、高齢者のデイサービスと保育園を組み合わせた事業や、障がい者と高齢者の共生型サービスにも取り組んでいます。いずれも異なる世代の方々が共に過ごすことで、新たな価値が生まれており、多世代で支え合う仕組みの可能性を強く感じています。これまでのさまざまな取り組みを通じて蓄積してきたノウハウを活かし、今後はこうした事業所をさらに展開していく予定です。そして、当施設のような多世代複合型の施設を日本各地の介護事業者の方々にも取り入れていただき、より多くの地域で新しいサービスが誕生することを期待しています。

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タケウチ ノゾミ(Nozomi Takeuchi)

ライター・編集者

福岡市在住のフリーライター・編集者。介護、医療、ビジネスを中心に幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は観劇と美術鑑賞、猫を揉むこと。

タケウチ ノゾミの執筆・監修記事

EGGO(イージーゴー)

イージーゴーは東京・九州を拠点にWEBコンテンツ、紙媒体、動画等の企画制作を行う編集制作事務所です。ライターコミュニティ「ライター研究所」も運営しています。

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