旅行動作を取り入れた「旅行リハ(リョコリハⓇ)」で身体機能を向上!「リハビリスタジオてぃーだ真砂」に注目|気になるあの介護施設
取材・文/タケウチノゾミ 編集/イージーゴー
千葉県千葉市に位置する「リハビリスタジオてぃーだ真砂」は、旅行に行ける身体づくりを目標としたデイサービスです。同施設では、観光バスの乗り降りや階段昇降など、旅行での動作を取り入れた「旅行リハ(リョコリハⓇ)」を実施。保険外サービスとして年2回の旅行企画も実施するなど、リハビリの成果発表の場としても旅行を活用しています。リョコリハⓇの詳細や、行き先の選定方法などについて、施設長の布津優子氏に話を聞いてみました。
ーーーー「リハビリスタジオてぃーだ真砂(まさご)」の施設紹介をお願いいたします。
リハビリスタジオてぃーだは、「旅行に行けるカラダをつくる」をコンセプトに、身体機能と認知機能の向上を図るデイサービスです。旅行を前提としたリハビリである「リョコリハⓇ」を実施しているほか、保険外サービスとして年2回の旅行企画をご希望の方に提供していることが特徴です。
なお、千葉県内に5ヶ所ある「リハビリスタジオてぃーだ」のうち、千葉県美浜区に位置する当施設は、平日60名・土日50名定員の、比較的規模の大きい施設です。平均介護度は要介護1前後で、車椅子利用でもご自身で立位を保てる方や、軽介助での乗り降りや移乗ができる方が中心となっています。主に80代から90代の方が多く、当施設がオープンした13年前から継続して通っている方もいらっしゃいます。
ーー「リョコリハⓇ」とは、具体的にはどのようなリハビリなのでしょうか。
リョコリハⓇとは、「旅行に行けるようになること」をゴールに据え、その実現に必要な動作や身体機能を逆算して行うリハビリです。日常生活動作の維持・向上という目的は、一般的なリハビリと大きく変わりません。ただし、トイレ動作や歩行そのものをゴールにするのではなく、「旅先で安全に移動できる」「観光バスに乗れる」といった具体的な場面に結びつけて取り組む点が特徴です。
例えば、段差昇降や立位訓練は観光バスの乗り降りを想定して行うほか、不整地歩行や手すりを使った動作練習は、旅先の整っていない環境を想定しています。また、旅行では屋外を歩く機会が増えるため、屋内外の歩行訓練も積極的に行っています。さらに、月に一度は「歩行ウィーク」を設け、横断歩道を渡って公園まで歩くなど、実際の外出を想定した訓練を実施。施設内では、段差やマットを使った不整地歩行を取り入れ、状態に応じて介助量を調整しながら、歩くことへの自信につなげています。
ほかにも、旅行中の活動を想定して、階段昇降リハビリやグラウンドゴルフなども取り入れています。これらは、立位の安定性やバランス、体の使い方を養うことが目的で、結果として外出や旅行時の動作の安定につながるのです。全体として、特別なことは行っていませんが、どのリハビリも「これができるようになると、旅行に行きやすくなる」という目的を明確にして実施していますね。

屋外歩行訓練のため、施設の周辺を歩く利用者さん
ーー年2回、旅行企画を実施しているとのことですが、行き先の選定で重視しているポイントはありますか。
行き先は、日帰りで無理なく楽しめることを前提に、いくつかの条件を整理したうえで選んでいます。まずは、片道の移動時間が1.5時間以上にならないことです。旅行の日は、利用者様のご自宅までお迎えに行った後、施設に一旦集合してから出発し、帰りもご自宅までお送りしています。そのため、移動距離が長すぎると、ずっと移動していることになり、旅行としての満足度が下がってしまうのです。こうした事情もあり、なるべく移動時間がかからないように努めています。
また、「長く歩くことができなくても楽しめる場所かどうか」も重視しています。車椅子の方や、長時間歩くことが難しい方も多いため、広い公園のような場所は現実的ではありません。よって、降りた場所からすぐ景色や雰囲気を楽しめるうえに、全体的な歩行距離が少なくても満足感のある場所を選ぶようにしています。時間の兼ね合いもあるため、「観光スポット1ヶ所・土産店などが1〜2ヶ所・お昼ご飯を食べるところが1ヶ所」の、計3〜4ヶ所ほどを組み合わせて、一日のスケジュールを決めることがほとんどです。
ーーそうした条件を満たす場所は、あまり無いように感じます。どうやって満足感のある旅を計画しているのでしょうか。
たしかに、条件を満たす場所はそれほど多くないため、インターネットで情報を調べたり、紅葉など季節の見どころを基準に考えたりしながら検討しています。その際、意識しているのは、景色や食事など、「これが一番の目的」と言えるものを必ず一つ設定することです。「せっかく参加したのに期待外れだった」と思う方がいないように、ツアーを企画した目的を明確にすることを意識しています。
例えば、11月に当施設で実施した「秋の房総里山トロッコの旅」では、トロッコ列車に乗ることを主目的にして、観光スポット・買い物ができる場所・昼食が取れる場所を1か所ずつ組み合わせました移動時間や、利用者様の疲労具合を考えると、この程度のボリュームを維持することが、結果的に満足度の高い旅行になると考えています。なお、これまでに実施した旅行の目的としては、小湊鐵道(こみなみてつどう)のトロッコ列車に乗ること、牛久の大仏を見ること、川越で食べ歩きをすることなどが挙げられます。

トロッコ列車の旅での一枚。旅行企画には、利用者さんだけでなくご家族も参加可能
ーーこれまでに実施した旅行企画のなかで、特に印象に残っている行き先はありますか。
特に印象的だったのは、コロナ禍明けの一発目に実施した、千葉県君津市にある亀山湖への旅行です。行き先に悩んでいた際に、「以前亀山湖に行った時に、ボートから見る景色がきれいだったな」とふと思い出し、湖上から紅葉を見る企画を立てたのです。当時はまだ少し不安も残る時期でしたが、水の上はとても穏やかで、皆さんと落ち着いた時間を共有できたことが印象に残っています。ただ、全員が乗れる大型ボートへの乗り降りは想像以上に大変で、かなりチャレンジングな企画となりました。それでも、あの時間は今でも忘れられない、大切な思い出になっています。
また、私は同行できなかったのですが、今年の春に実施した川越の食べ歩きツアーも印象的でした。当施設には、日常の歩行動作に不安を抱える方も多いため、好きな場所に立ち寄ったり、歩きながら食べたりすることは、なかなか経験できないことです。写真や報告書から、皆さんがとても楽しそうにされている様子が伝わってきて、「非常に有意義なツアーだったのだな」と感じました。
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