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仕事・スキル 介護施設・職場 2026/03/18

#インタビュー#気になるあの介護施設

最新のヒット曲を使ったダンスレクを始めた理由は?「ハッピーホーム八代デイサービスセンター」に聞く、キレキレダンス練習の背景|気になるあの介護施設

取材・文/タケウチノゾミ 編集/イージーゴー 260318_a.png

山梨県笛吹市に位置する「ハッピーホーム八代デイサービスセンター」では、レクリエーションの一環として最新のヒット曲を使ったダンスを実施。大人気アイドルの曲にあわせて、利用者さんがキレのあるダンスを披露した動画の再生回数は1,000万回を超え、全国から注目を集めています。アイドルのダンスを取り入れようと思ったきっかけや、利用者さんからの反応などについて、同施設の後藤美樹氏に話を聞いてみました。

ーーなぜ、Snow Manの「カリスマックス」を使ったダンスレクを取り入れようと思ったのですか。きっかけを教えてください。

YouTubeを見ていた時に、たまたまおすすめに「カリスマックス」のミュージックビデオが表示されたことがきっかけです。確か、同動画の投稿から2〜3日ほど経った頃だったと思います。ミュージックビデオを再生してみると、老人ホームの中で踊るという非常にユニークな設定だったんです。それを見て、「これをうちのデイサービスでも踊れないだろうか」と考えました。

ただ、「カリスマックス」はテンポが速いうえに、振り付けのスピードも早く、一般的にデイサービスでのレクリエーションで使うような曲とは正反対です。そこで、省いても問題なさそうな部分を省略してダンスの難易度を少し下げたほか、サビの一部のみを使うことで、無理のない形で踊っていただくことにしました。そして、練習の末、2025年9月に「カリスマックス」を踊った動画をデイサービスの公式Instagramに投稿したところ、思いがけず拡散し、多くの方にご覧いただくことになったのです。

ーーダンスを取り入れる中で、難しかったことはありますか。

正直なところ、まずはスタッフ自身が振り付けを覚えることが大変でした。スタッフは特別にダンスを習った経験があるわけでもなく、決してダンスが得意というわけではありません。

ただ、だからこそ、利用者さんの立場に立って考えることができたのではないかと思います。自分自身が「ここは覚えにくいな」「こうしたほうが覚えやすいな」と感じた部分を、そのまま利用者さんへの伝え方に生かすことができたからです。あえてダンス経験のないスタッフが、自分なりに噛み砕いた覚え方でお伝えしたことが、結果的に良い方向に働いたのではないかと感じています。

また、利用者さんに分かりやすく教えるために、鏡になる形で振り付けを覚えたことも、難しかったことの一つです。利用者さんが右手を挙げるとき、スタッフは左手を挙げることになるため、全てを反対に覚えるのには苦労しました。

Instagramには、「カリスマックス」に限らず、様々な曲にあわせて踊る様子が投稿されている

Instagramには、「カリスマックス」に限らず、様々な曲にあわせて踊る様子が投稿されている

ーーダンスの練習時、利用者さんの様子で印象的だったことはありますか。

印象的だったのは、振り付けをパーツごとに練習し、最後に全体を通した際に、皆さんがしっかりと振りを覚えていたことです。利用者さんにお話を聞くと、「頭では忘れているけれど、なんとなく身体で覚えている感じがする」とおっしゃっていました。練習の際は、右斜め上に手を挙げる動きには「3時」といったように、振り付けに言葉を添え、踊りに印象付けをすることを意識していました。音楽を聴きながら、スタッフのそうした声かけを聞いて身体を動かすことで、感覚として記憶が定着したのかもしれません。

このような声かけを始めたのは、「面白く、楽しく覚えてもらいたい」という思いからです。これはダンスに限らず、体操やほかのレクリエーションでも同じ思いを重視しています。利用者さんに「今日も楽しかったな」と思って帰っていただくために、自然と印象に残る言葉や、少し笑えるような声かけを取り入れてきました。そのため、ダンスにおいても、とにかく楽しんでいただくことを意識しています。

ーー「カリスマックス」を踊った動画は、Instagramへの投稿により注目を集めたそうですね。投稿のきっかけを教えてください。

もともと、利用者さんのご家族に日々の様子を見ていただくために、Instagramへの投稿は行っていました。県外や外国にお住まいのご家族もいらっしゃるので、そういった方々にも「おばあちゃん、おじいちゃんが頑張っている姿」を見てもらえたら、という思いがあったのです。

そうした経緯もあり、今回のダンスも、最初からSNSへの投稿を予定していました。投稿について事前に説明していたこともあって、利用者さんにとっても、「家族やお孫さんが見てくれる」ということが、頑張る理由の一つになっていたように感じています。

投稿時はただ施設での様子を紹介しようと思っただけで、特に宣伝などをした訳でもなかったのですが、投稿から数時間後には、アイドルファンの方を中心に「いいね」が集まり、大変驚きました。2026年現在の再生回数は1200回を超えていて、中には「感動をありがとう」「涙が出ました」といったコメントも寄せられています。

ーー利用者さんやご家族からの反応はいかがですか。

動画の拡散後は、Instagramに寄せられた主要な感想を読み上げ、利用者さんに反応をお伝えしました。普段から「今はスマートフォン一つで、世界中の人が皆さんのダンスを見ることができるんですよ」とお話していたのですが、実際に多くの反応が届いたことで、その実感がより強まったように感じています。何万人もの方が動画を見てくださったことを知り、「自分たちが頑張った姿が、こんなにも多くの人に見られているんだ」と、嬉し涙を流されている方もいらっしゃいました。

また、その反響を受けて、先日はローカル放送局の方が取材に来てくださり、利用者さんもご家族も大変驚かれていました。自分たちの取り組みが、家族だけでなく、多くの方に応援されていると感じたことが、大きな励みになったのだと思います。

ご家族からは、「これまで大きな病気をしてきたので、こんなに元気に踊っている姿を見るなんて信じられない」といったお声や、「以前は別のデイサービスに通っていたが、つまらないと施設を変えてもらった。ハッピーホームに通うようになってからは、楽しくて仕方ないと言っている」といったお話を伺うこともあります。これからも、利用者さんに楽しんでいただくことを第一に考えながら、様々なレクを実施したいと思います。

ーー最後に、今後の展望を教えてください。

「デイサービスの利用者さんも、楽しみながらいろいろなことに挑戦できる」、ということを、これからも形にしていきたいと考えています。これまでも、少しテンポの速い歌などにも取り組んできたので、ダンスに限らず、ほかにも様々なことにチャレンジしたいですね。

当施設が目指しているのは、デイサービスという枠にとどまらない、サロンのような雰囲気のある場所です。利用者さん同士お話ができて、自然と笑顔が生まれ、みんなが楽しめる。そうした空気感があるからこそ、ケアマネジャーさんからも「この施設なら」と利用者さんをご紹介いただけているのかもしれません。これからも、利用者さんが「今日も楽しかった」と帰れるような場所であり続けたいと思っています。

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タケウチ ノゾミ(Nozomi Takeuchi)

ライター・編集者

福岡市在住のフリーライター・編集者。介護、医療、ビジネスを中心に幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は観劇と美術鑑賞、猫を揉むこと。

タケウチ ノゾミの執筆・監修記事

EGGO(イージーゴー)

イージーゴーは東京・九州を拠点にWEBコンテンツ、紙媒体、動画等の企画制作を行う編集制作事務所です。ライターコミュニティ「ライター研究所」も運営しています。

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