介護事務管理士とは?仕事内容・取得メリット・試験の概要など
構成・文/介護のみらいラボ編集部介護施設の会計や介護報酬請求作業などを担当するスタッフのスキルを証明するものとして、「介護事務管理士」の資格があります。介護事務員として働く上で必須の資格ではありませんが、取得しているとさまざまなメリットがあるため、みなさんのなかにも「介護事務管理士の資格に興味がある」という方がいらっしゃるのではないでしょうか。
当記事では、介護事務管理士の仕事内容、活躍が期待できる職場、資格取得のメリットなどを詳しく解説します。併せて、介護事務管理士試験の概要や注意点についても紹介するので、介護事務としてスキルアップを目指している方は、ぜひご一読ください。
1.介護事務管理士とは?ケアクラークとの違い
介護事務管理士は、介護施設における事務作業のスペシャリストであることを証明する民間資格です。技能認定振興協会(JMSA)が認定を行っており、「介護事務管理士技能認定試験」に合格すれば資格を取得することができます。
介護事務に関する資格としては「ケアクラーク」が有名ですが、2つの資格は求められる知識が異なります。介護事務に加えて介護全般の幅広い知識を求められるのがケアクラーク、介護請求事務に特化した知識を問われるのが介護事務管理士と覚えておくと良いでしょう。
介護事務管理士の仕事内容
介護事務管理士の具体的な仕事内容は、次の通りです。
介護報酬請求業務 |
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介護事務管理士の仕事において、メインとなる業務です。介護施設や事業所に支払われるべき介護報酬を「国民健康保険団体連合(国保連)」に請求します。 介護サービスの利用料は利用者さんが1〜2割負担し、残りの8〜9割が介護保険から介護報酬として支払われる仕組みとなっており、それぞれの施設・事業所が介護報酬の算定、介護給付費明細書(レセプト)の作成を行った上で、国保連に請求する必要があります。 |
介護報酬請求は月に1度の業務となるため、常に介護事務管理士としての仕事があるわけではなく、主に月末・月初が忙しくなる傾向にあります。
介護事務管理士にはパートやアルバイトでの採用もありますが、正規職員として常勤で働く場合は、介護報酬請求業務以外の時間で以下のような仕事も行います。
その他の業務 |
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●利用者さんへの案内・問い合わせ対応 ●ケアマネジャーの補佐 ●介護職員のシフト作成 ●介護業務の補助 |
このように、事務作業だけでなく、幅広い業務をこなすことがあるため、職場に常駐する働き方を目指す場合は、現場の業務に対応するスキルも必要になるでしょう。
介護事務管理士が活躍できる場所
介護事務管理士が活躍できる職場には、次のような施設・事業所があります。
入所型の介護施設 |
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●特別養護老人ホーム ●介護老人保健施設 ●グループホーム など |
通所型の介護施設 |
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●デイサービス など |
訪問・居宅介護の事業所 |
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●訪問介護ステーション ●訪問看護ステーション ●居宅介護支援事業所 など |
また、介護施設や事業所以外にも、次のような職場で働くことが可能です。
病院・クリニック |
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訪問診療や訪問介護を行った際に、介護報酬が発生します。 |
国保連・保険請求審査機関 |
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介護施設・事業所から提出されたレセプトの審査を行う側として働きます。 |
損害保険会社 |
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介護事務管理士の知識を、保険請求内容の審査に役立てることが可能です。 |
介護関連のシステム会社 |
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介護事務管理士の知識・スキルを生かして、介護事業向けのシステム構築、メンテナンスなどに携わることが可能です。 |
介護事務管理士の活躍が見込まれるのは、主に介護施設や事業所ですが、場合によっては介護事業と関連性の高い他業種でも活躍が可能です。
介護事務管理士の資格を取得するメリット
介護事務管理士の資格は、介護事務を行う上で必須ではありません。しかし、介護事務管理士の資格を取得することで、以下のようなさまざまなメリットが得られます。
知識・スキルを証明できる |
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メインの業務である介護報酬請求業務は、介護保険制度をはじめとする専門的な知識が求められる仕事です。資格を取得しておけば、知識・スキルがあることを証明できるため、入職後に重宝される人材となれるでしょう。 |
就職・転職で有利に働く |
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介護事務管理士のスキルが役立つ職場に就職・転職する場合、即戦力と見なされて有利になる可能性があります。介護施設や事業所が全国各地にあることに加えて、他業種にも就職できる可能性があるため、就職先や転職先が探しやすいというメリットもあります。 |
2.介護事務管理士は今後の需要増加が期待できる資格!
介護事務管理士の資格は、今後の需要増加が期待できる資格と言えるでしょう。その背景には高齢化社会の進行があります。
日本における65歳以上の高齢者数は、2025年に3,657万人、2042年には3,878万人になると言われています。さらに、全人口に占める75歳以上の高齢者の割合も増加の一途をたどり、2055年には25%を越えると予想されている状態です。
そのため、今度さらに介護業界のニーズが高まり、それにあわせて介護事務管理士のニーズも高まると考えられるでしょう。
介護事務管理士に向いている方の特徴とは?
前述した通り、今後、介護事務管理士は需要が高まると考えられますが、なかには「自分につとまるかの判断がつかないので、キャリアの選択肢に入れにくい」と思っている方がいるかもしれません。
ここでは、介護事務管理士に向いている方の特徴を紹介しましょう。
・デスクワークが苦にならない |
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介護報酬請求業務をはじめとする介護事務は、デスクワークが基本です。レセプト作成の際はパソコンを使った作業も多いので、デスクワークやパソコン作業が苦にならない方に向いています。 |
・責任感がある |
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介護事務管理士の仕事は、介護報酬の算定やレセプトの作成など、「正確さ」が求められる業務が中心です。また、介護保険制度はたびたび見直しが行われ、介護報酬も都度改定されます。そのため、作業を正確に行うことはもちろん、介護保険制度について常に学ぶ姿勢を持つなど、責任感のある方に向いています。 |
・介護・福祉の仕事に関心がある |
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介護事務管理士は請求業務だけでなく、介護に関する仕事全般を担うことが多くあります。介護・福祉系の仕事に興味を持っている方が望ましいでしょう。 |
・コミュニケーションを取ることが好きである |
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介護事務管理士は、医療機関・保健所の担当者や施設の利用者さんなどと関わることも多く、人とコミュニケーションを取ることに抵抗のない方に向いています。 |
3.介護事務管理士技能認定試験の概要と注意点
介護事務管理士の資格を取得する場合は、認定試験に合格する必要があります。試験の受験資格や試験内容といった概要は以下の通りです。
受験資格 |
介護事務管理士技能認定試験 受験資格は問いません |
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受験種目・科目 | 実技試験・学科試験 |
試験日 | 在宅受験:毎月第4土曜日翌日の日曜日 |
試験内容 |
(1) 実技試験/レセプト点検問題......2問(全6問中2問を選択) (2) 学科試験/マークシート(択一式)......10問(「共通問題」7問と「選択問題」3問) |
試験実施方法 | 在宅受験 |
出題範囲 |
(1) 実技試験/介護給付費明細書を作成するために必要な知識(居宅サービス、施設サービス、地域密着型サービス) (2) 学科試験/法規(介護保険制度、介護報酬の請求についての知識)、介護請求事務(介護給付費単位数の算定、介護給付費明細書の作成、介護用語についての知識) |
合格基準 |
(1) 実技試験/約80%以上 (2) 学科試験/約80%以上 |
結果の通知 | 合否の結果は試験実施後1カ月以内に文書にて通知します。また、合格者には「介護事務管理士」の認定合格証が交付されます。 |
受験料 | 5,500円(税込/学科・実技) |
なお、受験時には下記の点に注意しましょう。
●試験問題は、試験時点の介護給付費単位数表に基づいて出題
●試験会場には各種資料や計算機などの持ち込みが可能。ただし、実技試験では計算機以外の電子機器の使用不可
●筆記用具は実技・学科ともにBまたはHBの黒鉛筆を使用し、シャープペンシルの使用は不可
●実技・学科ともに60%以上の得点かつ、全問題の得点合計が80%以上で合格
●試験内容について、答案の返却・得点や出題内容の問い合わせには応じない
●受験料を一旦納入すると、理由のいかんにかかわらず返金は不可
●申込後のキャンセルや受験月の変更は不可
まとめ
介護事務管理士は、介護事務のなかで主に介護報酬請求業務を担当します。責任の大きな業務であることはもちろん、高齢化社会が進行している背景もあって、介護事務管理士は将来性のある資格と考えられています。介護業務に必須の資格ではないものの、資格を取得することで就職・転職にも有利になるので、請求業務を行っている方にはおすすめです。
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※当記事は2022年8月時点の情報をもとに作成しています
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