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仕事・スキル 介護資格 2025/06/13

#初任者研修

介護職員初任者研修とは?カリキュラム内容や取得方法などを紹介

文/中村亜美(介護福祉士) thumb250614.jpg

介護職員初任者研修の名称は聞いたことがあるものの、「実際の内容や資格取得のメリットがわからない」と思っている方もいるのではないでしょうか。

初任者研修に興味のある方や資格取得を検討している方であれば、名称だけでなくカリキュラムの内容や取得方法なども、きちんと知っておきたいところです。そこでこの記事では、介護職員初任者研修やメリット、向いている方の特徴などについて詳しく解説していきます。ほかの資格との違いも説明しますので、ぜひ参考にしてください。

1.介護職員初任者研修について

さっそく、介護職員初任者研修(以下、初任者研修)の学習内容やカリキュラム、取得方法などを紹介していきましょう。

介護職員初任者研修とは

厚生労働省「介護員養成研修の取扱細則について」では、介護職員初任者研修を「介護に携わる者が、業務を遂行する上で最低限の知識・技術と それを実践する際の考え方のプロセスを身につけ、基本的な介護業務を行うことができるようにすることを目的として行われるものである」と表現しています。

つまり初任者研修は、介護の初心者が介護現場で使える基礎知識や技術を学ぶための資格といえるでしょう。

後ほど詳しく解説しますが、初任者研修は指定されたカリキュラムを受講し、研修を修了することで取得できます。また、取得すると待遇面などで優遇される可能性が高まるため、介護初心者の方にはおすすめの資格といえます。

(参考:厚生労働省「介護員養成研修の取扱細則について」

初任者研修で学べる内容

初任者研修は、介護現場で関わる高齢者への理解を深めるために、次のような内容を学習します。

  • 介護の基礎的な知識
  • コミュニケーションの知識
  • 高齢者への尊厳や自立支援について
  • 高齢者のよくある疾患や老化の特徴について
  • 認知症について
  • 介護・福祉業務について

介護施設で実践できるようなコミュニケーション技術なども学べるため、現場に出たときにも安心です。

初任者研修のカリキュラム

厚生労働省「介護員養成研修の取扱細則について」によると、初任者研修の具体的なカリキュラム内容と研修時間は下記の通りです。

【研修科目および研修時間数】

1.職務の理解 6時間 6時間
2.介護における尊厳の保持・自立支援 9時間
3.介護の基本 6時間
4.介護・福祉サービスの理解と医療との連携 9時間
5.介護におけるコミュニケーション技術 6時間
6.老化の理解 6時間
7.認知症の理解 6時間
8.障害の理解 3時間
9.こころとからだのしくみと生活支援技術 75時間
10.振り返り 4時間
合計 130時間

(出典:厚生労働省「介護員養成研修の取扱細則について」

初任者研修のカリキュラムは国によって定められており、科目数が10科目、時間数は130時間です。カリキュラムの受講を修了すると修了試験があり、それに合格すると資格が得られます。

なお、どこの地域で受講しても研修の内容は共通しています。

初任者研修の取得方法

初任者研修の受講方法は、次の2種類です。

  • 通学講座
  • 通信講座

通学講座はすべてスクーリングなのに対し、通信講座は上限40.5時間が自宅学習、80.5時間はスクーリングとなっています。

初任者研修は最短1か月で取得できますが、スクールによって進め方が異なります。スクールに申し込む際に、どれくらいの頻度で講義が行われるのかをチェックしておきましょう。初任者研修の講座を開いているスクールは全国各地にあるため、お住まいの地域のスクールを探してみてください。

スクール受講料の費用相場は4〜10万円程度といわれていますが、こちらもスクールによって異なります。最近では、比較的低価格で受講できるスクールも増えているため、インターネットを使って比較検討しましょう。

2.初任者研修を取得におすすめの方

ここまでを読んで、「初任者研修はどういう人が取得するべきなんだろう」と気になっている方もいると思います。

以下では、初任者研修を取得したほうがいい方について、解説していきます。

介護の仕事をこれから始めたいと思っている方

介護の仕事を始める前に何か資格を取りたい方には、初任者研修がおすすめです。初任者研修は、介護福祉士実務者研修よりも基礎的な知識や技術が学べ、初心者にぴったりだからです。

「介護職員として働きたいけれど、現場に出るのが不安」という方も、手始めに初任者研修を受けておくとよいでしょう。現場の業務内容がある程度把握できるため、比較的スムーズに現場に入れるはずです。

介護職に戻りたいもののブランクがある方

みなさんのなかには、「いったんはほかの職種として働いてみたものの、やっぱり介護職に戻りたい」と思っている方もいるかもしれません。初任者研修の受講は、そうしたケースにもおすすめです。

現在、介護の仕事は無資格ではできなくなっています。2024年4月から「認知症介護基礎研修」が義務化され、入職後1年以内の受講が必須となったためです。

ただし、初任者研修を取得していれば、認知症介護基礎研修の受講は免除されます。初任者研修は、介護技術や知識を再確認(あるいはアップデート)するのにも最適なので、ぜひ活用してみてください。

将来、実務者研修や介護福祉士を取得したいと思っている方

初任者研修を取得しておくと、実務者研修のカリキュラムや費用が一部免除されます。そのため、「将来的に介護福祉士の取得を目指していて、まずは実務者研修を取りたい」と思っている方には、初任者研修の受講をおすすめします。

3.初任者研修を取得するメリット

介護業界で働く場合、初任者研修を取得するメリットは数多くあります。ここでは主なメリットを4つピックアップして紹介します。

介護の基礎知識や技術が学べる

介護業界を目指すにあたっては、未経験のまま介護の仕事を始めることに抵抗を覚えたり、介護の知見がなくて不安に思ったりすることもあるでしょう。

しかし、初任者研修を受ければ、介護の現場に必要な基礎知識や技術を学ぶことができます。介護現場でそれらを生かせば、未経験のまま勤務してもスムーズに仕事に取り組めるでしょう。基礎知識が身についている分、業務の内容やコツもより早く吸収できるはずです。

就職・転職で有利になりやすい

介護業界の求人の多くは、資格所有者を歓迎しています。そのため、初任者研修の資格をもっていると、就職や転職の際に有利になる可能性があります。初任者研修を取得したら、履歴書に記載して積極的にアピールするとよいでしょう。

資格手当として給料に反映される可能性がある

初任者研修を取得することで、待遇がよくなる可能性が高まります。多くの介護施設では資格所有者を優遇しているため、初任者研修を取得していることで、手当はもちろんのこと基本給が上がる場合もあるでしょう。

初任者研修をはじめとした介護系資格の有無によって、正規雇用の可否も変わることがあるため、非正規雇用の場合、資格を取ったら時点で職場に報告するようにしてください。

介護系や派遣や単発バイトでも有利な可能性が高い

最近の介護業界では、正社員やパート職員だけでなく、派遣職員、単発のアルバイトスタッフといった働き方もできるようになっています。そうした働き方をしたい場合も、初任者研修の資格をもっていると有利です。

介護系の派遣紹介サイトや単発のアルバイト用のアプリは、介護系資格所有者を対象にしていることが多く、資格をもっていることで登録できたり、高時給の仕事を紹介してもらえたりします。そのため、介護業界で自由な働き方をしたいと思っている方は、初任者研修の取得を検討してみるとよいでしょう。

4.初任者研修と他資格の違い

初任者研修は、ホームヘルパー2級や実務者研修と比較されることが多い資格です。実際にどのような違いがあるのかわからないという方のために、初任者研修とホームヘルパー2級、実務者研修との違いについても簡単に解説しておきましょう。

初任者研修とホームヘルパー2級の違い

ホームヘルパー2級は2013年度に廃止されており、現在は新規で資格を取得することができません。そして、ホームヘルパー2級の代わりに誕生したのが、「初任者研修」です。

そうした背景から、ホームヘルパー2級と初任者研修は"同等資格"といわれることも多いのですが、2つの資格にはいくつかの違いがあります。

まず、挙げられるのがカリキュラムの内容です。初任者研修には、ホームヘルパー2級のカリキュラムにはなかった「認知症の理解」が追加されています。反対に、ホームヘルパー2級のカリキュラムに含まれていた「実習」が、初任者研修には含まれていません。

また、ホームヘルパー2級が訪問介護サービスの提供を想定した資格だったのに対し、初任者研修は、介護サービス全体に対応できる資格となっています。

初任者研修と実務者研修の違い

初任者研修と実務者研修の違いは下記の通りです。

  • カリキュラム内容
  • 受講時間・科目数
  • 受講費用
  • サービス提供責任者になれるか否か
  • 介護福祉士国家試験の受験資格が得られるか否か
  • 修了試験の有無

初任者研修は初心者向けの資格であるのに対し、実務者研修はより実践的な知識と技術を磨くための資格です。そのため、初任者研修よりも実務者研修のほうが受講時間や科目数が多くなっています。

また、実務者研修をもっているとサービス提供責任者になれたり、実務経験年数とあわせて介護福祉士試験の受験資格が得られたりといったメリットもあります。

比較すると、実務者研修のほうが資格取得のメリットが多いと感じるかもしれませんが、最初から実務者研修の取得を目指す必要はありません。介護初心者の方は「まずは基礎を固めることが大事」という気持ちで、初任者研修に挑戦してみるとよいでしょう。

「最終的に介護福祉士を目指したい」という方は、そこから少しずつステップアップし、理想のキャリアプランを実現してください。

まとめ:介護業界でまずは働いてみたい方におすすめ

初任者研修は、介護の基礎を学びたい方におすすめです。初任者研修の資格をもっていると、給与面などの待遇がよくなる可能性もあります。そのため、介護業界で働きたいと考えている方にとって、初任者研修の取得は賢い選択といえるでしょう。

資格を取るべきかどうか迷っている方は、この記事を参考にして、初任者研修の受講を検討してみてください。

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中村亜美(Ami Nakamura)

介護福祉士

2007年に介護福祉士を取得後、特別養護老人ホームで介護職員として勤務。ユニットリーダーとしての経験もある。現在はWebライターとして主に介護系の記事を執筆している。

中村亜美の執筆・監修記事

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