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仕事・スキル 介護資格 2025/11/12

実務者研修の内容(カリキュラム)は?科目一覧と学習内容を簡単に紹介

編集/中西紗羅(介護福祉士) thumb_251031.jpg

実務者研修は、介護福祉士国家資格を受験するための条件の1つです。研修では、介護に関する知識・技術以外に、権利擁護や社会保障制度、疾患の症状、障害の特性、医療的ケアまで、さまざまな内容を学習します。

本記事では、実務者研修の内容(カリキュラム)、各科目で学べる範囲や内容、実務者研修を受講するメリットについて、それぞれ解説します。

1.実務者研修とは?

参考写真

実務者研修とは、介護に関する知識や技術を体系的に学べる研修です。受講資格はなく、希望すれば、誰でも研修を受講できます。介護の専門知識を身につけられるため、すでに介護職員として勤務している人はもちろん、介護職未経験でこれから挑戦しようと考えている人にとっても、介護現場で役立つカリキュラムとなっています。

実務者研修は「介護福祉士実務者研修」と呼ばれており、研修を修了する(もしくは修了見込み)ことで、介護福祉士国家試験のうちの「実務経験ルート」の条件の1つを満たせます。そのため、介護職の実務経験があって、介護福祉士資格をまだ取得していない人が受講するケースも多くあります。

2.実務者研修の内容(カリキュラム)

参考写真

介護職未経験者が実務者研修を受講する場合、最大450時間の研修カリキュラムが組まれます。各科目と、受講に必要な時間数は、下記の通りです。

科目名称 時間数
人間の尊厳と自立 5
社会の理解Ⅰ 5
社会の理解Ⅱ 30
介護の基本Ⅰ 10
介護の基本Ⅱ 20
コミュニケーション技術 20
生活支援技術Ⅰ 20
生活支援技術Ⅱ 30
介護過程Ⅰ 20
介護過程Ⅱ 25
介護過程Ⅲ(スクーリング) 45
発達と老化の理解Ⅰ 10
発達と老化の理解Ⅱ 20
認知症の理解Ⅰ 10
認知症の理解Ⅱ 20
障害の理解Ⅰ 10
障害の理解Ⅱ 20
こころとからだのしくみⅠ 20
こころとからだのしくみⅡ 60
医療的ケア 50(別途、演習を修了する必要あり)
必要な受講時間数 450時間

実務者研修では、受講者がこれまで受講してきた他の研修内容に応じて、特定の科目受講を免除できる制度があります。所有する資格・研修名と、それに付随して免除される科目は、以下の通りです。

科目名称 介護職員初任者研修 訪問介護員1級 訪問介護員2級 訪問介護員3級 介護職員基礎研修
人間の尊厳と自立 免除 免除 免除 免除 免除
社会の理解Ⅰ 免除 免除 免除 免除 免除
社会の理解Ⅱ 免除 免除
介護の基本Ⅰ 免除 免除 免除 免除
介護の基本Ⅱ 免除 免除 免除
コミュニケーション技術 免除 免除
生活支援技術Ⅰ 免除 免除 免除 免除 免除
生活支援技術Ⅱ 免除 免除 免除 免除
介護過程Ⅰ 免除 免除 免除 免除
介護過程Ⅱ 免除 免除
介護過程Ⅲ 免除
発達と老化の理解Ⅰ 免除 免除
発達と老化の理解Ⅱ 免除 免除
認知症の理解Ⅰ 免除 免除 免除
認知症の理解Ⅱ 免除 免除
障害の理解Ⅰ 免除 免除 免除
障害の理解Ⅱ 免除 免除
こころとからだのしくみⅠ 免除 免除 免除 免除
こころとからだのしくみⅡ 免除 免除
医療的ケア
必要な受講時間数 320 95 320 420 50

(参考:厚生労働省|実務者研修に際しての読替え可能科目について

例えば、介護職員初任者研修をすでに修了している人であれば、実務者研修を受講する合計時間は450時間→320時間と、130時間の短縮となります。

なお、上記の表にある訪問介護員(ホームヘルパー)、介護職員基礎研修は、すでに廃止となった研修です。しかし、過去に受講し、全ての研修科目を修了している人であれば、実務者研修における該当科目も免除の扱いとなります。

また、その他の地域団体などを主体に実施される「認知症実践者研修」の場合、「認知症の理解Ⅰ・Ⅱ」の科目が免除され、「喀痰吸引等研修」の場合では「医療的ケア」の科目がそれぞれ免除の対象となります。

厚生労働省の資料によると、実務者研修受講者のうち450時間フルで受講するケースは少なく、320時間の受講が平均的です。つまり、実務者研修受講者のほとんどは、上記の表に該当する介護研修を修了した人が多いといるでしょう。

3.実務者研修の各科目で学べる内容

参考写真

実務者研修には全20科目の講義があり、大きく下記4つの領域に分けられています。

領域名称 科目名称
人間と社会 人間の尊厳と自立
社会の理解Ⅰ
社会の理解Ⅱ
介護 介護の基本Ⅰ
介護の基本Ⅱ
コミュニケーション技術
生活支援技術Ⅰ
生活支援技術Ⅱ
介護過程Ⅰ
介護過程Ⅱ
介護過程Ⅲ(スクーリング)
こころとからだのしくみ 発達と老化の理解Ⅰ
発達と老化の理解Ⅱ
認知症の理解Ⅰ
認知症の理解Ⅱ
障害の理解Ⅰ
障害の理解Ⅱ
こころとからだのしくみⅠ
こころとからだのしくみⅡ
医療的ケア 医療的ケア

各科目には、教育の事項と到達目標が定められています。各科目で学べる内容について、それぞれ見ていきましょう。

人間と社会(合計3科目)

「人間と社会」の領域では、人間の尊厳や権利擁護、人間の生活を支える社会保障制度などについて学びます。介護職がケアを行う主な対象者は、高齢者や障害者であり、介護職として知っておくべき、彼らの置かれた社会的背景や、権利擁護、倫理観などについて理解することが主な目的です。

人間の尊厳と自立

人間の尊厳の維持や、自立・自律に向けた支援の重要性、ノーマライゼーション(社会的弱者を排除せず、健常者と同等に生活できる社会に近づける)の考え方などを学びます。利用者の尊厳や人権を守りながら、自立につながる介護支援を行う大切さを理解することが目的です。

社会の理解Ⅰ

介護保険制度に関する内容を学びます。介護保険サービスの目的や利用方法、各サービスの役割を理解したうえで、介護職から利用者への適切なサービスの提案・助言ができるように知識を身につけます。

社会の理解Ⅱ

介護保険制度以外の社会保障制度について学びます。生活・福祉は家族や地域、社会と密接に関わり合っていることを理解することが目的です。介護サービス利用者は、保険診療、障害者総合支援法、生活保護法、成年後見制度など、さまざまな社会保障制度を利用しているケースがほとんどです。

そのため、制度やサービスの概要についての理解を深めることは、介護業務を進めるうえで必須といえます。

介護(合計8科目)

「介護」の領域では、実務者研修の中でも、実践的な介護スキルを学習する領域です。介護現場で即戦力として活躍するための知識・スキルを身につけることが目的です。

介護の基本Ⅰ

介護福祉士国家資格の成り立ちや歴史、業務、役割などを学びます。介護福祉士としての倫理観を身につけて、利用者の尊厳・人権を擁護した介護の実践や、自立を促す介護過程の展開などを理解します。

介護の基本Ⅱ

介護を実践するうえで欠かせない、利用者の安全配慮について学びます。利用者の介護ニーズや、多職種との連携の重要さ、介護現場で起こり得るさまざまな事故・リスクと、その対策について理解します。

そして、多職種の役割や連携の重要さを理解することで、チームアプローチできる能力を身につけます。また、介護福祉士自身の心身の健康管理や、労働安全対策に関する知識も合わせて学習します。

コミュニケーション技術

さまざまな利用者、利用者の家族、多職種と関わる介護職には、コミュニケーション能力が必須です。そのため、カリキュラムを通してコミュニケーション技術を学び、介護現場における適切なコミュニケーション技法の実施、相談援助の対応、信頼関係の構築など、利用者個々に合わせたコミュニケーション技術の大切さを理解し、身につけます。

また、支援者間における報告や、情報共有の重要さも学びます。

生活支援技術Ⅰ

介護ケアを行ううえで必須となる「ICF(国際生活機能分類)」の意義を学びます。介護技術の基本である移動・移乗、食事、入浴・清潔保持、排泄、着脱、整容、口腔清潔、家事援助などの技術を修得し、それらを「ボディメカニクス」として理解・活用することを目指します。

また、利用者の住環境や、福祉用具に対する理解を深めることで、利用者個々における適切な生活環境の提供ができるようにします。

生活支援技術Ⅱ

「生活支援技術Ⅰ」で学んだ介護技術を、利用者1人ひとりの心身の状態に合わせて提供できるスキルを身につけます。利用者1人ひとりに合わせた福祉用具の適切な活用や、安全な住環境の整備ができるようになります。

介護過程Ⅰ

利用者へ適切な介護サービスを提供するには、介護計画の立案が必須です。利用者のニーズをアセスメントし、具体的な支援の内容を考えるプロセスを「介護過程」といいます。介護職として、チームで協力しながら適切な介護過程を実施し、目標に沿った介護計画を作れるようすることが目的です。

介護過程Ⅱ

「介護過程Ⅰ」で学んだ内容をもとに、事例を交えながら、利用者の状態(障害の重さ、要介護度、医療ケアの必要性、住環境、家族の状況など)に合わせた介護課程の考え方と、展開方法を身につけます。

介護課程を進めるうえでの安全性の確保、事故防止、利用者家族や多職種との連携の重要さについて理解を深めます。

介護過程Ⅲ(スクーリング)

Ⅰ・Ⅱで学んだ内容の応用として、事例をもとに、他の受講生などと話し合いながら、利用者に適切な介護計画の立案に取り組みます。安全確保や事故防止に向けた検討、家族や他職種、関係期間との連携を行うことの重要性を学びます。

研修で身につけた知識や技術を、総合的に活用することを目指します。なお、通信講座の受講者も、介護過程Ⅲの科目は実際にスクールに通って受講する必要があります。

こころとからだのしくみ(合計8科目)

「こころとからだのしくみ」の領域では、心身の健康状態に対する理解を深めます。介護対象者である高齢者、障害者には、心身の健康に課題を抱えているケースも多くあるため、それらを正しく理解し、適切な介護を提供できることを目指します。

発達と老化の理解Ⅰ

人間の老化に伴って現れる、心身の影響について学びます。身体的な変化によって、日常生活にどのような影響が現れるかを理解し、適切な介護ケアを実践するための知識を身につけます。

発達と老化の理解Ⅱ

人間の発達の定義や、発達段階における課題(老化による心理的変化、経済的不安、社会的立場の変化)などを学びます。高齢者に多い症状や疾患と、疾患を抱えた人の支援における留意点についての理解を深めます。

認知症の理解Ⅰ

認知症の利用者に対するケアについて学びます。認知症の症状による日常生活の支障、行動の変化、症状などについての理解を深めます。

認知症の理解Ⅱ

医学的な観点から、認知症についての理解(原因、症状、病気の進行、検査、治療薬など)を深めます。認知症の利用者と、その家族に対するアセスメントの方法を身につけ、症状や家族状況などに合わせた支援ができるようにします。

合わせて、利用者の住む地域における、認知症利用者へのサポート体制を理解します。

障害の理解Ⅰ

障害者福祉の理念を学びます。身体・知的・精神・発達障害・難病などによる生活上の障害や、心理・行動などについて、その障害特性を踏まえて理解を深めます。障害者、障害児や、その家族への関わり方、支援の仕方なども合わせて学習します。

障害の理解Ⅱ

身体・知的・精神・発達障害・難病などの障害について、医学的な視点から、その原因や症状、特性などを学びます。障害者や障害児の家族状況、住環境などを考慮した、最適な支援の実施ができることを目指します。

合わせて、利用者の住む地域における障害者、障害児へのサポート体制を理解します。

こころとからだのしくみⅠ

移動・移乗、食事、入浴・清潔保持、排泄、着脱、整容、口腔清潔など、介護に関連した心身機能の仕組みや構造などを学びます。カリキュラムを通して心身機能の仕組みを理解したうえで、利用者1人ひとりに合わせた介護ケアを実践できるようにします。

こころとからだのしくみⅡ

人間の心理や、人体の構造について、より深い知識を身につけます。身体の仕組みや心理などを理解したうえで、利用者個々の心身の特性を観察し、適切な介護ケアを実践できるようになります。

また、適切なアセスメントを行い、他職種との連携ができることを目指します。

医療的ケア(1科目のみ)

医療的ケアは原則、医師や看護師などの医療従事者のみが対応できる業務です。しかし、喀痰吸引や経管栄養といった特定の医療的ケアであれば、条件を満たすことで介護職員でも実施ができます。

その条件としては、実務者研修で「医療的ケア」の科目を学んだうえで、都道府県が実施する「喀痰吸引等研修」の実地研修を修了することが求められます。そのため、実務者研修を修了しただけでは、医療的ケアはできないことに注意が必要です。

実務者研修では、医療的ケアの基本知識、実技の演習、緊急時の対応などについて学習します。

4.実務者研修を受講することのメリット

参考写真

実務者研修を受講することのメリットを解説します。

介護福祉士の国家資格の取得を目指せる

実務者研修の修了は、介護福祉士国家試験の受験資格のうち「実務経験ルート」の条件の1つです。研修修了と合わせて、実務経験3年以上の条件を満たすことで、国家試験を受験できます

実務者研修は、介護職未経験者でも受講可能であり、これから介護福祉士を目指そうと考えている人にとって1つの選択肢となるでしょう。

介護の専門知識が身につく

合計450時間の研修を修了することで、介護の専門知識や技術などを身につけられます。どの科目の学習も、実際の介護現場で活かせる内容であり、自身の仕事のパフォーマンスを高めることにもつながります。

介護福祉士の国家試験の出題範囲と被っていることもあり、研修を受講することが、そのまま国家試験の受験勉強にもなります。

医療的ケアを学べる

実務者研修では、医療的ケアの基礎知識について学習できます。実務者研修とあわせて、実地研修を修了することで、実際の介護現場でも特定の医療的ケアが実施可能となるため、医療的ケアの必要な利用者が多い職場では重宝されます。

キャリアアップや収入アップを目指せる

介護未経験者の場合、実務者研修を修了することで、介護職員として実施できる業務の範囲を広がります。それにより活躍できる職場の選択肢やキャリアの幅も広がるでしょう。

また、収入アップが目指せる可能性もあります。厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、「介護職員の平均給与額(月給・常勤)の状況」は下記の通りです。

保有資格 令和6年9月 令和5年9月
介護福祉士 350,050円 337,160円
実務者研修 327,260円 313,490円
介護職員初任者研修 324,830円 311,290円
保有資格なし 290,620円 271,080円

(参考:厚生労働省|介護職員の平均給与額の状況(月給・常勤の者、保有資格別)

介護職員全体の平均給与は前年度よりアップしている他、実務者研修の修了者は、無資格者よりも平均給与が36,640円高く、単純計算すると年収が約43万円も増加するといえます。

介護福祉士の資格を保有していれば、それ以上の給与アップを見込めるため、介護未経験者→実務者研修→介護福祉士と、ステップアップしていくルートを選択するのも良いでしょう。

まとめ

参考写真

実務者研修では、介護の基礎知識や技術に加えて、権利擁護、病気や障害の特性、症状、医療的ケア、地域のサポート体制、コミュニケーション技術に関することなど、介護職として欠かせないさまざまな科目を学びます。

どの科目内容も、実際の介護現場で求められるものであり、介護福祉士の受験を目指す人以外にも、介護職としてのキャリアを広げるために有効な研修といえます。

実務者研修には受験資格はなく、未経験者でも受講が可能です。これから介護業界でキャリアを築いていきたい人にとって、最初に受講する研修としておすすめです。

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中西紗羅(Sara Nakanishi)

介護福祉士

2014年介護福祉士養成校を卒業し、介護福祉士の資格を取得する。その後、従来型の介護老人福祉施設にて4年勤務する。「より個人に寄り添ったケアを実現したい」という想いから、ユニット型の介護老人福祉施設に転職する。ユニットリーダー研修を受講し、利用者様が「ありのまま自分らしく」過ごしていただけるよう、1人ひとりに寄り添ったケアを目指し6年勤務する。

中西紗羅の執筆・監修記事

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