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仕事・スキル 介護職のスキルアップ 2025/07/31

#認知症ケアの現場から

腰痛がある利用者さんが楽に座れる『骨盤サポート』の簡単な作り方|認知症ケアの現場から(31)

文・写真/安藤祐介 care_tuumb.jpg

車いすに座っている利用者さんのなかには、腰痛を訴える方がいます。腰痛の原因はさまざまですが、特に持病がない方の場合、原因の1つとして考えられるのが「車いすの座りにくさ」です。車いすが利用者さんの体に合わず、腰に負担がかかった結果、腰痛が出やすくなるのです。

車いすには、腰やお尻の後ろをサポートする機能が付いているものもありますが、そういった高機能の車いすは通常のものより高額だったり、利用者さんに合わせて調整する技術が必要だったりします。そのため、介護現場で導入するのが難しいこともあると思います。

そこで本記事では、100円ショップの商品で簡単に手作りできる「骨盤サポート」の作り方を紹介します。車いすや椅子に取り付けるだけで、長く座っていても腰痛の訴えが聞かれなくなったり、楽に座れて表情が明るくなったりする利用者さんもいるので、ぜひ参考にしてください。

1.腰痛の原因と骨盤サポートの効果

利用者さんによっては腰や背中が曲がり、猫背や円背と言われる状態になっていることがあります。みなさんのまわりにも、腰を曲げながらシルバーカーを押して歩いている方や、寝たり立ったりするときに体をまっすぐ伸ばせない方がいるのではないでしょうか。そういった利用者さんが車いすや椅子に座ると、かなりの割合で腰やお尻の後ろに"隙間"ができます。そして、その隙間こそが腰痛の原因となります。

腰痛の原因と骨盤サポートの効果

腰やお尻の後ろに隙間があると、隙間部分の支えがなくなるため、利用者さんは腰周辺の筋肉を硬く緊張させて、姿勢を保とうとします。すると、筋肉が動きにくくなって、腰が固まりがちになったり血流が悪くなったりします。その結果、腰痛が出やすくなるのです。

試しに、座っているときにお尻の後ろにタオルを入れたり、誰かに手で支えてもらったりしてみてください。

腰痛の原因と骨盤サポートの効果

腰痛の原因と骨盤サポートの効果

支えがあるときとないときでは、腰の楽さや体全体の動かしやすさ、腰周辺の筋肉の張り感などが違うのではないでしょうか。利用者さんが車いすや椅子に座るときも同じで、隙間を支えることで腰への負担が和らぎます(※)。

※本記事ではこの支えを「骨盤サポート」と呼びます。

骨盤サポートがあると背中全体の支えが増えるため、背もたれへの突っ張りが減る、背もたれに当たる部分の発赤・褥瘡が予防できるなどのメリットもあります。また、動きやすくなることで移乗介助量の軽減につながったり、楽に座ることで呼吸や摂食嚥下がしやすくなったりといった効果も期待できるでしょう。

2.骨盤サポートの作り方

工程1

100円ショップなどで売っている、縦40cm×横40cm程度のクッションを用意します。今回使用したのは、ダイソーで販売されている「冷感シートクッション(R7.4.5購入)」という商品です。厚いクッションで作ると、お尻が前に押し出されて座りにくくなることがあるので、できるだけ薄手のものを選んでください。後で利用者さんに合わせて厚くしたくなった場合でも、厚くする分には簡単に調整できます。

工程1

工程1

工程2

クッションを2つ折りにしたら、針と糸で3か所ほど縫い付けます。ここでのポイントは、少しずらした状態で2つ折りにすること。ピッタリ半分にしてしまうと、重なった部分に厚みが出て、座ったときに利用者さんが違和感を感じやすくなるためです。少しずらしておくことで、隙間によりフィットしやすい形になります。

工程2

工程2

工程3

クッションの左右2か所にひもを付けたら完成です。いろいろなタイプの車いすや椅子に固定できるように、ひもは長めにしておくのがよいでしょう。もともとの商品にひもが付いている場合は、そのまま使ってください。

工程3

オプション

利用者さんの状態によっては骨盤サポートを厚くしたり、少し硬めの素材にしたりして、体をしっかり支えたいこともあると思います。そんなときは、骨盤サポートのなかにタオルや細長く切ったクッション材などを入れましょう。タオル類をそのまま隙間に入れると型崩れしたり、位置がずれてしまったりしますが、骨盤サポートのなかに入れておけば安定して体を支え続けられます。

オプション

3.気を付けてほしい点

車いす各部の調整や、アームサポート・フットサポートの取り外しができるモジュール型車いすには、背中に張り調整機能が付いているものがあります。これと骨盤サポートは、似ているようですが別物です。

事実、背中の張り調整機能を使って腰やお尻の後ろを支えようとすると、車いすの左右のフレームが体に当たりやすくなったり背中の支えが不十分になったりして、座りにくくなることがあります。背中の張り調整はあくまで背中部分のサポートであり、腰やお尻の後ろを支える骨盤サポートは、別途用意する必要があるとお考えください。

モジュール型車いすに設置した例

モジュール型車いすに設置した例

また、座位の考え方の1つに、「腰椎の前弯(ぜんわん)を促すように腰の後ろにサポートを入れ、背骨がS字カーブを描くように座る」というものがあります。骨盤サポートも、設置する位置によっては腰椎の前弯を促す使い方ができますが、円背などで背骨が変形している利用者さんには難しい姿勢です。基本的には、骨盤サポート=骨盤の後方にできる隙間を支えるものとお考えください。

腰痛の前弯を促す使い方

腰痛の前弯を促す使い方

骨盤の後方を支える使い方

骨盤の後方を支える使い方

利用者さんが使用した例

利用者さんが使用した例

4.まとめ

今回は腰痛がある利用者さんが楽に座れる、骨盤サポートの安価で簡単な作り方をお伝えしました。骨盤サポートは、介護施設で暮らす利用者さんにおすすめしたいアイテムですが、実は健康な私たちにとっても便利なものです。

例えば、デスクワークで背筋を伸ばしながら座っている方も、疲れて椅子の背もたれに寄りかかることがあると思います。その際、椅子に骨盤サポートが設置されていれば、腰やお尻の後ろが支えられて、より楽に休むことができます。車の運転や新幹線の移動などで長時間座るときも、骨盤サポートで隙間の支えを作れば、より快適に過ごせるでしょう。

利用者さんのために使うのはもちろん、自身が腰痛に悩まされたときにも、ぜひ活用してみてください。

オフィスチェアに設置した例

オフィスチェアに設置した例

車の運転席に設置した例

車の運転席に設置した例

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安藤祐介(Yusuke Ando)

作業療法士

2007年健康科学大学を卒業。作業療法士免許を取得し、介護老人保健施設ケアセンターゆうゆうに入職。施設内では認知症専門フロアで暮らす利用者47名の生活リハビリを担当し、施設外では介護に関する講演・執筆・動画配信を行っている。

安藤祐介の執筆・監修記事

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