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仕事・スキル 介護職のスキルアップ 2025/09/09

#認知症ケアの現場から

頭が後ろに倒れやすい利用者が楽に座れる、「ヘッドサポート」の簡単な作り方|認知症ケアの現場から(32)

文・写真/安藤祐介 thumb_care32.jpg

本記事では、100円ショップの商品で簡単に手作りできるヘッドサポートの作り方を紹介します。リクライニング型に限らず普通型車いすにも取り付けることができ、小柄な方から大柄な方まで体格に合わせて幅広く調整できるので、ぜひ参考にしてください。

1.ヘッドサポートとは?

介護施設で暮らす利用者さんの中には、車いすに座っていると頭が後ろに倒れてしまう方がいます。その原因として挙げられるのは、座っていられる体力がない、頭頚部の筋力低下で頭の位置が保てない、長時間の離床による疲れ、覚醒が低く傾眠しているなどです。

そうしたときに役立つのが、頭の支えとなる車いす用のヘッドサポートです。ヘッドサポートがあると頭の位置を楽に保てるので、頭頚部への負担を軽くなったり、離床時間が伸びたり、呼吸や食事がしやすくなったりなどのメリットが得られます。

ヘッドサポートが付いている車いすはリクライニング型に多く見られますが、台数が限られていたり、体格に合わなかったりして、対応に困っている施設もあるのではないでしょうか。

2.頭を支えるときのポイント

頭を支えるときのポイント

頭が後ろに倒れやすい利用者さんにヘッドサポートを使うときは、頭の支え方にポイントがあります。それは、「後頭部を斜め下から支える」ことです。そうすることで頭がヘッドサポートにもたれやすくなり、顔・首・肩・背中などにかかる負担を軽くできます。

例えば、頭が後ろに倒れている利用者さんの食事介助をイメージしてみてください。そのままの姿勢では食事しにくく、誤嚥のリスクも高まるので、職員は手や枕などを使って利用者さんの頭をサポートする必要があります。このとき、(A)後頭部を真後ろから支えるのと、(B)後頭部を斜め下から支えるのでは、どちらが食べやすくなるでしょうか。正解は利用者さんの身体状況によって変わりますが、多くの場合は(B)後頭部を斜め下から支えるほうが食べやすくなります。

後頭部を真後ろから支える様子

(A)後頭部を真後ろから支えたときは、頭の支えとなる職員の手や枕がいわば垂直な壁のような状態になります。この支え方では、利用者さんはうまく頭をもたれかからせることができません。頭が安定しない分、顔や首まわりの筋肉が緊張しやすくなり、食事が食べにくくなることがあります。

後頭部を斜め下から支える様子

(B)後頭部を斜め下から支えたときは、利用者さんは頭を自然にもたれかからせることができます。職員の手や枕に頭の重さを引き受けてもらうような状態になって、顔や首まわりの緊張が和らぐため、食事しやすくなることがあります。

人の頭の重さは約4~6kg(ボーリングの球と同程度)と言われており、この重さを自分の力で支えるか、人や物にサポートしてもらうかで頭頚部にかかる負担が大きく変わります。介護現場での実感として、座るのが楽になった結果、高めだった血圧が安定したり、食事の摂取量が増えたりする利用者さんもいました。

これは、頭が後ろに倒れて固まっている利用者さんに顕著です。頭を真後ろから支えて無理に正しい位置に戻された場合、顔周辺の緊張が高まって頭や首が動かしにくくなるため、かえって食事しにくくなることがあります。

一方、頭を斜め下から支えたときは、頭がそのままの形で受け止められるため過緊張を招かず、頭や首の動きが保たれて食事しやすくなることがあります。ヘッドサポートは、このイメージで利用者さんの後頭部を斜め下から支えながら、「職員の手=ヘッドサポート」となるように位置や大きさ、硬さを調整しましょう。

※詳しくは、こちらの記事内の「正しい座位を押し付けない」を参考にしてください。

3.ヘッドサポートの作り方

工程1:クッションの準備

100円ショップなどに売っている、縦40cm×横40cm程度のクッションを用意します。今回購入したのはダイソーで販売されている「座布団チェック柄(R7.5.11購入)」という商品です。クッションの横幅が短いと、ヘッドサポートを設置する車いすの手押しハンドル・グリップの部分に乗らず固定しにくいため、一般的な車いすの座幅40cmを超える大きさものを選んでください。

100円ショップのクッション

工程2:ベルトの取り付け

クッションの左右にベルトを付けます。今回購入したベルトはダイソーで販売されている「べんりベルト1.5倍伸縮(R7.5.11購入)」という商品です。マジックテープになっているものを半分に切り、オスの面とメスの面の向きに注意しながら縫い付けます。クッションの大きさにもよりますが、しっかりと固定されるように左右4つずつ付けると良いでしょう。

ベルトを縫い付ける様子

ベルトが取り付けられたクッション

工程3:クッションの縫い付け

クッションを2つ折りにして縫い付けます。このとき、ベルトが縫い付けてある面を内側にすると出来上がった際の見栄えが良くなります。

クッションを2つ折りにして縫う様子

工程4:芯材の挿入と固定

2つ折りにしたクッションの中に芯となる段ボールなどを入れ、車いすの手押しハンドル・グリップの左右に、橋をかけるようにベルトで固定したら完成です。

段ボールを挿入する様子

車いすに取り付けられたヘッドサポート

オプション:高さ・厚みの調整

利用者さんの状態によっては、ヘッドサポートを高くしたかったり厚みを出したかったりすることがあります。そのときは、作製したヘッドサポートを土台に利用し、その上に必要なだけのクッションを設置すると調整しやすくなります。

高さを調整したヘッドサポート

厚みを調整したヘッドサポート

その他の活用法

リクライニング型車いすには、既存のヘッドサポートが付いていることがほとんどです。しかし、形が一定であるため、利用者さんによっては頭に合わないことがあります。そんなときは、作製したヘッドサポートをリクライニング型車いすの背もたれ部分に設置し、高さや中身の厚さを調整しながら、利用者さん1人ひとりに合った車いすにしましょう。

リクライニング車いすでの活用例

4.気を付けてほしい点

ヘッドサポートを設置するときに気を付けてほしいのが、「利用者さんの頭の動きをじゃましていないか」ということです。例えば、水を飲むときに頭が自由に動かせる状態と、頭が動かせないように固定された状態では、どちらが飲みやすいでしょう。当然、頭を自由に動かせるほうが飲みやすいと思います。

食事や会話はもちろん呼吸するときですら、私たちは頭を小さく(あるいは細かく)動かすことでより楽に活動できます。ですから、ヘッドサポートを設置するときも、利用者さんの頭の動きをできるだけじゃましない高さ、厚さに調整することが大切です。

食事するときは、頭が少し下を向いた頚部前屈位と言われる姿勢が好ましいとされていますが、職員の手やヘッドサポートで無理に頸部前屈位にさせられると、顔全体や首周辺の緊張が高まります。また、その影響で頭が動かしにくくなり、逆に食べにくくなってしまうケースもあります。

無理な頚部前屈位で食べにくい状態

無理な頸部前屈位で食べにくい状態

頭が斜め下から支えられ食べやすい状態

頭が斜め下から支えられ食べやすい状態

頭や首は体の中でも繊細な場所です。ヘッドサポートを設置するときは、利用者さんの頭や首に直接触れたり、食事の摂取状況を見たりしながら、「首周辺の緊張を高めていないか?」「頭が動かしにくくなっていないか?」などをきちんと確認しましょう。そうやって、利用者さんが「これがあってよかった」と思えるようなサポートにしていただければ幸いです。

※詳しくは、こちらの記事内の「利用者さんの車いすに職員が座る」を参考にしてください。

まとめ

今回は、頭が後ろに倒れやすい利用者さんが楽に座れる、「ヘッドサポート」の簡単な作り方をお伝えしました。ヘッドサポートは利用者さんの座りを楽にするのに役立ちますが、頭が後ろに倒れて姿勢が崩れるというのは、利用者さんからの「体が大変」「ベッドで横になりたい」というサインでもあります。

ヘッドサポートがあると姿勢が安定する反面、そうした利用者さんからのサインに気づきにくくなるというデメリットもあるので、離床臥床時間の見直しや定期的なバイタルチェックなども、意識していただければと思います。

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安藤祐介(Yusuke Ando)

作業療法士

2007年健康科学大学を卒業。作業療法士免許を取得し、介護老人保健施設ケアセンターゆうゆうに入職。施設内では認知症専門フロアで暮らす利用者47名の生活リハビリを担当し、施設外では介護に関する講演・執筆・動画配信を行っている。

安藤祐介の執筆・監修記事

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