背中に褥瘡がある利用者さんのための100均グッズを使ったシーティング|認知症ケアの現場から(34)
文・写真/安藤祐介利用者さんのなかには、背中に褥瘡がある方がいます。特に円背があり背中が曲がっている方は背骨が出っ張りやすいため、その部位が赤くなっていたり(発赤と言われます)、皮がむけたりしているのを見たことがある職員も多いかもしれません。
介護現場において、背中に褥瘡ができる原因として多いのは、車いすや椅子に長時間座っていることによる背骨への圧迫です。対策として背骨への圧が減るように、背もたれにクッションを設置している事業所もあると思いますが、通常のクッションでは圧が取り切れず、対応に苦慮することもあるかもしれません。
そこで本記事では、円背により背骨が出っ張っている方にも対応できる、100円ショップの商品を活用したシーティングをご紹介します。車いすにも椅子にも設置できるので、背中に褥瘡がある利用者さんがいた際は、ぜひ参考にしてください。
1.背中の褥瘡への基本的な対応
体がやせ気味で円背がある利用者さんは、背骨が出っ張っていることが多いです。それに対して、車いすや椅子の背もたれは平面になっているものが多く、寄りかかると背骨が背もたれに接触します。
その状態が長く続きご本人の動きも少ないと、圧迫による血流不良が起こって褥瘡の原因となることがあります。
改善するための基本的な対応は、利用者さんの背中に合わせて車いすの背もたれを調整することです。車いすのなかには、背張り調整機能が付いた「モジュール型車いす」と呼ばれるものがあり、背もたれの張り具合を利用者さんの背中に合わせて調整することで、圧を減らせます。
また、背張り調整機能がない普通型車いすでも、持ち手ハンドル・グリップ同士を丈夫なロープで結びたわみを作ることで、簡易的な背張り調整を行うことが可能です。
どちらも円背が軽度であれば有効な方法ですが、重度の方だと調整しても背骨・患部への圧が取り切れず、褥瘡の治療が進みにくいことがあります。
※詳しくは、こちらの記事内の「 1.工夫①:寄りかかりやすい背もたれを作る」を参考にしてください。
2.背中の褥瘡へのより効果的な対応
座ったときに背骨の一部に強い圧がかかっている場合は、それ以外の場所により多くの支えを作る必要があります。例えば、写真のように職員の手で背骨の左右や骨盤の後ろを支えれば、背骨の一部が圧迫されることはありません。
体の適切な支えは、全身のリラックス(=緊張の緩和)につながります。これにより、ご自身で体を動かしやすくなり、背中を除圧する動きが取りやすくなるという効果も期待できます。
タオルなどでポジショニングを行うのも良い方法ですが、座るたびに位置の調整が必要だったり、座っているうちにタオルがずれてしまったりすることがあります。
そこで、ここからは100円ショップの商品を活用して、背骨の左右と骨盤の後ろを一体的に支えられるサポートの作り方をご紹介します。
3.円背用サポートの作り方
工程1
薄手の四角いクッションと厚手の四角いクッションを用意します。今回はダイソーで購入した「接触冷感シートクッション 40cm×40cm」と「座布団(紐付) 40cm×40cm」を使用します。
工程2
厚手の四角いクッションを2つに切り、切った部分を縫い合わせます。クッションからはみ出た中身の綿は、縫いやすいように少し取り除いても構いませんが、後で厚さの調整のために使うことがあるかもしれないので取っておきましょう。
工程3
切ったクッションを、薄手の四角いクッションに縫い付けます。このときは、背中の左右と骨盤の後ろを一体的に支えられるように、逆ハの字に配置するのがおすすめです。肩まわりを空けておくことで、手の動きも妨げにくくなります。
縫い付ける際は、一度仮止めをした状態で利用者さんに使ってもらい、微調整しながら最終的な位置を決めると良いでしょう。
4.サポートの効果を確認する方法
完成した円背用のサポートを車いすや椅子に取り付けたら、以下の①②の方法で実際に効果が出ているかどうかを確認してください。変化に乏しい場合は、厚手のクッションの位置や厚さを調整する、骨盤の後ろの支えを個別に用意する、背張り調整ができるモジュール型車いすに変更するといった方法を試してみてください。
①背骨への圧が減っているか?
サポートがあることで、背骨にかかっている圧が減ったかどうかを確認しましょう。その際は、職員が利用者さんの背中と背もたれの間に手を入れて、サポートがある状態とない状態の圧を触覚で確認するとわかりやすいです。
②利用者さんが動きやすくなっているか?
サポートがあることで、利用者さんが動きやすくなったかどうかを確認しましょう。その際は、職員が利用者さんの体に触れて軽く左右に動かしたり、背中を除圧するような前屈みの動きを促したりして、サポートがある状態とない状態とを比較するとわかりやすいです。
5.最後に
今回は、「背中に褥瘡がある利用者さんのための100均グッズを使ったシーティング」をお伝えしました。褥瘡の改善には体位の調整、動きの支援、栄養状態の確認、医療的処置、心身へのリハビリテーションなど、多方面からのアプローチが必要です。
利用者さんの身体状況や取り巻く環境は複雑であり、褥瘡が発生した原因がはっきりわからないこともあるかもしれません。しかし、複数のアプローチを同時に行うことで、改善が早まる可能性もあります。今回ご紹介したような患部への圧を減らす工夫を、利用者さんの褥瘡対策に役立てていただければ幸いです。
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