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仕事・スキル 介護職のスキルアップ 2025/12/08

#認知症ケアの現場から

認知症利用者さんが楽しめるレクリエーション「ぐらぐらスポンジ積み」|認知症ケアの現場から(36)

文・写真/安藤祐介 thumb_care36.JPG

認知症利用者さんへのレクリエーション(以下、レク)に、悩むことはありませんか? 認知症があるとルールの理解が苦手だったり、他の利用者さんとの突発的なトラブルが起きやすかったり、職員の見守りが欠かせなかったりして、みんなが楽しめるレクを実施するのは簡単ではありません。

しかし、レクは認知症がある利用者さんの心身を賦活するものであり、認知症ケアにおける重要なアプローチの1つでもあります。だからこそ、「楽しかった!」「参加して良かった!」と感じてほしいですよね。

本記事では、介護老人保健施設の認知症フロアで働く筆者が、現場で実施しやすく、認知症利用者さんの反応も良いレクを厳選してご紹介します。

1.レクのポイント

ルールを簡単にする

認知症がある利用者さんは、ルールを理解することが苦手です。そのため、紅組と白組に分かれる、手だけを使って行う、落ちたボールを拾ってはいけないなど、ルールが複雑なほど守れる方と守れない方の差が出てしまいます。認知機能に応じてグループ分けができる場合は問題ありませんが、不特定多数の利用者さんが参加する場合は、誰にでもわかりやすい簡単なルールにすることが大切です。

競技形式は控える

認知症の有無に限った話ではありませんが、利用者さんの中には負けず嫌いの方や感情の起伏が激しい方がおり、レクに夢中になるあまり、他者と口論になったり手が出たりといったトラブルに発展してしまうことがあります。特に、勝ち負けを競ったり、点数で順位をつけたりする場合に起こりやすいため、トラブルが懸念される場合は競技形式を控え、参加者全員で協力して行えるようなものや、個別に楽しめるものを選ぶと良いでしょう。

ただし、競技形式にすることで「勝ちたい! 負けたくない!」という真剣さが芽生えたり、チームの連帯感が生まれたりするメリットもあるため、取り入れる場合は参加者同士の関係性や席次などに配慮しながら行ってください。

職員が少なくても安全に行える内容にする

介護現場は人手不足なことが多く、レクに多くの人員を割けないことがあります。そのため、職員が複数名いないと安全に実施できなかったり、円滑に進行できなかったりする内容は避けたほうが無難です。例えば、ボーリングゲームのように、毎回倒れたピンを並べ直す必要があるものは、職員の仕事量が多くなり1名では実施が難しいこともあります。

理想的には、利用者さんたちが自主的に楽しめて、その状況を見守る職員が1名いれば安全に実施できるような内容を目指すのが良いでしょう。

2.「ぐらぐらスポンジ積み」について

期待できる効果

・全身を動かすことで、体力の維持・向上につながる
・心身に活力を与えることで、認知症の症状緩和につながる
・楽しい時間を過ごすことで、気分転換ができる
・活動と休息のメリハリがついて、生活リズムが整う
・他の利用者さんと交流することで、孤独感が軽減される
・職員との関係性が良好になり、日々の介護が円滑になる

必要な備品

●スポンジ:プールスティック 110cm/セリア
※プールスティックの材質は「発泡ポリエチレンフォーム」ですが、ここでは多くの方にわかりやすいように「スポンジ」としています。

参考写真

●ワイヤーネット:ホワイト 62cm×40cm/ダイソー

参考写真

●結束バンド:20cm/ダイソー

参考写真

●荷造りひも:150m/ダイソー

参考写真

レク用品の作り方

①スポンジをカッターで輪切りにします。薄すぎると利用者さんが持ちにくくなるので、幅2cm以上が推奨サイズです。幅4cmや6cmのものなどいろいろな大きさを混ぜると、変化が出て面白さが増します。

なお、スポンジが薄いと噛みちぎりやすくなって、異食の事故につながることもあるため注意しましょう。

参考写真

②参加する利用者さんの人数に応じて、ワイヤーネットを結束バンドで固定して大きくします。10名程度参加する場合は、3枚を組み合わせた大きさがあると良いでしょう。

参考写真

③ワイヤーネットの中心にひもをつけ、天井や丈夫な棒などから下に垂らせば完成です。私の職場では、ホワイトボードとイレクターパイプを組み合わせて取り付けています。

参考写真

参考写真

レクの流れ・やり方

①10名程度の利用者さんに、テーブルに集まってもらいます。

●身体機能の適応:椅子や車いすに座れる方。スポンジを持てる方
●認知機能の適応:認知症が軽度~中程度の方

ただし、上記はあくまで目安です。例えば、重度の認知症がある方にも参加していただくと、周囲の様子を目で追ったり、場の雰囲気を楽しんだりする姿が見られる場合があるので、実施する中で適応性を探ってみてください。

参考写真

②本番前の準備として、スポンジを積む練習を行います。まずは一人で目の前のスポンジを積んでもらいましょう。高く積んだり、同じ色を積んだり、時間制限を設けたりと、利用者さんのレベルを見ながら難易度に変化をつけてみてください。

参考写真

③ワイヤーネットの上にスポンジを乗せます。揺れ動くワイヤーネットのバランスを崩さないように、すべてのスポンジを乗せていきましょう。順番や位置などにこだわらず、自由に行ってもらって構いません。レクを行う中で自然に、ワイヤーネットを支える役目の方、スポンジを渡す係の方、乗ったスポンジの位置を微調整する方、落ちたスポンジを拾う方などが現れることもあります。

ワイヤーネットの安定感はひもの結び方で変わるため、揺れすぎる場合はひもの固定部分を増やす、安定しすぎている場合は結ぶ箇所を減らすなど、調整してみてください。

参考写真

④スポンジをすべて乗せたら終了です。無事にスポンジを乗せ終えたら、拍手をしたり締めの一曲を歌ったりして場を締めくくりましょう。

最後に片付けとして、洗濯ネットや箱などにスポンジを入れてもらうようお願いしてみてください。私の経験上、片付けの工程に好ましい反応を示す利用者さんは多く、積極的に手伝ってくれます。

参考写真

レクをより円滑に行う工夫

スポンジは丸い形状と軽さから、レク中にテーブルの上から床へと転げ落ちることがあります。最後にまとめて拾っても良いのですが、中には床に落ちたスポンジが気になって拾おうとする利用者さんもいるので、テーブルに落下防止の囲いをするとレクがより円滑に進みます。囲いは、ダンボールを使用すると製作しやすいです。

参考写真

まとめ

今回は、認知症の利用者さんが楽しめるレクリエーションとして、「ぐらぐらスポンジ積み」をご紹介しました。こちらは認知症が軽度から中度程度の方まで適応があり、身体機能としては座位が保ててスポンジが持てれば参加可能です。ぐらぐら揺れるワイヤーネットの予想外の動きは利用者さんの驚きや楽しさにつながり、協力してすべてのスポンジを乗せ終えたときには、大きな達成感や連帯感が得られるでしょう。

色とりどりのスポンジを使うことで、興味・関心を持ってくれる認知症の利用者さんもいるため、レクに悩んだときの参考にしていただければ幸いです。

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安藤祐介(Yusuke Ando)

作業療法士

2007年健康科学大学を卒業。作業療法士免許を取得し、介護老人保健施設ケアセンターゆうゆうに入職。施設内では認知症専門フロアで暮らす利用者47名の生活リハビリを担当し、施設外では介護に関する講演・執筆・動画配信を行っている。

安藤祐介の執筆・監修記事

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