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仕事・スキル 介護職のスキルアップ 2025/12/16

#認知症ケアの現場から

認知症利用者さんが楽しめるレクリエーション「ボールでクモの巣落とし」|認知症ケアの現場から(37)

文・写真/安藤祐介 thumb_care37.JPG

認知症利用者さんへのレクリエーション(以下、レク)に悩むことはありませんか?
認知症があるとルールの理解が苦手だったり、他利用者さんとの突発的なトラブルが起きやすかったり、職員の見守りが欠かせなかったりして、みんなが楽しめるレクを実施するのは簡単ではありません。

しかし、レクは認知症がある利用者さんの心身を賦活するものであり、認知症ケアにおける重要なアプローチの1つでもあります。だからこそ、「楽しかった!」「参加して良かった!」と感じられる時間を提供したいですよね。

本記事では、介護老人保健施設の認知症フロアで働く筆者が、現場で実施しやすく、認知症利用者さんの反応も良いレクを厳選してご紹介します。

1.レクのポイント

ルールを簡単にする

認知症がある利用者さんは、ルールを理解することが苦手です。例えば、紅組と白組に分かれる、手だけを使って行う、落ちたボールを拾ってはいけないなど、ルールが複雑なほど守れる方と守れない方の差が出てしまいます。認知機能に応じてグループ分けができる場合は問題ありませんが、不特定多数の利用者さんが参加する場合は、誰にでもわかりやすい簡単なルールにすることが大切です。

競技形式は控える

認知症の有無に限った話ではありませんが、利用者さんの中には負けず嫌いの方や感情の起伏が激しい方がおり、レクに夢中になるあまり、他者と口論になったり手が出たりといったトラブルに発展してしまうことがあります。特に、勝ち負けを競ったり、点数で順位をつけたりする場合に起こりやすいため、トラブルが懸念される場合は競技形式を控え、参加者全員で協力して行えるようなものや、個別に楽しめるものを選ぶと良いでしょう。

ただし、競技形式にすることで「勝ちたい!負けたくない!」という真剣さが芽生えたり、チームの連帯感が生まれたりするメリットもあるため、取り入れる場合は参加者同士の関係性や席次などに配慮しながら行ってください。

職員が少なくても安全に行える内容にする

介護現場は人手不足なことが多く、レクに多くの人員を割けないことがあります。そのため、職員が複数名いないと安全に実施できなかったり、円滑に進行できなかったりする内容は避けたほうが無難です。例えば、ボーリングゲームのように、毎回倒れたピンを並べ直す必要があるものは、職員の仕事量が多くなり1名では実施が難しいこともあります。

理想的には、利用者さんたちが自主的にレクを楽しめて、その状況を見守る職員が1名いれば安全に実施できるような内容を目指すのが良いでしょう。

2.「ボールでクモの巣落とし」について

期待できる効果

・全身を動かすことで、体力の維持・向上につながる
・心身に活力を与えることで、認知症の症状緩和につながる
・楽しい時間を過ごすことで、気分転換ができる
・活動と休息のメリハリがついて、生活リズムが整う
・他の利用者さんと交流することで、孤独感が軽減される
・職員との関係性が良好になり、日々の介護が円滑になる


必要な備品

●カラフルボール/ダイソー

参考写真

●手貼りラミネートフィルム A4/ダイソー

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●カラーボード 450mm×840mm/ダイソー

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●プールスティック/セリア

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レク用品の準備

①ボールを当てる的を作ります。的のサイズをどのくらいの大きさにするかによって、ボール当ての難易度が変わります。簡単にしたい場合は的を大きく、難しくしたい場合は小さくしましょう。

的をかわいらしい動物や草花のイラストにすると、ボールを当てるのを遠慮する利用者さんもいるので、クモの巣やハエなど思い切りボールを当てられるようなイラストにするのがおすすめです。イラストを描くのが苦手な場合は、インターネット上のフリー素材を利用してください。

参考写真

②用意したイラストを手貼りのラミネートフィルム、もしくは専用のラミネーターでラミネート加工します。的の周囲をハサミで切り、ラミネートフィルムの一部を長細くしておいてください。

参考写真

③プールスティックに切れ込みを入れ、的の細長い部分を差し込めば的の完成です。

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④ボールを当てやすいように、ホワイトボードなどにプールスティックを固定します。その際、カラーボードで囲いを作り、ボールが利用者さんの手元に戻るようにすると、レクがより円滑に進みます。

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レクの流れ・やり方

①10名程度の利用者さんにテーブルに集まってもらいます。

●身体機能の適応:椅子や車いすに座れる方。ボールを持てる方
●認知機能の適応:認知症が軽度~中程度の方


ただし、上記はあくまで目安です。重度の認知症がある方にも参加していただくと、周囲の様子を目で追ったり、場の雰囲気を楽しまれたりする姿が見られる場合があるので、実施する中で適応性を探ってみてください。

席が的から遠いほどボールが当たりにくく、難易度が高くなるので、比較的身体機能が高い利用者さんは遠い席に、低い利用者さんは近い席に座ってもらうと良いでしょう。

参考写真

②本番前の準備体操を行います。主にボールを投げるレクなので肩・肘・手首などを動かしてもらいながら、レクの雰囲気作りをしてください。お手玉の要領で遊んでもらったり、隣の利用者さんにボールを回してもらったり、カラフルなボールの中から好みの色を聞いたりするのが良いでしょう。

③ボールを的に当てて、すべて落としてもらいます。ボールは、座って投げても立って投げても構いません。制限時間やボールの個数制限などは設けず、「すべて落ちるまで」という簡単なルールにしたほうが取り組みやすいでしょう。

的が落ちる難易度は、的の長細い部分がプールスティックにどの程度入っているかで変わります。何度ボールが当たっても的が落ちない場合は、細長い部分を手前に引き出して調整してみてください。

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④的をすべて落としたら終了です。無事にすべての的が落ちたら、拍手をしたり締めの一曲を歌ったりして、最後に片付けをしましょう。利用者さんの余力がありそうなら、洗濯ネットや箱などをゴールに見立ててボールを投げ入れてもらうと、楽しく片付けができます。

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レクがより円滑に進む工夫

カラーボードがあることで、ほとんどのボールは自動的に利用者さんの手元に戻ります。しかし、それでも床に落ちてしまうことがあるので、テーブルに落下防止の囲いをするとレクがより円滑に進むでしょう。囲いはダンボールを使用すると、作成しやすいです。

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的のイラストを変える工夫

今回のレクでは、クモの巣のイラストを的にしましたが、的を数字にして落とした点数を数えたり、狙う数字を定めたり、高得点の数字を落とすと景品が出る仕組みにしたりするのも良いでしょう。さまざまな応用ができるので、参加する利用者さんに応じて工夫してみてください。

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3.ボールを使ったレクの応用

ボールを使ったレクは数多くありますが、私の経験上、短時間で簡単にできて認知症利用者さんの反応も良いのが、ボールで作るピラミッドです。

ダンボールで土台を作り、その中にボールを積み上げてもらうと、きれいなピラミッドができます。完成までの速さを測ったり、同じ色のボールで作ってもらったり、職員が作ったピラミッドをお手本に同じように作ってもらったりと、いろいろな応用ができるので、よろしければチャレンジしてみてください。

参考写真

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まとめ

今回は認知症利用者さんが楽しめるレクリエーションとして、「ボールでクモの巣落とし」をご紹介しました。こちらは認知症が軽度から中度程度の方まで適応があり、身体機能としては座位が保ててボールが持てれば参加可能です。

色とりどりのボールは利用者さんの関心を引きやすく、的に向かって何度もボールを投げる動きは、思った以上の運動量になります。協力して的を落としたときの達成感は利用者さん同士の結びつきを強め、その後の生活にも好影響となるため、認知症利用者さんのレクに悩んだときは、ぜひ参考にしてください。

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安藤祐介(Yusuke Ando)

作業療法士

2007年健康科学大学を卒業。作業療法士免許を取得し、介護老人保健施設ケアセンターゆうゆうに入職。施設内では認知症専門フロアで暮らす利用者47名の生活リハビリを担当し、施設外では介護に関する講演・執筆・動画配信を行っている。

安藤祐介の執筆・監修記事

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