特別養護老人ホーム恵徳苑/施設長×管理栄養士対談

特別養護老人ホーム恵徳苑/施設長×管理栄養士対談

「美味しい」はチームワーク 職員一体となって美味しさを届けています

プロフィール

(写真左から)村田 博和さん、並木 江利子さん

並木さん:特別養護老人ホーム恵徳苑 管理栄養士。2006年入職。恵徳苑利用者を中心に給食業務全般を統括するとともに、チームケアや職員研修においてもリーダー的役割を担っている。
村田さん:特別養護老人ホーム恵徳苑 施設長。並木さんと協力して恵徳苑の恵まれた食事環境づくりにも奔走。家では息子と一緒にフィットネスゲームで身体を鍛えるのが楽しみ。

「人生の最期にもう一度食べたい」という思いをきっかけに、介護観が変わった

食にまつわる、忘れられないエピソード

【村田】 恵徳苑の際立った特色といえば、毎日の食事です。今では珍しいと思いますが給食業者に委託せず、自苑での手づくり調理にこだわっています。今後もずっと温かく美味しい食事を提供していきますが、私たちがそんな風に食事の大切さを意識するようになったのは、ある出来事がきっかけでした。

【並木】 点滴栄養で約1ヶ月間にわたり口から食事を摂れなかった終末期の利用者さんのエピソードですね。あるとき、「最期にもう一度ご飯が食べたい」と切実な思いを吐露されました。チームで検討し、ご家族とも話し合って「母の願いを叶えてほしい」とのご家族の気持ちを尊重し、実行することにしました。

【村田】 その日の昼食でしたね。(管理栄養士の)並木さんが食べやすい形状に変えたご飯を、皆が見守るなか、ご家族の介助でゆっくりと口に運ばれました。息子さんが買ってこられたお母様の好物も、並木さんがすぐに食べやすく整えてムース状にしてくれましたね。見守っていた医師が限界と判断してストップしたので飲み込むことはできなかったのですが、息子さんから「母のおいしそうな顔は一生忘れられません」と深く感謝されました。そこから私自身、介護の考え方が大きく変わりました。利用者さんが笑顔で喜ぶことが一番だと。

【並木】 
チームとして一人の方に寄り添う支援を行ったのは、この時が初めてだったような気がします。このことが、介護職員の食に対する大切さを意識するきっかけになったと私も思います。

管理栄養士としての並木さんの仕事は、毎日の食事の献立作成、食材の発注や調理指導、利用者さん全員の栄養管理など多岐にわたる。恵徳苑に入居する110名のほか、ショートステイ、デイサービス利用者や保育園の給食も担当するが、「私たちにとって作る料理は120食でも、利用者さんにとっては毎回ひとりの大切な食事。1食・1食心を込めて調理しています」と並木さん。

介護職とも連携して食事の時間を楽しく

気持ちを込めてつくるほど、料理は美味しくなる

【村田】 恵徳苑の食事はとても美味しいと評判で、入居の決め手にする利用者さん・ご家族も少なくありません。また職員も入職の理由に「食事の美味しい施設であることが魅力」という声も挙がっています。管理栄養士としてどんなことを心がけていますか。

【並木】 食で利用者さんを笑顔にすること、栄養価はもちろん彩りよく食欲をそそる献立作成も重要ですが、そのうえで調理職員には「とにかく心を込めてつくってください」とお願いしています。そのために(調理職員が)利用者さんの顔を見る機会も意識的に設けています。料理は一食一食、気持ちを込めてつくると味が変わります。顔を思い浮かべながら作る食事には、愛情というスパイスが入ります。とくに利用者さんは一番の楽しみが食事という方も多いだけでなく、いつ状態変化が起こるかわからず、これが人生最期の食事になる可能性もあります。そうしたことをつねに意識するように働きかけています。

【村田】 食事介助は介護職員が行いますが、介護職員とはどう連携していますか。

【並木】 食事はそれをいただく環境でも味わいが変わるので、調理担当と同じく丁寧に介助するよう伝えています。たとえば介護新任研修の際、「食を大切にすること=人を大切にすること」をテーマに「外食して良かったこと・悪かったことを書き出す」という課題を出し、接客が雑だったり周囲が散らかっていたりすると印象が悪い、美味しいものを美味しく感じないといった、実感をともなう気づきを得てもらうなど工夫しています。料理は栄養士、調理職員だけでなく介護職員を含めたチームワークによって、いくらでも美味しく感じることができるもの。利用者さんの笑顔のために、よりよいチームワークを発揮していきたいですね。

並木さんは村田さんが施設長になる前から一緒に働き、施設移転をはじめ、給食委託の一時移行から自苑調理の復活といった大きな出来事を乗り越えてきました。リーダー陣の間でも率直に意見が交わせる風通しのよい社風だ。

企業紹介

社会福祉法人恵徳会は、特別養護老人ホーム「恵徳苑」をはじめ、通所介護サービス・居宅介護サービス・在宅医療サービスや保育園経営といった幅広い福祉事業を展開しています。2017年に現在地に移転した特別養護老人ホーム恵徳苑は、移転を機に従来型からユニット型に転換。多職種がチームを組み、利用者一人ひとりの「幸せ」を専門職が協働して実現するチームケアが大きな特色です。またメニュー作成から栄養管理まで一貫して行う「自苑給食」も特色のひとつ。その充実ぶりは利用者・家族のみならず、職員の入職理由に上げられるほど魅力的です。福利厚生に関しては法定通りの制度に加え、会員制リゾート施設が利用できるなど整っています。育児中の方も当法人が運営する保育園に優先して入園していただき、安心して働けます。
設立1979年11月
本拠地神奈川県横須賀市日の出町1-9-1

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