初心者向け!介護職が少額からはじめられる投資(2)「NISA」とは?
文:斉藤 勇 ファイナンシャルプランナー/宅地建物取引士NISAのサイコロを並べた写真
「NISA」という名前、どこかで聞いたことはありませんか? 「NISA」とは、2014年の1月にスタートした税制優遇制度のこと。本記事では「NISA」の概要から、「ジュニアNISA」「つみたてNISA」など各制度の違い、メリット、デメリットまで解説します。
NISAとは?
「NISA」は愛称で、正式名称は「少額投資非課税制度」といいます。日本人は貯蓄が好きで、海外と比較すると投資や資産運用に取り組んでいる人は少ないといわれてきました。
そこで、「貯蓄から投資へ」の掛け声のもと、投資による資産形成を促すための制度「NISA(ニーサ・Nippon
Individual Savings Account)が誕生しました。
NISAをおすすめする理由は?
わたしたちが株式や投資信託などに投資をして、売却時に利益が出たり配当金を受け取ったりすると、約20%の税金が課税されます。
利益に税金が課せられるのは仕方がありませんが、いろいろと勉強をしてやっと手にした利益はなるべく減らしたくないものですよね。
ここがNISAをおすすめする理由です。
NISAの正式名称に「非課税制度」とあるように、NISAを利用して得た譲渡益や配当金・分配金などの利益は非課税になります。税金を払わなくていいため、自分の手取りが増えるということです。
これにより「少額でも、効率よく資産を増やすチャンスがあるお得な制度」として、多くの人がNISAを利用しています。
NISAには3つの種類がある
NISAには次の3つの種類があります。それぞれ特徴が違うため、資金量や投資方針に応じてふさわしいタイプを選びましょう。
一般NISA
2014年1月からスタートしたのがこの「一般NISA」です。当初は「NISA」と呼ばれていましたが、その後、「ジュニアNISA」や「つみたてNISA」がはじまったことから、「一般NISA」「通常NISA」などと呼ぶようになりました。(ここでは一般NISAとして紹介します)
一般NISAの特徴
- 利用できるのは日本在住の20歳以上の方
- 年間の非課税枠は新規投資額で120万円まで
- 非課税期間は最長5年間
- 投資の対象は上場している株式・ETF(上場投資信託)※・REIT(不動産投資信託)※や金融機関で購入できる投資信託
- 一般NISAで購入した株式や投資信託などはいつでも売却できる
- 非課税になるのは譲渡益や配当金・分配金など
- 一般NISAとつみたてNISAは同時に利用できない
- 使い切れなかった非課税枠は翌年に繰り越せない
- 非課税期間が終了する5年後には、金融商品を時価で課税口座に移すか、翌年の非課税枠に移す(ロールオーバーする)
一般NISAをおすすめしたい人
- ある程度まとまった投資資金を準備できる人
- 投資信託だけでなく、株式にも投資をしたい人
※ETF(上場投資信託)とは...日経平均株価などの値動きに連動するように運用されている金融商品で、たくさん種類があります。
取引所に上場しているので、株式と同じように売買することができます。例えば「日経平均225連動型上場投資信託」なら、代表的な株の銘柄225種類が全体的に値上がり・値下がりすると、連動して値上がり・値下がりします。
ETFはLINE証券などネット証券では500円くらいから買えるものがあります。
※REIT(不動産投資信託)とは...マンション・オフィス・ホテル・倉庫など不動産の投資信託のことで、株式と同じように取引所に上場しています。たくさんの不動産に分散して投資するのと同じ効果が得られます。
ジュニアNISA
お子さんの将来に向けた資産形成をサポートするため、2016年1月からスタートしたのが「ジュニアNISA」です。
ジュニアNISAの特徴
一般NISAと同じなのは?
- 非課税期間は最長5年間
- 投資の対象は上場されている株式・ETF・REITや金融機関で購入できる投資信託
- 非課税になるのは譲渡益や配当金・分配金など
- 使い切れなかった非課税枠は翌年に繰り越せない
- 非課税期間が終了する5年後には、金融商品を時価で課税口座に移すか、翌年の非課税枠に移す(ロールオーバーする)
■一般NISAとの違いは?
- 利用できるのは日本在住の0歳から19歳までの未成年者
- 年間の非課税枠は新規投資額で80万円まで
- 原則として、両親や祖父母などが代理して運用する
- 一般NISAのように自由に売却できるわけではなく、18歳までは払い出し制限※がある
ジュニアNISAをおすすめしたい人
- お子さんやお孫さんの将来のため、資産を残してあげたいと考えている人
ただし、「18歳までは払い出し制限がある」という制約を念頭においておきましょう。 - ※払い出し制限について
- 制限期間中に払い出しを行った場合、非課税で受領したすべての配当金や売買益等について課税される
- 災害等やむを得ない場合には、非課税での払い出しが可能になる
つみたてNISA
2018年1月からスタートした「つみたてNISA」は、一般NISAよりも少額で、長期間非課税で運用できる制度です。
つみたてNISAの特徴
一般NISAと同じ点は?
- 利用できるのは日本在住の20歳以上の方
- 非課税になるのは譲渡益や分配金
- 一般NISAとつみたてNISAは同時に利用できない
- 購入した投資信託・ETFはいつでも売却できる
- 使い切れなかった非課税枠は翌年に繰り越せない
一般NISAと異なる点は?
- 非課税期間は最長20年間
- 年間の非課税枠は新規投資額で40万円まで
- 投資の対象は長期の積み立て・分散投資に適した一定の投資信託やETF
- 口座を開設した金融機関によって購入できる投資信託・ETFの種類が違う
- 非課税期間の20年間が終了したら、翌年の非課税投資枠に移すことができない(ロールオーバーできない)
つみたてNISAをおすすめしたい人
- 少額で投資をはじめたい人
- 将来のための資金など、長期間にわたって効率よく運用したいと考えている人
NISAにおすすめの証券会社
NISAで投資を始めるには、専用の「NISA口座」の開設が必要。しかも、NISA口座は一度開設すると1年間変更することができないため、どの証券会社で「NISA口座」を始めるのかが重要なポイントになります。
売買手数料や取扱商品に注目して、自分の投資スタンスにあった証券会社を選びましょう。
おすすめのネット証券3社
ネット証券で証券会社を探す場合には、手数料や、投資対象が豊富かどうかなどをチェックしましょう。
・SBI証券
日本株の売買手数料が無料、投資信託と海外ETFは買付手数料が無料
米国や香港、韓国、ロシア、ベトナムなど海外9か国の海外株に投資できる
投資信託の取り扱い本数は2,569本(2020/5/13時点)
・楽天証券
日本株の売買手数料、投資信託の買付手数料が無料
海外ETFの買付手数料は実質無料で、米国、中国、アセアン株式など、取り扱っているすべての外国株式が原則対象
楽天スーパーポイントが貯まる・使える
・松井証券
日本株と投資信託の売買手数料が無料
銘柄選びに役立つ投資情報ツール「QUICK情報」などが無料で利用できる
おすすめの対面証券3社
大手証券会社は、ネットだけでなく対面で取引ができます。また、セミナーなども充実しているため、投資について学びながらNISAを始められます。
・SMBC日興証券
全国の支店でセミナーを開催
セミナー動画やオンライントレードなど情報ツールが充実
100円以上100円単位の金額から投資できる独自サービス「キンカブ」がある
・野村證券
NISAセミナーの開催や専門家によるレポートなどが充実しており、情報収集がしやすい
国内外の市況・概況や為替など、さまざまなマーケット動向が入手できる
・大和証券
全国の店舗で資産運用のプロによるコンサルティングを受けられる
NISAをメイン口座と紐づけることが可能で、利便性が高い
※情報は2020年5月時点のものです
NISAのメリット・デメリット
NISAは、譲渡益や配当金・分配金について、非課税で運用できるといったメリットがあります。一方で、「売却時に損失が生じても、損益通算ができない」というデメリットがあります。
損益通算とは
一定期間内の利益と損失を相殺することです。株式の売買で利益が出ると税金がかかりますが、損失が出た場合は損失分を利益から差し引いて、税金を減らすことができます。
例)NISAを利用しない取引
課税取引で20万円の利益が出たものの、別の課税取引で20万円の損失が出た場合
利益20万円-損失20万円=損益0円 となるため税金がかかりません
例)NISAを利用した取引
課税取引で20万円の利益が出たものの、NISAによる取引で20万円の損失が出た場合
NISAで生じた損失は損益通算できないため、課税取引で生じた利益20万円には約20%の税金が課税されます
NISAのはじめ方
これからNISAをはじめる方は、まず証券会社や銀行・信託銀行などの金融機関にNISA口座を開設しましょう。
ただし、金融機関によって購入できる金融商品の種類や提供されているサービス、手数料が違います。口座を開設する前に「どんな金融商品が購入できるのか」「どのような投資ツール・投資情報が利用できるのか」「売買の際に必要な手数料はいくらなのか」など詳細をチェックして、ご自身の投資スタンスにあった金融機関を選ぶといいでしょう。
※一定の条件のもと、翌年以降にNISA口座を他の金融機関に変更することができます
2024年(令和6年)から新NISAがスタート
2024年(令和6年)から新NISAがスタートします。そこで最後に、新NISAがどのような制度になるのか、簡単にご紹介します。
一般NISAの非課税枠が増枠。2階建てに。
安定資産による長期投資を促すとの観点から、新NISAでは非課税枠が2階建てになります。
1階部分...リスクが低い投資信託などに限定した積立枠「年20万円」
2階部分...従来通りの上場株式などにも投資できる枠「年102万円」
一般NISAでは、非課税の投資枠が120万円でしたが、令和6年からは122万円に増えます。一方で、1階部分に投資をしていない人は、2階部分の非課税枠が使えないといった制限が加わります。
なお、非課税の積立期間が5年である点や、つみたてNISAと併用が不可である点はこれまで通りです。
つみたてNISAは期間延長、ジュニアNISAは終了
つみたてNISAは2037年までだった期限が5年延長され、2042年まで非課税枠での買い付けができるようになります。
一方、ジュニアNISAの投資可能期間は2023年で終了します。ただし、制度終了時点で20歳になっていない方については、非課税期間(5年間)の終了した金融商品をロールオーバーできます。
また、ロールオーバーした金融商品の売却は可能ですが、新規の買い付けをすることはできません。
NISAはとてもお得な制度で、これから投資をはじめる方でも利用しやすいように設計されています。ご自身の運用スタイルに合わせて、上手にNISAを活用しましょう。
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