【理学療法士が解説】介護初心者が介助時に注意すべきポイントは?自分の身体を痛めないためのコツも紹介

「未経験から介護の仕事を始めたけれど、介助がうまくできない」「介助の際に腰を痛めてしまった」などのお悩みはありませんか。介護の仕事は覚えることが多いうえに、身体的な負担も大きいため、なかなかうまくいかないと感じている方も多いかもしれません。2023年に『からだをいたわる介護術』を出版した、合同会社やしのき代表の理学療法士 長谷川陽介氏に、介護初心者が意識すべきコツや、介護者の身体を痛めない方法について聞いてみました。
1.介護初心者が介助に取り組む際に注意すべきこと
――介護初心者が介助に取り組む際に、特に注意すべきことについて教えてください。
不慣れな状態のまま、いきなり利用者さんの介助を行わないことです。介護者の動作が不安定なまま利用者さんの介助をすると、転倒や骨折などの思わぬ事故に繋がる可能性があるためです。介助の方法を学んだ後は、必ずご家族や同僚などの健康な方で練習をしてから、利用者さんに接するようにしましょう。ただし、健康な方と高齢者では、当然ながら皮膚の弱さや骨折のしやすさなどが異なります。まずは、健康な方との練習で基本の動きを身につけた後で、高齢者の身体への配慮も意識するように心がけてみてください。
2.介助がうまくできずに悩んでいる介護初心者が意識すべきこと
――介助がうまくできずに悩んでいる介護初心者が意識すべきことはありますか。
利用者さんと積極的にコミュニケーションを取り、信頼関係を築くことではないでしょうか。うまくコミュニケーションが取れていないと、介護者の意図が伝わらず、利用者さんの動きを引き出せません。すると、転倒をはじめとした事故の発生に繋がってしまいます。これは私が日々の業務で実感していることにはなりますが、今日お会いしたばかりの方と、何度もお会いしてある程度の関係性を築いてる方では、介助のしやすさが全く違うものです。慣れないうちは難しく感じるかもしれませんが、まずは挨拶や、身の回りで起きたことなどの簡単な会話から始めることがおすすめです。
3.自分の身体を守りながら介護に取り組む方法
――介護をはじめたばかりだと、自分の身体を痛めてしまうケースも多く見られます。どうすれば、自分の身体を守りながら介護に取り組めるでしょうか。
技術面では、「利用者さんとの身体の距離を縮める」ことや、「利用者さんもしくは介護者自身の体重を利用する」ことが挙げられます。この基本のポイントについては、YouTubeの動画「【初心にかえる‼︎】介護技術の基本〜基本をおろそかにするなかれ〜」でも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。また精神面では、介護者自身が嫌がったり、怖がったりしないことが非常に重要です。介護者が恐怖心を抱くと腰が引けて、利用者さんから身体が遠ざかってしまうため、身体がうまく使えず怪我の原因となります。一人での介助が難しいと感じる場合は、福祉用具の活用も検討してみると良いでしょう。

4.介護初心者が意識すべきことや勉強すべきこと
――その他に、介護初心者が意識すべきことや、勉強すべきことについて教えてください。
日常生活における自分自身の身体の動きについて、ぜひ意識してみてください。「自分が普段どうやって身体を動かしているのか」について意識する機会はほとんどないと思いますが、ある程度人体の動きを理解していないと、人の身体を動かすことはできません。例えば電車で立っている際に、「自分は今どこに重心があり、どの部分を動かしたら座われるのだろう」と考えることも効果的です。介助の際は、利用者さんの身体を正常な動きに近づけることがとても大切です。まずは、自分自身の身体の動きを把握するところから取り組んでみると良いのではないでしょうか。
5.『からだをいたわる介護術』の紹介とメッセージ
――2023年には『からだをいたわる介護術』を出版されました。本や動画を参考に介護技術を身に付けたいと思っている方に向けてメッセージをお願いします。
この本には、身体の機能を効率的に使う方法である「ボディメカニクス」の紹介から、さまざまなシチュエーションにおける介助の方法、ベッドから転落した人を戻す方法まで、初心者はもちろん、ベテランにも役立つ情報を掲載しています。介護職に興味がある方や、これから介護施設で働く方、特定の介助が苦手な方まで、幅広い方の参考にしていただければ嬉しいです。
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介護のみらいラボ編集部コメント
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