介護のストレス軽減や気分転換にも効果的な「マインドフルネス」とは?基本の取り組み方やコツを紹介

マインドフルネスと呼ばれる瞑想方法をご存知でしょうか。マインドフルネスとは、「今、この瞬間」に目を向ける瞑想方法で、ストレスの軽減や気持ちの切り替えにも効果があるとされています。介護のトータルケアサービスを提供する株式会社土屋では、マインドフルネスの効果に注目し、2024年にマインドフルネスサークルを立ち上げました。マインドフルネスの基本の取り組み方や、特に役立つシーンについて、同社Well-being委員会の川﨑知子氏と宮本武尊氏に聞いてみました。
1.マインドフルネスの基本の取り組み方
――まずは、マインドフルネスの基本の取り組み方を教えてください。
川﨑:最も基本となる「呼吸瞑想」は、初心者の方も比較的取り組みやすいのではないかと思います。ここでは、呼吸瞑想の方法を紹介します。
1. 姿勢を整えて座ります
2. 頭を背骨のうえに置くようなイメージで背筋を伸ばします
3. 手は楽な位置に置き、目は閉じるか、下の方を見るようにします
4. 姿勢を整えたら、自身の呼吸と、呼吸によって変わってくる身体の感覚に意識を傾けます
5. もし別のことを考えてしまったら、また呼吸に意識を戻します
6. 数十分間、呼吸へ意識を向け続けます
私自身もまだ勉強中の身ではありますが、呼吸瞑想に取り組むだけでも、リラックス効果などのさまざまな効果を得られると感じています。まずは、基本の方法を試してみることがおすすめです。
2.マインドフルネスを介護に役立てるには?
――マインドフルネスは、具体的に介護のどのようなシーンで役立つとお考えですか。
川﨑:個人的には、気持ちの切り替えをしたい場合に特に役立つと考えています。例えば、仕事と仕事の合間や、帰宅してすぐのタイミングで取り組むと、思考が切り替わりリラックスできますよ。ほかにも、腰痛や頭痛などの痛みを感じている時にもおすすめです。マインドフルネスは痛みにも効果を発揮すると言われており、実際に社内でも「頭痛が改善した」といった声を耳にしたことがあります。介護の仕事は身体的な負担が大きいため、痛みが辛い時に取り組んでみると、症状の緩和に役立つかもしれません。
宮本:マインドフルネスは、意思疎通が難しい方の介護をする際にも役立つと考えています。マインドフルネスに取り組むと、雑念が取り払われて脳の負担が減ることで、従来と比べて多角的な思考が可能になるためです。例えば、当社の主力事業である重度訪問介護のクライアントには、身体を動かすことや会話をすることが難しい方が多くいらっしゃいます。このような方の介護をする場合は、クライアントの心身の状態について、介護者側がある程度予測することが非常に重要となります。その際、視野が狭いと、身体の状態など1つのことにしか目を向けられませんが、多角的な思考が可能になると、室内の温度をはじめとした他のことにも気を配れるようになり、結果としてケアの質の向上に繋がります。介護者だけでなく、クライアントにとっても良い影響を与えられることは、マインドフルネスに取り組む大きなメリットだと感じています。

オンラインサービスを活用してマインドフルネスに取り組むサークルメンバー
3.マインドフルネスに取り組むタイミング
――マインドフルネスに取り組むおすすめのタイミングはありますか。
川﨑:自分が目指す状態から、逆算して考えることがおすすめです。これは何を参考にしながらマインドフルネスに取り組むのかにもよりますが、例えば当社で活用しているマインドフルネスサービス「MELON(メロン)オンライン」には、充実した一日を送るための「Morning」や、睡眠の質を高めるための「Sleep」などのさまざまなプログラムが用意されています。このようなサービスを利用してマインドフルネスに取り組むのであれば、「最近眠りが浅いので、寝る前にSleepのプログラムを受けてみようかな」といったように、目指す状態から取り組む時間を考えてみてはいかがでしょうか。
宮本:私のおすすめは、朝一など午前中の時間帯に取り組むことです。午前中にマインドフルネスに取り組むと、頭がすっきりとして、午後の疲れ方が全く違うと感じています。朝は忙しいため継続が難しいかもしれませんが、習慣化すると続けやすいと思います。私は、枕元にスマホを置いておき、起きたらすぐにMELONのアプリを起動することで、朝一のマインドフルネスを継続できてきますね。生活の中に取り入れると、自然と毎日取り組めるようになりますよ。
4.マインドフルネスに取り組む際のコツ
――マインドフルネスに取り組む際のコツを教えてください
川﨑:自分が無理なく取り組める方法を見つけることではないでしょうか。マインドフルネスに取り組むタイミングに決まりはないため、さまざまな場面で試してみて、一番続けられそうな時間帯や場所を探してみてください。私の場合は、一人で集中して取り組むこともあれば、社内のメンバーとオンラインで集まって行うこともあります。電車の中や休憩時間、寝る前など、自分にとって心地よい時間帯や場所を探してみてください。
宮本:あまり難しく考えず、まずはやってみることがおすすめです。日常生活のなかでマインドフルネスに取り組む時間を確保しようとすると、どうしても後回しになってしまいがちになるため、休憩や移動などの隙間時間から始めてみてはいかがでしょうか。たった5分でも、継続すれば効果を実感できると思います。

5.マインドフルネスが介護業界全体に広まれば嬉しい
――マインドフルネスの導入を検討している介護事業者に向けて、メッセージをお願いします。
川﨑:マインドフルネスには、ストレスの軽減や集中力の向上などの数多くのメリットがあると言われており、年代や職種を問わず、さまざまな立場の方におすすめできる取り組みです。少しずつでも継続していけば、最終的には会社全体が良い方向に進む可能性も高いと感じています。まだ始めたばかりではありますが、当社の取り組みをきっかけに、マインドフルネスが介護業界全体に広まれば嬉しいです。
宮本:介護はとてもやりがいがある反面、心身への負担が大きい仕事のため、介護者が自分自身のケアを行うことが非常に重要です。マインドフルネスに取り組むと、自身の心身の状況を把握できるだけでなく、気持ちの切り替えやリフレッシュなどの効果も期待できると感じています。スタッフの精神的な負担軽減のためにも、マインドフルネスを試してみることをおすすめします。
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介護のみらいラボ編集部コメント
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