介護で「縄文時代以来、初めての課題」 田中滋氏、生活支援ニーズ急増で呼びかけ

《 審議会に出席する田中理事長(手前)撮影:10月9日 》
介護報酬を議論する国の審議会の会長を務める埼玉県立大学の田中滋理事長が28日、今後の地域包括ケアシステムを構想するオンラインセミナーで講演した。【Joint編集部】
家庭内では基本的に自立していて要支援、要介護の認定には至らないものの、生活支援のニーズを抱えているフレイルの高齢者をいかに支えていくのか − 。これが非常に大きな課題になると呼びかけた。
強調したのは本人の社会性を低下させない取り組みの重要さだ。
身の回りのちょっとした手助けに加えて、フレイルの進行を遅らせる外出、買い物、コミュニケーション、役割の保持、生きがいの実感などを支援する仕組みを作っていくことが、地域包括ケアシステムの深化の「大きな方向性」と説明。「医療や介護の専門職だけの仕事ではない。地域の様々な人、団体、企業などに加わってもらう必要もある。活用できる資源を把握し、小学校区、中学校区ごとに地域マネジメントを行っていく新たな手法が求められる」と語った。
田中理事長は日本の急速な高齢化を、「今まで見たことのない未曾有の状態。介護を超えた問題」と表現。「これは日本で初めて、というか世界で初めて。縄文時代以来、メソポタミア文明以来、初めての課題に我々は直面している。解決はそう簡単ではない」との認識を示した。
またケアマネジメントについて、「介護保険の給付サービスのマネジメントだけでなく、その人の暮らし、生活を支える"ライフマネジメント"が必要になる」と指摘。それを主に誰が担っていくのかも含め、より良い支援の仕組みについて検討を進めたいとした。
田中理事長はこの分野の第一人者の1人。社会保障審議会・介護給付費分科会の会長など、介護・福祉に関係する重要な協議の場で多くの要職を担っている。
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介護のみらいラボ編集部コメント
介護業界で著名な埼玉県立大学の田中滋理事長が、日本の急速で大規模な超高齢化について、オンラインセミナーで危機感を示しました。
また、高齢者の社会性を低下させないための取り組みが重要と強調し、地域包括ケアの中で医療介護従事者に限らない住民や団体・企業が連携する必要性を語りました。