介護職の高齢者虐待、過去最高の件数644件に 通報も増加
《 厚労省 》
厚生労働省は22日、昨年度の介護施設・事業所の職員による高齢者への虐待の件数が644件にのぼり、これまでで最も多くなったと発表した。【Joint編集部】
621件だった前年度から23件増加。特定された被害者は1060人で、死亡事例は4件となっている。
相談・通報の件数も、前年度(2187件)より80件多い2267件となって過去最多を更新した。虐待を防ぐ意識が以前より高まったことも背景にあるとみられる。
令和元年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果
虐待の発生要因(複数回答)では、「教育・知識・介護技術などに関する問題」が56.8%で最も多い。以下、「職員のストレスや感情コントロールの問題」が26.4%、「虐待を助長する組織風土や職員間の関係の悪さ、管理体制など」が20.5%、「人員不足や人員配置の問題、関連する多忙さ」が12.6%となっている。
虐待の種別(複数回答)をみると、「身体的虐待(60.1%)」「心理的虐待(29.2%)」「介護放棄(20.0%)」が多くを占めている。施設・居住系サービスでは、要介護度が重くなるほど「身体的虐待」の生じる割合が高くなる傾向がみられた。
厚労省は対策の強化に乗り出す。来年度から各サービスの運営基準を見直し、虐待の発生・再発を防ぐ委員会の開催、指針の整備、研修の実施、担当者の選定を、介護施設・事業所へ新たに義務付ける方針を決めた。3年間の経過期間を挟んだうえで、全ての事業者に適用する考えだ。
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介護のみらいラボ編集部コメント
介護施設や事業所に所属する介護職による虐待が過去最高の644件となったと厚生労働省が発表しました。虐待の原因としては、「教育・知識・介護技術の問題」(56.8%)と最も多く、次いで「介護職のストレスや感情コントロールの問題」(26.4%)となっています。認知症対応研修を受けておらず、ご利用者が暴れたときにどうしていいか見当がつかずただ押さえつけるなどのパターンも考えられますが、「虐待を助長する組織風土や職員間の関係の悪さ、管理体制など」(20.5%)、「人員不足や人員配置の問題、関連する多忙さ」(12.6%)も実際は、直接の引き金でなくても、多くの虐待を生み出す根本的な土壌となっているのではないでしょうか。