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ニュース 医療介護最新ニュース 2021/02/26

【介事連 斉藤理事長提言】3年後は再び報酬減? 介護事業者は今後の荒波にどう備えるか

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介護のみらいラボ編集部コメント

介護データベースLIFEの運用開始、ADL維持加算……全国介護事業者連盟の斉藤正行理事長が、介護報酬改定を機に、これから介護政策がどのように変わっていくのか、介護事業者・介護職は何をしなければならないのかを解説します。
今年度の加算と手間を比べるだけで、新規加算が促す情報技術対応や自立支援・重度化防止への取り組みを怠っていると、3年後に淘汰される事業所になってしまう可能性があると言えるでしょう。

新年度の介護報酬改定は、新たに適用される単位数など具体像まで明らかになった。そこから何を汲み取ればいいのか? 全国介護事業者連盟の斉藤正行理事長が、今後どんなマインドセットで臨むべきか提言する。【青木太志】

※ この記事は斉藤氏へのインタビュー取材に基づいてJoint編集部が作成したものです。

■ 本丸の大改革はこれから

今年は科学的介護元年 − 。私はそんな表現も使っていますが、今回の改定の大きな目玉はやはり自立支援・重度化防止の推進です。国はこの方向性を重んじる姿勢を改めて鮮明に打ち出しました。

具体例はたくさんあります。新たなデータベース「LIFE」への情報提供を促す加算を各サービスに設けたこと、「ADL維持等加算」の単位数を10倍にして対象を広げたこと、特養にもアウトカム評価の考え方を初めて導入したことなど、既に皆さんご承知の通りでしょう。

極めて大事なのは、本丸の大改革がこれから待っているということです。今回はその序章。そう捉えることが妥当だと考えています。国は報酬体系のメリハリをもっとはっきりつけてくるのではないでしょうか。

■ 想定すべき最悪のシナリオ

まず、次の2024年度改定は非常に厳しいものになると覚悟しておいた方がよさそうです。

もちろん、その直前の社会、政治の状況なども大きく影響してきますので、まだどうなるか分かりません。ただ、普通に考えると"アフターコロナ"は社会保障費の抑制を図る力が強まります。国の財政が更に悪化してしまったことを踏まえると、私は2015年度(▲2.27%)を上回る大幅なマイナスもあり得るとみています。

少なくとも事業者は、そうした最悪のシナリオも想定しておくべきでしょう。利用者や職員のことを考えるならなおさら、深刻な地殻変動が起きても生き残れるように備えておくことが肝要です。

介護は公的サービスですから、国も全て乱暴に切り捨てるようなことは絶対にしません。ただ今後は、求められる取り組みをしっかりと行っていない事業所が淘汰されることはやむを得ない、という空気がより強まっていくでしょう。

■ 先手先手の行動を

では何をすべきなのか? 大きな柱の1つがやはり自立支援・重度化防止の推進です。

24年度改定以降、国はこの方向性の施策にますます力を入れてくるでしょう。アウトカム評価を更に拡充するなど、今回より1歩も2歩も踏み込んだ手を打ってくることは確実です。

近視眼的な発想のみに留まることなく、今後に向けて今のうちから動いていく意識が大切です。基本報酬がガクッと下がってから慌てても、相応の下準備やノウハウがないとうまく対応できません。一定の打撃を受けても耐えられる、という体制を早めに作っておくことが得策です。

■ 加算の取り組みは一体的に

ポイントは施策全体をトータルで捉えることでしょう。

例えばADL維持等加算。単位数が10倍になったとはいえ、単独の加算としてみるとまだ少し不十分ですよね。かかる手間に見合う十分なインセンティブになった、と評することまではできません。LIFEに関する加算も同じで、それだけみると「見返りが少ないからやめておこう」という結論に至りがちです。

ただ、これらに取り組んでいかないと今後の荒波は乗り越えられません。口腔、栄養、機能訓練、褥瘡、排泄などに関わる加算も含め、高齢者の自立支援・重度化防止につなげるための大切な取り組みとして、ぜひ一体的に推進して頂きたい。新年度からすぐに算定できないものがあれば、第8期の3年間のうちにしっかりカバーすべきです。

各加算をコツコツ積み重ねれば、相応の見返りを得ることもできるでしょう。個別の単位数のみを材料とした目先の判断で、「意味ないからいいや」と決め込んでいると苦しくなる一方です。

■ 現場革新は不可避のミッション

施策全体をトータルで捉えるということには、介護現場の革新も含まれます。ICTの活用による効率化なども併せて取り組まないと、LIFEへの情報提供をはじめ多くのタスクに対応しきれません。

医療との連携、認知症ケアの質の向上、感染症・災害への備えなど、やるべきことはとにかく多岐にわたります。職員の負担軽減を具体化する現場革新は、いくら嫌でも絶対に避けて通れない必須のミッションと言えるでしょう。

繰り返しになりますが、今回の改定は序章です。国は今後の大改革のエッセンスを多く盛り込み、その方向性を言外ににじませました。幸運にも基本報酬は引き上げとなり、事業者には準備を進める一定の環境も与えられています。

21年度改定が重要なターニングポイントだった − 。将来、自らの事業運営をポジティブな意味合いでそんな風に振り返られるよう、できることから1つずつ取り組んでみてはいかがでしょうか。

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出典:介護のニュースサイトJOINT

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