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ニュース 医療介護最新ニュース 2021/03/09

白内障[私の治療]岩手医科大学附属病院眼科学講座教授 黒坂大次郎先生

介護のみらいラボ編集部コメント

眼が白く濁り、視力が低下する白内障。高齢者がかかるイメージがありますが、若くてもアトピー性皮膚炎や糖尿病の人がかかることがあります。アトピーの場合、約1割程度が白内障になると黒坂先生は解説します。
様子見する場合は目薬ですが、治すには基本的に手術で、成功率は高く年間100万件以上行われています。
しかし若年層の場合、治っても近くが見えにくくなったりするので、事前の確認が必要です。

加齢に伴い80歳以上ではほぼ全例に生じる加齢白内障のほか,糖尿病やアトピー性皮膚炎など他の疾患や眼疾患に併発する併発白内障,乳幼児に生じる先天白内障がある。加齢白内障が最も多いが,アトピー性皮膚炎患者の約1割に白内障を生じ,若年者の白内障の主要な原因となっている。主な治療法である白内障手術は,わが国では年間100万件以上行われている。

▶診断のポイント

散瞳して細隙灯顕微鏡で水晶体の混濁が認められれば白内障と診断する。細隙灯顕微鏡所見だけでは,加齢白内障と他の白内障との区別は明確にはできない。多くの場合,年齢や混濁形態,糖尿病などのコントロール状態,ステロイドの投与期間などを考慮し判定する。

▶私の治療方針・処方の組み立て方

加齢白内障では,視力低下などの自覚症状があり,何らかの不便がある場合には,外科的治療を検討する。多くの場合手術予後は良好であるが,術後眼内炎のように稀ではあるが,大幅に視力が低下する重篤な合併症があるため,不便がない場合には手術は行わない。その場合には,初期白内障に対しては,希望があれば,進行を遅らせる薬物による点眼治療を行う。手術を行わない場合,放置すると時に緑内障発作など重篤な合併症を生じるので,定期的な経過観察を行う。

乳幼児期は早期に手術を行わないと弱視が形成され,手術を行っても良好な視機能が得られない場合があるので,疑われた時点で速やかに専門医に送り,必要があれば手術治療を行う。

他の眼疾患に伴う白内障は,現病のコントロール状態を見きわめながら,コントロールのついた状態で手術治療を検討する。糖尿病のコントロールが不良の場合には,術後の感染のリスクが高まり,さらに黄斑浮腫を伴う場合には術後に悪化するリスクが高まる。アトピー性皮膚炎患者の場合には,眼瞼周囲の瘙痒がコントロールできていないと術後にこすり,創口離開や感染のリスクが高まる。

アトピー性皮膚炎に伴う白内障など若年者の白内障は,白内障術後に視力は回復させられても,老視となり,新たな不便さを生じるため,術前にそのデメリットを説明し,納得が得られた場合に手術を行う。

▶治療の実際

不便があり改善をめざすのであれば,外科的治療が必要である。経過観察を行う場合には,初期白内障に対して薬物治療を行う。

【薬物治療】

一手目 :カタリン®点眼用(ピレノキシン)1回1滴1日4回(点眼)

【外科的治療】

加齢白内障に対しては,水晶体再建術(超音波水晶体乳化吸引術+眼内レンズ挿入術)を行う。通常は,局所麻酔下に,約2mm程度の切開創から,超音波チップを挿入して水晶体核・皮質を除去し,残存させた水晶体囊内に眼内レンズを挿入する。眼内レンズには,基本的に紫外線吸収効果があるが,これに加え近年では様々な付加価値がついている。そのひとつは,乱視を軽減させるトーリック眼内レンズで,一部の患者で乱視を軽減させることができる。また,通常の手術では術後老視になるが,遠・中・近,中・近などに焦点が合うようにできる多焦点眼内レンズがあり,適応のある症例に対して選定療養として一部の施設で行われている。

【術後薬物治療】

一手目 :クラビット®1.5%点眼液(レボフロキサシン)1回1滴1日4回(点眼)術後2週間,フルメトロン®0.1%点眼液(フルオロメトロン)1回1滴1日4回(点眼)術後1カ月,ネバナック®懸濁性点眼液(ネパフェナク)1回1滴1日4回(点眼)術後3カ月,併用

▶偶発症・合併症への対応

白内障術後に炎症を起こし,網膜の中心部が浮腫を起こす囊胞様黄斑浮腫が数パーセントの症例に生じる。これを予防・治療するために,ステロイドに加え,非ステロイド性抗炎症薬の点眼を行う。ただ,非ステロイド性抗炎症薬では,時に角膜上皮障害をきたすこともあり,その場合には中止する。

術後眼内炎は,術後1週目前後で起こることが多く,回復していた視力が数時間で急激に0.1以下にまで低下するので,患者自身で気がつくことが多い。細菌の毒性にもよるが,基本的に一両日中に処置をしないと重篤な視力障害を残す場合がある。早期の抗菌薬の眼内注射や硝子体手術を行う。

後発白内障は,術後数カ月~数年に生じるもので,残存させた水晶体囊上で水晶体上皮細胞が再増殖し混濁することによる。再び白内障時と同じような視力低下を生じる。約1~3割に生じる。基本的にNd:YAGレーザーによる処置で視力を回復できる。

▶非典型例への対応

角膜の透明性を維持する角膜内皮細胞が少ないもの,前房が浅いもの,長く放置して著しく混濁が進行したものなどは,通常の超音波水晶体乳化吸引術で対応ができない場合がある。術後に角膜移植などが必要になる場合もあり,大学病院などの施設で治療が行われる。

黒坂大次郎(岩手医科大学附属病院眼科学講座教授)

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出典:Web医事新報

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