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ニュース 医療介護最新ニュース 2021/06/03

#メンタルヘルス#適応障害#人間関係

「適応障害をどう考えるか」上田 諭 戸田中央総合病院メンタルヘルス科部長

介護のみらいラボ編集部コメント

上田 諭 戸田中央総合病院メンタルヘルス科部長が、適応障害について最近の例を挙げながら解説します。
新しい環境、文化のところに入った時に起こしやすいのが適応障害ですが、ずっと同じ仕事環境などにいながらも適応障害を起こす場合もあり、それは新たなプライベートの問題なども考えられるとのことです。

女優の深田恭子さん(38歳)が、「適応障害」という精神科病名で休養して話題になっている。この病名について考えてみたい。

精神科の診断体系として現在用いられているDSM-5(米国精神医学会の診断基準)では、明らかなストレス要因によって3カ月以内に情動面、行動面の症状が現れるもの、とされている。深田さんは、3カ月以内になんらかのストレスを受けたことで、抑うつや不安やそれに伴う身体症状が出現し、仕事をするという行動に支障が生じたということであろう。ストレスに「適応」できずに障害が起きたということである。

ただ、ストレス要因がこの病気の診断に必須となったのは、狭義の適応障害による解釈であり、DSM基準の影響が大きい。ストレス要因に関係なく、うつ症状が強くなれば、うつ病という診断になることもある。昔からストレス要因によって生じる「反応性うつ病」という診断がある。適応障害はもともと(広義の解釈)、「新しい環境や課題に適応できずに種々の心身症状をきたすこと」であり、一過性の適応困難から慢性的な適応の悩みまでを含むものだった(南山堂医学大辞典、2006年)。

適応障害という病名がよく知られる出来事となったのは、皇室に入った皇后雅子さまについての病名の公表であろう。皇室という新しい環境、文化に入り、うまく適応できない状態になった。これは、まさに広義の適応障害である。皇室という特別な場ではなくても、一般の人々が進学したり、就職したり、転居したりして、たいていの人が適応している集団の環境・文化に馴染めず、困難を感じるのがもともとの適応障害なのである。

その意味から考えると、20年以上芸能界で活躍してきた深田さんが、仕事の環境に馴染めなくなったというのは考えにくい。プライベートで不快な出来事に遭遇したのかもしれない。それが適応障害に必須のストレス要因にあたり、診断に至ったのであろう。最近の精神科での適応障害の診断は、多くがこのような狭義の意味合いでなされており、深田さんの障害もまた、現代的意味での適応障害だといえそうである。

上田 諭(戸田中央総合病院メンタルヘルス科部長)[精神医療 ]

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出典:Web医事新報

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