介護事業所の書類保存、データ化進まず 多くは「紙で保存」 厚労省調査

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厚生労働省は7日、介護現場の事務負担の軽減に向けた施策の進捗などを探った調査の結果を新たに公表した。【Joint編集部】
ICTの活用がまだまだ十分に進んでいないと報告している。
利用者ごとの記録や報酬請求に関する書類などの事業所での保存方法を聞いたところ、どのサービスも「紙で保存」が過半数を占めていた。その割合が最も低い老健施設で57.6%。最も高い訪問介護、居宅介護支援では71.0%にのぼっていた。
一方、「電子のみで保存」はいずれのサービスも3.0%以下。「書類によって保存方法は異なる」との答えも一定数あったが、依然として紙ベースのところが多い実態が改めて浮き彫りになった。法人の規模が大きくなるに連れて、「電子のみで保存」の割合が高くなることも分かった。
この調査は昨秋から今年にかけて実施・集計された最新のもの。訪問介護や通所介護、居宅介護支援、特養、老健、特定施設、グループホームなど6000事業所を対象とし、59.7%の3584事業所から回答を得ている。
調査結果の中では、ケアプランや各サービスの計画書、重要事項説明書などの同意を利用者から得る際の手段について、大半の事業所が従来通り紙への押印・署名を用いていることも明らかにされている。
メールや電子署名などで効率化を図っているところは、いずれのサービスでも2.5%以下。その理由では、「活用できる機器がない」「機器の導入にコストがかかる」「利用者・家族も対応できない」などが目立っている。
厚労省は昨年4月の介護報酬改定で、全サービスの事業所に義務付けている書類の保存のデータ化を原則として容認。利用者への説明・同意のルールも見直し、メールや電子署名などを使って効率化する運用を認めた経緯がある。
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介護のみらいラボ編集部コメント
3月7日、厚労省が介護現場の事務負担の軽減に向けた施策の進捗などを探るため昨秋から今年にかけて実施・集計された調査結果を公表。利用者ごとの記録や報酬請求に関する書類などの事業所での保存方法を聞いたところ、どのサービスも「紙で保存」が過半数を占めました。その割合が最も低い老健施設で57.6%。最も高い訪問介護、居宅介護支援では71.0%にのぼっていた。一方、「電子のみで保存」はいずれのサービスも3.0%以下。調査結果では、ICTの活用がまだまだ十分に進んでいないと報告されています。