Produce by マイナビ介護職 マイナビ介護職

介護の未来ラボ -根を張って未来へ伸びる-

ニュース 介護業界ニュース 2022/06/27

美しく、気高い女性のために。"着る"を楽しむ新しい医療・介護服のかたち《UNITE DIVISION OF ME》ディレクター 榎本実穂

220530_01.png

介護のみらいラボ編集部コメント

.

ファッションの視点から考えたユニフォームが大好評!


「お気に入りのファッションを楽しむような感覚で、スクラブやドクターコートを着こなしてほしい」。ファッションディレクター、榎本実穂が医療・介護服の新ブランド《UNITE DIVISION OF ME|ユナイト ディヴィジョン オブ エムイー》に込めた思いとは。

写真/ 竹之内祐幸
文_/猪飼尚司

なぜユニフォームは同じデザインばかりなのか。

「人々の健康や命を守るために、日夜奔走している医療・介護従事者の方たち。その姿は神々しいほどに凛として美しく、尊敬の念を抱くばかりです。一方で、ずっとファッションの世界で働いてきた私の頭のなかには、『なぜ医療関連のユニフォームには同じようなデザインのものしかないんだろう』という疑問がいつも浮かんでいました」

ファッションディレクターとして数々のブランド開発を手掛けてきた榎本実穂にとって、医療・介護業界で使用されているユニフォームの印象は、「機能的で清潔感こそあれど、ワンパターンで形式的」というものだった。着心地は良く、扱いが楽かもしれないが、着る者にも見る者にも堅苦しさを感じさせる存在にしか思えなかったのだ。

そんな折に、東京の総合ユニフォームメーカー、チトセから医療・介護服の新ブランドのディレクションについて相談が舞い込む。これまで足を踏み入れたことのない領域への挑戦に襟を正しつつ、榎本がまず考えたのは、いかに働く人々の行動の自由と品格を失うことなく、美しいと思える医療・介護服が作れるかということだった。

「制服とはいえ毎日身にまとうものですから、日頃着ている洋服と同じように、袖を通す瞬間に気持ちがふわりと踊るような高揚感が大切。さらには、医療施設に訪れる人たちの不安を軽減し、着ている人の信頼が増すような存在感も必要だと感じました」



従来のユニフォーム販売では行われていなかったルックの撮影を敢行。ブランドが描く世界観を明確にしていった。

内面の美しさを、形で表現。

デザインプランを考える前に、榎本はまず医療服の販売店や病院などを訪問。現場の声を丁寧に拾い上げようと、「スクラブがVネックである理由は?」「大きなポケットのなかには何を入れているの?」「凹凸の少ないボックスパターンは効果的?」など、自身が日頃から疑問に思っていたことを率直に聞いていった。

「生地が静電気をためないことや業務用クリーニングでの洗濯に耐えうることなど、クリアしなければならない機能的条件があることは理解できました。しかし、従来のユニフォームの形は慣習的に受け継がれてきたものが多く、デザインを特定したり、限定したりするような要件は見つけられません。決まりごとがないならば、もっと自由にファッションの感覚を取り入れた医療・介護服の新しいあり方を模索しても良い。そう確信できました」

榎本がとくに注力したのは、女性たちが凛として輝くデザインとパターンだ。美しいシルエットに見せるために立体的なパターンを取り入れつつ、曲線をあえて緩やかにぼかして、淡く白濁したようなカラーリングを選定。業界で働く女性たちの気高さを象徴するように、表面的な華やかさではなく、内面から滲み出る聡明さや奥ゆかしさを体現する形を追求していった。

同時に、常時忙しく体を動かす人たちの仕事着であることから、早歩きや屈伸、前屈みになったときなど、どのような体勢にあっても型崩れしたり、体にまとわりついたりしないように、パターンを細かく見直したという。

ドクターコート

動きやすさを重視しながらも、布の動きを考えたドレープ感を活かしたドクターコート。

スクラブ

美しいウエストラインを強調するようにパターンを工夫したスクラブ。

パンツ

短めの着丈とワイドなシルエットならが、ウエスト部分を絞ったメリハリのあるパンツ。

業界の変化に対応する動き。

こうしたブランドが登場する背景には、医療・介護業界の変化も少なからず影響している。病気やケガの治療が中心だった従来型の医療に比べ、近年はより患者のパーソナルケアに重点を置いた生活支援型医療に軸足が移りつつある。そのため、ケアをする側、される側がともに手を取り、共生しながら暮らしていくように治療環境を整え、関わるすべての人々のQOLを高める必要があるのだ。

また、業界全体に占める女性従事者の割合は、看護師が9割、介護士は7割と圧倒的。医者においては2割強とまだまだ少ないが、年々増加の傾向にあり、女性が働く環境の整備も早急の課題である。

従来の医療・介護服と比較すると1.5倍ほどの価格帯であるものの、《UNITE DIVISION OF ME》は発売と同時に話題を呼び、クリニックや歯医者のほか、エステサロンといった業界からのオーダーも入った。つまり、そのニーズの高さが証明されたのだ。

「医療や介護の専門知識のない私が、ファッションを通じて業界に働く人の心をやわらげ、積極的に仕事と向き合う環境づくりに少しでも関われたのはうれしいこと。ファッションは、人々の感性を刺激しながらボーダーを超え、世界をつないでいく力を持っているんだと実感できました」

患者のためだけでなく、医療・介護に従事する人たちのために生まれた《UNITE DIVISION OF ME》は、今後もさまざまな現場で人々の心を癒やし続けるだろう。

トップスとボトム

トップスとボトム

軽量のストレッチツイルを採用した七分丈のトップスとボトム。

トップスとボトム

トップスとボトム

動きやすい大きな袖口のフレンチスリーブは、腕を上げたときに脇下が見えにくい構造を取り入れている。《UNITE DISION OF ME》は、ドクターコート、スクラブ、パンツなど、全8型、35アイテムが揃う。

https://unite-divisionofme.com

プロフィール

榎本実穂

榎本実穂 Miho Enomoto

ファッションディレクター。外資系ファッションブランドのマーチャンダイザーを経て、大手セレクトショップのバイイングとプライベートブランドの商品企画に携わる。2020年に独立。ファッションディレクターとして、デニムトラウザーのブランド「リヴィントーンやユニセックスファッションを提案する「ミオズモーキー」などを手掛ける。

企画/笈沼清紀 carewill (株)ケアウィル

最新コラムなどをいち早くお届け!
公式LINEを友だちに追加する

お役立ち情報を配信中!
X(旧Twitter)公式アカウントをフォローする

介護職向けニュースを日々配信中!
公式Facebookをチェックする

SNSシェア