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ニュース 介護業界ニュース 2023/10/05

#インタビュー

病院が運営する"誰もが食べやすい食事"を楽しめるカフェ|嚥下調整食も注文できる「カムカムスワロー」とは?

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介護のみらいラボ編集部コメント

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岐阜県岐阜市に位置する医療法人社団登豊会 近石病院は、地域密着型のコミュニティスペース「カムカムスワロー」を運営しています。コミュニティスペース内にあるカフェでは、幅広い世代の方が食べやすいように工夫されたフードや種類豊富なドリンクを提供。ドリンクメニューには全てにとろみをつけられるほか、フードメニューはやわらか食やソフト食などの嚥下調整食として注文することも可能です。嚥下障がいがある方も食事を楽しめるカフェとは、一体どのような場所なのでしょうか。近石病院 歯科・口腔外科の近石壮登氏と、歯科・口腔外科 言語聴覚士かつカムカムスワローのマネージャーである蛭牟田誠氏に話を聞いてみました。

1.「カムカムスワロー」の概要

――カムカムスワローの施設紹介をお願いいたします。

近石:近石病院が運営する、地域密着型のコミュニティスペースです。2022年12月にオープンしました。「食べるを通じて、医療と地域をつなぐ場」をコンセプトとして、食や栄養を通じて地域を活性化することを目標に運営しています。施設内には認定栄養ケア・ステーション、カフェスタンド、シェアキッチンがあり、食や健康に関するイベントも積極的に開催しています。なかでも人気なのはカフェスタンドで、店内では近石病院の管理栄養士が監修したオリジナルメニューを提供しているほか、嚥下困難者向けのグッズや歯科医療用小物を扱うセレクトショップも併設しています。

2.カフェを作ろうと思ったきっかけ

――誰もが食べやすい食事を楽しめるカフェを作ろうと思ったきっかけは何ですか。

近石:嚥下障がいがある方にも、気軽に外食を楽しんでもらいたいと考えたことがきっかけです。歯科・口腔外科として在宅診療に行くなかで、嚥下障がいのある方は外食をする機会が減ってしまい、健康寿命や生きがいに影響が出ていることに気が付きました。このような経験から「障がいがある方も気軽に食事を楽しめる場所を作りたい」「食を通じて病院と地域をつなげる場所を用意したい」と思い、カムカムスワローを開設しました。

近石病院のすぐ隣にあるカムカムスワロー

近石病院のすぐ隣にあるカムカムスワロー

3.利用者さんの傾向

――カフェの利用者さんの傾向を教えてください

近石:お子さんからお年寄りまで、比較的幅広い年代の方に利用していただいています。嚥下障がいと聞くと、高齢者の方が多いイメージがあるかもしれません。もちろん高齢になって一般的な食事が難しくなった方も多いですが、飲み込む障がいを持っている方は、医療的ケア児をはじめとしたお子さんにもいらっしゃいます。そのような嚥下障がいを持つ幅広い世代の方が、ご家族と一緒にカフェを利用されることは多いですね。

4.カフェのメニュー

――カフェにはどのようなメニューがあるのでしょうか。

近石:7種類以上のドリンクメニューのほか、軽食やスイーツなどのフードメニューも用意しています。メニューは全て近石病院の管理栄養士が監修しているだけでなく、岐阜県の地元の食材をふんだんに使用していることが特徴です。また岐阜周辺の地域ではモーニングが文化として根付いているため、「モーニングを食べながら地域の方と交流することが高齢者の健康増進につながるのではないか」との考えから、モーニングメニューを充実させています。モーニングは、ライ麦パンやフレンチトーストなどにポタージュスープとサラダ、温泉卵、ドリンクがついたセットです。「モーニングといえばゆで卵では?」と思うかもしれませんが、ゆで卵は黄身がパサつき、嚥下障がいのある方にとって食べやすいとは言えません。そのため、柔らかく飲み込みやすい温泉卵を提供しています。

モーニングメニューは、やわらか食やソフト食としての提供も可能で、管理栄養士が食材を一口大にカットしたり、ミキサーで柔らかくしたりして飲み込みやすく加工します。またドリンクは、全てのメニューにとろみをつけられます。嚥下障がいの有無に関わらず食べやすい食事を提供するために、さまざまな工夫を行っていますね。

食べやすく工夫されたモーニング

食べやすく工夫されたモーニング

5."誰もが食べやすい食事"を提供するための工夫

――その他に、カフェを訪れた全ての人に食事を楽しんでもらうための工夫はありますか。

近石:「嚥下障がいがある方にもご家族と同じ食事を楽しんで欲しい」との思いから、できるだけご本人の嚥下状態に合わせた加工ができるように工夫しています。例えば普通のパンを食べることが難しい方であれば、パンを小さく切る、ミキサーにかけて飲み込みやすい状態にしたものを提供するなどの加工を行っています。また噛むことが難しい方に対しては、デリソフターという見た目も味も変えずに柔らかくすることができる調理家電を使用することで、食材を舌で潰せるくらい柔らかくしています。例えばティータイムには白玉が乗ったコーヒーゼリーを提供しているのですが、この白玉はデリソフターにかけたもので、幅広い年代の方が食べやすいように加工しています。どのような方にとっても食べやすい食事を提供することはもちろん、嚥下調整食が必要な方に対しては、それぞれの方の飲み込む状態にあわせて調理や加工の方法を調整するようにしていますね。

蛭牟田:使いやすいスプーンやグラスを使用していることも、工夫している点の1つです。カフェでは「ののじスプーン」という、口当たりが良く食べやすいスプーンを使っています。このスプーンは左右非対称の独特な形をしており、食べ物を口に運びやすいという特徴があります。また飲み物を入れるグラスには「つよいこグラス」という品を使用しており、こちらも持ちやすく、飲んだ時の口当たりが非常に良いグラスです。落としても割れにくい素材で作られているため、小さなお子さんも安心してご使用いただけます。これらのスプーンやグラスは、近石病院の関連施設である幼稚園や老人ホームでも使用しているものです。このような食事をしやすい器具があることを知らない方は多いので、紹介も兼ねて導入しています。

取材・文/タケウチ ノゾミ 編集/イージーゴー

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タケウチ ノゾミ(Nozomi Takeuchi)

ライター・編集者

福岡市在住のフリーライター・編集者。介護、医療、ビジネスを中心に幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は観劇と美術鑑賞、猫を揉むこと。

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EGGO(イージーゴー)

イージーゴーは東京・九州を拠点にWEBコンテンツ、紙媒体、動画等の企画制作を行う編集制作事務所です。ライターコミュニティ「ライター研究所」も運営しています。

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