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ニュース 介護業界ニュース 2024/10/26

#インタビュー

病院が地域住民向けのフレイル予防講座を開始した背景は?山梨県の城東病院における「こちたく・かがやか」の取り組み

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介護のみらいラボ編集部コメント

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山梨県甲府市にある医療法人慶友会 城東病院は、地域住民に向けたフレイル予防の啓発活動を積極的に実施している医療機関です。2024年現在は、フレイル予防の出前講座を行う「こちたく」と、フレイル予防の体操やレクリエーションを行う院内サロンの「かがやか」の、主に2つの取り組みを軸に活動しています。病院が地域に向けたフレイル予防講座を開始した背景には、どのような出来事や思いがあったのでしょうか。同院の作業療法士の石原光氏と、看護師の守澤留美氏に話を聞いてみました。

1.「こちたく」「かがやか」の取り組みを始めたきっかけ

――「こちたく」「かがやか」の取り組みを始めたきっかけを教えてください。

石原:「こちたく」は、「もっと地域に向けた取り組みを実施すべきではないか」との考えから始まりました。当院は地域密着型の在宅支援病院として、外来や在宅支援、訪問診療、通所リハビリなどを提供していますが、当然ながら、患者さんが病院を訪れる前の時期に関わる機会はほとんどありませんでした。そこで地域に向けた取り組みの一環として、「こちたく」の活動が始まったのです。元気なときから最期まで、地域の方々の人生を丸ごとサポートすることをモットーとして、活動を継続しています。

守澤:「かがやか」が設置されたのは、「外来のスペースを利用して、何か地域に向けた取り組みを始めたい」との考えが出たことがきっかけです。当院の外来を受診される方のなかには、要介護認定を受けている方や、独居の方もたくさんいらっしゃいます。また、受診以外で外出する機会がほぼない方や、他の人とコミュニケーションを取る機会が大変少なくなってしまっている方も多く見られていました。そこで、病院内に交流の場を設けることで、「地域の高齢者の皆さんが外出する機会を増やしたい」「心も身体も元気でいて欲しい」と思い、活動を始めました。

2.「こちたく」「かがやか」の取り組みを継続するうえでの課題

――「こちたく」「かがやか」の取り組みを継続するうえで、大変だったことはありますか。

石原:取り組みについて、より多くの方に知っていただくことです。「こちたく」をスタートさせたばかりの頃は、一人でも多くの方に講座へ参加してもらうための声かけを行ったり、手づくりの名刺を甲府市や他の医療機関の方に配ったりして、とにかく知名度を上げることに注力しました。また、ホームページ上のブログをほぼ毎日更新するなど、とにかく活動を停滞させないようにすることも心がけていました。

守澤:「かがやか」においても、知名度を上げて参加者さんを増やすことは大きな課題でした。「かがやか」のような取り組みは今まで経験がなかったため、当時は「本当に誰か来てくれるのだろうか」という不安な気持ちでいっぱいでしたね。現在は参加者さんが増えてとても嬉しい一方で、「次もまた参加したい」と思っていただけるような魅力的なイベントを企画する難しさを感じています。

「こちたく」は、甲府市委託事業であるオレンジカフェの運営にも関わっている

「こちたく」は、甲府市委託事業であるオレンジカフェの運営にも関わっている

3.「こちたく」「かがやか」の取り組みを継続するうえで心がけていること

――「こちたく」「かがやか」の取り組みを継続するうえで、心がけていることについて教えてください。

石原:「こちたく」の活動を通じて、城東病院の役割を地域の方々へお伝えすることについては、常に意識しています。当院は地域密着型であり、地域の高齢者をサポートするサービスや機能が揃っている病院です。そのため、「困ったときはご相談いただければ、私が病院にお繋ぎします」とお伝えすることで、万が一の際に頼れる場所があることを知っていただけるように努めています。

守澤:「かがやか」で開催しているイベントの参加者さんには、勇気を出して来てくださった方もたくさんいらっしゃいます。そのため、参加者さんが孤立することがないように、皆さんに平等に話しかけるように心がけています。また、「かがやか」では座談会を開催することもあるため、楽しくお話をするなかでも、日々の生活で困っていることや、体調面での不安などは、できるだけ確認するようにしています。

4.地域に向けた取り組みの今後の展望

――地域に向けた取り組みについて、今後の展望をお聞かせください。

石原:城東病院では、コミュニティホスピタルの実現に向けた取り組みの一環として、2024年8月に、地域交流スペース「でらいとステーション」をオープンしました。でらいとステーションは、地域にお住まいの方や、当院の利用者さん、そのご家族など、どなたでも気軽に立ち寄れる場所です。同ステーションには管理栄養士が常駐しており、高齢者の健康づくりに重要な栄養や口腔ケアについてお伝えしていく予定です。また、「こちたく」フロアともつながっているため、「こちたく」や「かがやか」と連動した取り組みも検討しています。地域の方々がいつまでも健康で過ごせるように、今後も「城東病院だからできること」を継続していきます。

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タケウチ ノゾミ(Nozomi Takeuchi)

ライター・編集者

福岡市在住のフリーライター・編集者。介護、医療、ビジネスを中心に幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は観劇と美術鑑賞、猫を揉むこと。

タケウチ ノゾミの執筆・監修記事

EGGO(イージーゴー)

イージーゴーは東京・九州を拠点にWEBコンテンツ、紙媒体、動画等の企画制作を行う編集制作事務所です。ライターコミュニティ「ライター研究所」も運営しています。

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