YouTubeチャンネル登録者数14万人超!「やしのきリハビリ訪問看護ステーション」によるSNSを活用した情報発信術
大阪府にある「やしのきリハビリ訪問看護ステーション」では、各種SNSを活用した情報発信に注力しています。特にYouTubeチャンネルが人気を集めており、2024年現在は14万人ものチャンネル登録者数が存在します。情報発信を始めた経緯や、介護事業者が情報発信をする際のコツについて、合同会社やしのき代表の長谷川陽介氏に話を聞いてみました。
1.やしのきリハビリ訪問看護ステーションとは?
――「やしのきリハビリ訪問看護ステーション」の紹介をお願いいたします。
大阪府にある訪問看護ステーションです。2024年現在は、守口市と豊中市の二拠点で運営しています。理学療法士や看護師の資格を持つスタッフが中心となって運営しており、医療処置や服薬管理・相談、機能回復訓練を主として行っていることが特徴です。また、各種SNSを活用した情報発信にも注力しています。
2.情報発信を始めたきっかけ
――情報発信を始めたきっかけを教えてください。
私は当社を立ち上げる以前、訪問看護ステーションで理学療法士として10年ほど勤務していました。その際に、移乗を含めた介助の方法をご家族に尋ねられる機会が多かったのですが、どうしても週1〜3回程度の訪問だけでは時間が足りず、十分な説明が難しくもどかしさを感じていたのです。当社を立ち上げた2020年頃はちょうどYouTubeが流行し始めた頃だったため、「介護や介助ついて動画で解説すれば、いつでも誰でも見られるのではないか」と考え、YouTubeへの投稿を開始。その後、徐々に他のSNSでも発信を始めました。
3.現在使用しているSNSとその内容
――2024年現在は、どのようなSNSを使っているのですか。
現在はYouTube・TikTok・Instagram・X(Twitter)の4種類のSNSにて情報発信を行っています。それぞれのSNSでは、以下のような内容の投稿をしています。
- YouTube:介護や介助の方法を分かりやすく伝える動画
- TikTok:YouTubeのショート動画やInstagramのリールを転用した短い動画
- Instagram:YouTubeの更新情報や事務所の様子、短い動画(リール)など
- X(Twitter)YouTubeの更新情報や事務所の様子など
「介護や介助の方法を分かりやすく伝える」ことをメインとして投稿しているため、やはり動画を中心に投稿しているSNSの方が反応がよく、フォロワーも多い傾向にあります。2024年8月現在のフォロワー数は、YouTubeが14万人・TikTokが1万6,900人・インスタグラムが2万2,800人・Xが798人で、現在はYouTubeをメインとして投稿しています。なお、動画の投稿頻度は週1回で、基本的には毎週月曜日の17時30分に更新しています。
――毎回の動画のテーマは、どのように決めているのでしょうか。
「動画のテーマ決め」というと、会議のような場で話し合うイメージがあるかもしれませんが、特に話し合いの機会を設けたことはありません。1週間のスケジュールの中で撮影の時間を決めているため、何かアイディアがある場合は、その際に提案してもらっています。また、各種SNSのコメント欄にて視聴者さんから質問をいただいた場合は、質問の内容を反映させた動画を撮ることもあります。
さまざまな動画のなかでも、移乗の解説は特に人気を集めている
――特に人気がある動画に、「体格差がある人を介助する方法:99万再生」「移乗介助のダメな例7選:64万再生」などが挙げられますね。これらの動画を作成したときに意識したことについて教えてください。
「体格差がある人を介助する方法」「移乗介助のダメな例7選」は、まだ情報発信を始めたばかりの頃にアップした動画です。そのため、動画を目立たせたいという強い気持ちはなく、「困っている方が多いテーマについて解説する動画を作ろう」との考えから撮影しました。2つの動画が伸びた理由には、介護において特に悩んでいる人が多いテーマを取り上げただけでなく、解説の方法も影響しているのではと考えています。例えば、「移乗介護のダメな例7選」については、好ましくない例と良い例を動画内で比較することで、移乗時に特に意識すべきポイントが伝わるように工夫しました。これらの動画は、実際に視聴者さんから「役に立ちました」といったコメントをいただく機会も多く、非常に嬉しく感じています。
4.情報発信の継続における苦労
――情報発信の継続にあたり、大変だったことはありますか。
動画撮影や編集についての苦労は多かったと感じています。動画に関する知識や経験がほとんどない状態からYouTubeの投稿をスタートしたため、最初は撮影に適したアングルや、目を惹くサムネイルの作り方も分かりませんでした。ただ、アングルに関しては、自分で編集をしたり、「もう少し〇〇について見たい」などと視聴者さんからコメントをいただいたりするうちに、見やすい角度が分かるようになっていきました。また、サムネイルや編集に関しては、プロの方の手も借りることで、より魅力的で視聴しやすい動画になるように工夫を重ねています。
YouTubeでは、便利な福祉用具の紹介なども行なっている
5.介護事業者が情報発信を行うメリット
――介護事業者が情報発信を行うメリットについてお聞かせください。
医療・介護業界は、SNSをはじめとしたインターネット上においては、まだまだ情報が少ないジャンルです。そのため、情報発信を積極的に実施することは、他の事業者との差別化に繋がるのではないでしょうか。実際に当社においても、情報発信を継続していたことで知名度が上がり、訪問看護の営業時に話を進めやすくなったと感じています。また、YouTubeの視聴者さんから求人の応募が来るようにもなりました。情報発信をしている事業者が少ないからこそ、効果を感じやすいのではと考えています。
6.情報発信をする際に意識すべきポイント
――介護事業者が情報発信をする際に、特に意識すべきポイントは何でしょうか。
やはり、情報発信の目的を明確にすることはとても重要です。ひとくちに情報発信と言っても、利用者さんを集めたい、求人応募数の増加に繋げたいなど、さまざまな目的が考えられます。例えば利用者さんを集めたい場合は、自社の強みをアピールできるような投稿をしたり、求人応募数の増加を目的とする場合は、社内の様子をたくさん投稿したりと、目的にあった投稿が欠かせません。目的が定まっていないと、何のために発信しているのか分からなくなってしまいます。最初に目的をはっきりとさせたうえで、登録するSNSの種類や投稿内容を考えてみてください。
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