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ニュース 介護業界ニュース 2024/04/04

謎解きをしながら福祉や介護を楽しく学ぼう!医療福祉系謎解きイベント「Mystic Minds(ミスティックマインズ)」とは?

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介護のみらいラボ編集部コメント

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「若い世代に福祉や介護について理解を深めてもらうのは難しい」と感じたことはありませんか。「Mystic Minds(ミスティックマインズ)」は、小中学生をはじめとした若い世代にとって触れる機会の少ない福祉や介護について、楽しく遊びながら学べるイベントです。福祉や介護への理解を深められる謎解きイベントとは、一体どのようなものなのでしょうか。NPO法人Ubdobeの萩原頌子氏に話を聞いてみました。

1.NPO法人Ubdobe(ウブドべ)とは?

――「NPO法人Ubdobe(ウブドべ)」の紹介をお願いいたします。

医療・福祉業界のブランディングやイメージアップ、医療・福祉従事者の増加などをミッションに掲げて活動しているNPO法人です。代表の岡をはじめ、メンバーの半数以上が医療・福祉関係の従事者や経験者、または障がい当事者家族にて構成されています。当法人は2010年に活動を開始したのですが、当時から多くの方にとって医療や福祉は縁遠いものであり、特に若い世代の方々には情報が届きづらい状態にありました。

そこでUbdobeでは、医療や福祉についてカジュアル化した情報発信や、イベントの開催などにより、若い世代と共に社会課題の解決を目指す活動を継続しています。2024年現在は、日本全国をフィールドとしたイベントの企画や制作・運営、全国の福祉事業所や行政を中心とした医療福祉に関わるデザインプロデュース事業、難病や障がいを持つ子どもたちのためのワークショップイベントの開催などを行っています。

2.Mystic Minds(ミスティックマインズ)はどんなイベント?

―「Mystic Minds(ミスティックマインズ)」とは、どのようなイベントなのでしょうか。

遊びを通して、自然と福祉や介護への理解を深められる謎解きイベントです。基本的にはショッピングセンターなどの大型の商業施設で開催しており、施設内に設置された5つほどのブースを1人2組以上で周遊しながら遊ぶ形式です。2024年1月までに、北は青森から南は長崎まで、約20回のMystic Mindsを開催してきました。

障がい分野を学べるものと介護分野を学べるものといった、主に2つのラインナップがあり、それぞれ異なったストーリーを用意しています。障がいをテーマにした謎解きは冒険が主題となっており、宝を探すうちに身体や気持ちなどにさまざまな特徴を持った人々と出会い、その人たちの困りごとを解決するうちに宝物にたどり着くというストーリーです。一方介護をテーマにした謎解きはヒーローが主題で、元々活躍していたヒーローが高齢化によって能力を発揮できずにいるところを助け、もう一度活躍できるようにサポートするというストーリーとなっています。

――遊びながら福祉や介護について学べるのは興味深いですね。

Mystic Mindsはただの謎解きイベントではなく、福祉や介護について自然と理解を深められるような工夫を施しています。中でも大きな特徴としては、謎を解くために様々な体験をクリアする必要があることが挙げられます。参加者はそれぞれのブースで「ミッション」と呼ばれる体験をクリアすることで、謎を解くためのヒントを得られる仕組みです。具体的には、車椅子に乗ってキーワードを探したり、手話で意思疎通を図ったりと、障がい者や高齢者の目線に立てる体験を用意しています。

また、小さなお子さんや謎解きが苦手な方も楽しめるよう、各ブースに医療・福祉従事者を中心としたスタッフが常駐していることも特徴の1つです。謎解きのヒント出しはもちろん、車椅子の快適な操作方法や、相手を不安にさせない介助の声掛けの仕方など、イベントへの参加を通じて、自然と医療・福祉専門職のプロフェッショナルな部分に触れられるようになっています。

イベントでサポートを行う医療・福祉従事者は、看護師や介護福祉士、理学療法士、作業療法士、社会福祉協議会の方、専門学生や大学生まで幅広く、様々な分野の方がそれぞれの得意分野を活かしながらサポートに当たっています。特に小中学生にとっては、普段の生活の中で医療福祉従事者と触れ合ったり、技術について聞いたりする機会はなかなかないと思います。イベントへの参加を通して、医療・福祉専門職への興味を深めてもらえたら嬉しいです。

スタッフのサポートを受けながら謎解きを楽しむ参加者さん

スタッフのサポートを受けながら謎解きを楽しむ参加者さん

――介護をテーマにしたMystic Mindsでは、どのようなミッションが用意されているのでしょうか。

障がい分野と介護分野は似ている部分もありますが、介護分野では、より精神的なケアの方法やエンパワーメントについてフォーカスした内容となっています。また介護分野では認知症を主題としたブースがあり、認知症の概要や、認知症の方とのコミュニケーションなども体験できます。「認知症を体験するのは難しそう」とのイメージ通り、認知症について理解を深めていただくことは大変難易度が高いと考えています。試行錯誤を重ね、現在は「認知症のおじいちゃん役のスタッフとコミュニケーションを取りながら、おじいちゃんの困りごとを解決することで、認知症に対する理解を深めてもらう」という方法を取り入れました。

認知症を主題としたブースに足を運ぶと、認知症のおじいちゃんがいるほか、おじいちゃんの思い出の品がいくつか置いてあります。参加者さんはおじいちゃんに質問をしたり、思い出の品からヒントを得たりして、おじいちゃんの困りごとを解決するという流れです。ただしコミュニケーションを取るといっても、おじいちゃんは認知症のため、質問に答えられないことがあるだけでなく、うまく話を続けられません。

そこで、ブース内にある思い出の品を見ながら、おじいちゃんの人生や、大切にしてきたものについて考えることで、謎が解けるという仕組みです。認知症という様々な困りごとがある状態の中でも、ご本人が大切にしていることを一緒に見つけ出し、寄り添って欲しいというメッセージを込めて作成しています。

介護をテーマにした「アビリティーズ」では、謎解きをしながら「伝説のヒーローたち」を探す旅に出る

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3.参加者からの反応は?

――参加者さんからの反応はいかがですか。

開催時には毎回アンケートを行っているのですが、回答者の約90%の方に、イベント参加前と比べて「高齢者・福祉について勉強したいと感じた」または「高齢者・福祉へ興味を持った」とご回答いただいています。小学生の参加者さんからは「謎解きに集中していたら、いつの間にか高齢者のことがわかりました」「勉強するだけより楽しく学べました」などの感想があり、お子さんからポジティブな感想をいただけたことは大変嬉しかったですね。

またお子さんと一緒に参加された保護者の方より、「福祉とどのように出会わせるかとても悩んでいたため、今回このように遊びながら介護や福祉について子どもに伝えられて、とても良い機会になりました」といった感想をいただいたこともあります。これからも、遊びを通して福祉や介護について楽しく理解を深めていただけたら嬉しいです。

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タケウチ ノゾミ(Nozomi Takeuchi)

ライター・編集者

福岡市在住のフリーライター・編集者。介護、医療、ビジネスを中心に幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は観劇と美術鑑賞、猫を揉むこと。

タケウチ ノゾミの執筆・監修記事

EGGO(イージーゴー)

イージーゴーは東京・九州を拠点にWEBコンテンツ、紙媒体、動画等の企画制作を行う編集制作事務所です。ライターコミュニティ「ライター研究所」も運営しています。

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